恵比壽塵報(略称/恵比塵☆YEBIJIN)
YEBIsu Journal Ironical News columns : Japan Intelligence Network
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[09/03/27]
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■[恵比壽塵報]61号:奥会津で−つなぐ−
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 −つなぐ−−奥会津から「山びこ学校」

 −−起−−
 奥会津昭和村と金山町とは、野尻川という川でつながれている。野尻川の上 流側は昭和村である。その川に沿って、道がつながれ昭和村と金山町の境界界 隈に「綱木」という地名がある。山間(やまあい)の渓谷である。その「綱木」 の事を、「昭和村のあいうえお」という駄文で書いたことがある。クリックし てまでお読みになるほどのものでも無いので、その論旨を書くとこうであった。 元々は、村と少し都会である村を「繋ぐ」要所であり、単に「ツナギ」と思っ ていたその地名が「綱木」という文字で表われた時の驚きと、そして冷静に考 察すれば、「綱木(ツナギ)」には幾重にもこめられた出自があるのではない かという一人よがりで気取った作文であった。07年12月のことでした。
(はい、ここまでは自慢話)

 −−承−−
 駄文でも、一度書いておくとそこそこには記憶に残るものである。残ってい るところに、たまたま野本寛一氏の「神と自然の景観論」(講談社学術文庫) を読んでいたら、「ツナギ沢」という地名が出てきたのである。09年3月の ことです。最近の筆者は「たまたま目にする本が講談社学術文庫であったり岩 波現代文庫であったりする」のである。こうしてわたしの一人よがりには、ば しばしと裏打ちが貼られていき、想起は汎化した論考と遷移していくのである。 ま、学術というまでには程遠いのであるが。我田引水と言われると合点(がて ん)がいってしまうほどでもある。この本の解説者が赤坂憲雄氏であったこと にも二度びっくり。
(はい、ここまでも、少しだけ自慢話)

 −−転−−
 寄り道をして、どこに繋ぐのかというと、超少子化超高齢化そして限界集落 となりつつある奥会津での「文化をつなぐ」話題です。
 奥会津三島町には、奥会津書房という奥会津の希望を照らすランプのような 仄(ほの)かな出版社があります。以下は、仄聞(そくぶん)です。

 その出版社が、『奥会津こども聞き書き百選1』という本を出版しました。 奥会津の地域の小学生・中学生・高校生がおじいちゃんやおばあちゃんから昔 の写真を見ながら話を聞いて、それを綴った「聞き書き」113編を冊子とし たものだそうです。
 監修者として、民俗学の赤坂憲雄さん(県立博物館館長)があげられていま す。これは想像ですが、おそらく出版物としての体裁と発刊となった経緯と、 どうして奥会津地域でこのようなことができたのか、または、奥会津地域だか らこそ実現できた事々の解説などが叙述されているのだと思います。
 とてもすばらしいのは、その聞き書きには「会津学」の主たる執筆者の方々 が応募作の全ての作文に感想をつけたこと。3月21日には、「こども聞き書 き報告会」が開かれ、一部は聞き書きをした本人がそれを朗読して発表する。 また、出版物としての本以外に、一人一人づつの文章を和綴じ製本して手渡し たというのです。

 −−結−−
 文化にはそれなりの金も掛かる(只見川電源流域振興協議会の支援があった らしい)が、それにもまして大事な事は、つなぐ文化にはこうした手渡し感覚 の交流と、手間がかりをいとわない紡ぎだと思うのです。

 この情報を得た同じ日(22日)には、朝日新聞記事の片隅には無着成恭さ んの「山びこ学校」の舞台となった上山・山元中学校の閉校のニュースが掲載 されていました。
 奥会津から、平成の「山びこ学校」が芽生えていきますように。

 なんだか時代の因縁を感じて、こんな文章になってしまいました。

                       /「仄々(ほのぼの)気分」 恵比壽塵報

09/03/28加筆しました。
仄聞内容と関連ブログはこちら。
 ■記憶の森をあるく■カンケさんのブログ
 (http://kanke.cocolog−nifty.com/)
 ■佐藤孝雄のじねんと録■(09/03/21)佐藤孝雄さんのブログ
 (http://zinento.exblog.jp/11151183/)

09/03/30加筆
 何という偶然でしょう。
 この、こども聞き書き報告会が開催された場所は、三島町の『山びこ』という施設でありました。
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一部に苦味の混じる表現がありますがそれは風味です。毒ではありませんので、そのままご賞味下さい(笑)