恵比壽塵報(略称/恵比塵☆YEBIJIN)
YEBIsu_Journal Ironical News columns : Japan Intelligence Network
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[09/01/20]
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■[恵比壽塵報]48号:あなたのまちのガードマン
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 少し前に、恵比寿駅内の乗降客の混雑緩和誘導の為とは思えない警備員の話 を某所に書いた。どうも通行人の中から誰かを探しているような、監視なので ある。

 しばらく前のことである。
 駅まで歩いて行く途中に、郵便局がある。

 いつのことかは覚えていないが、2年近く前からだと思う。
 その郵便局の前に警備員が立つようになった。毎日立っているわけではない。 おそらく五十日(ごとうび)や年金の支給日などに合わせて、警備員が立って いるのであろう。この文章を読んで不埒なことを考えてしまう人がいるかもし れないので、五十日や年金の支給日以外にも立っているかも知れないことを付 記しておく。

 その郵便局の前の警備員は決まった人である。が、現在までに、一度替わっ ている。仮に初めの人を初代、現在の人を二代目としておく。

 初代は、少し大柄で太めでいかつい風貌であった。毎日毎日ではないが、雨 の日も風の日も同じ場所にじっと立っている。後ろ手を組んで、首だけを左右 に動かして睥睨しているのである。とても退屈だろうと思うが、それがお仕事 なのであるから替わってあげようなどとは思わない。
 とある日、左右に動いていた首が少しだけ前後に動いているような気がした。 立ち止まって観察するわけにもいかないので、そのまま通り過ぎるが、どうも 前を通る通行人にほんの少しだけ挨拶の挙動を始めたらしいのである。少しだ け上目使いであるが、しばらくすると、これは挨拶の行動であると認識できる ようになった。通行人はわたし一人の状態で、先方に挨拶の行動を取られれば こちらもそれなりに対応してしまう。こちらも少しだけ頭を下げて警備員の前 を通過することになった。
 またしばらくすると、口が動いているような気がした。どうも「おはようご ざいます」とその人は言っているのである。これには悩んだ。相手が「おはよ うございます」と言っているのを無視することは田舎生活出身者としては出来 ない対応なのである。その次に会ったときにも悩んだ。わたしはお返しの気持 ちの分だけより深く頭を下げて通過するようになった。だんだんと、目礼する 目つきも顔つきもやさしくなったように思ったが、これは見慣れてしまった為 かもしれない。

 都会生活では挨拶は難しい。都会では駅員やチラシ配りに、毎日毎日「おは ようございます」と声をかけられているが、これらにいちいち反応して「おは ようございます」と返事をしたら、「業務妨害のつもりか!」と逆に睨まれる 可能性もあるからである。キオスクで買物をすると「いってらっしゃい」と挨 拶されるのも気恥ずかしい。

 田舎で駐在所の前に警察官(巡査様といった)が立っていたら、前を通る人 は「こんちわ」と必ず言うのである。都会のポリボックス(KOBAN)の警察官は樫の木の 棒を持って睥睨している。とても通行人から用事も無いのに挨拶だけの声はか けにくいのである。

 初代の警備員とは、こんなことが半年くらい続いたか。ある日、いつのまに かに警備員は二代目に替わっていた。若い、少しやせ型の警備員である。この 二代目は、最初は後ろ手ではなく前で手を組んで、首だけを左右に動かして睥 睨していた。この二代目は首を上下に動かすのではなく、通行人が通ると、郵 便局の中をガラス窓越しに覗くように回転運動を始めたのである。前で手を組 んだままで、なんだかせわしない動きをしている。ここのところの寒さのせい だろうか。ただ、警備員が揉み手ををしながら挨拶をするのは絶対に似合わな いのでご勘弁願いたい。前職では鉢巻にハッピ姿だったのではないだろうかと 思ってしまうのである。

 この文章を書いていたら、たまたま、ラジオ(J-WAVE)で、「郵便局のガー ドマン」という話が聞こえてびっくりした。既に郵便局の警備員は、巷間の話 題の一ジャンルとして確立しているようなのである。

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■恵比壽塵報(略称/恵比塵☆YEBIJIN) 発行処:澁谷区恵比壽/日知網内■
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一部に苦味の混じる表現がありますがそれは風味です。毒ではありませんので、そのままご賞味下さい(笑)