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 農業全書 002  最新版へ
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001 第一期分




藜(あかざ)
茜根(あかね)
             
赤小豆(あづき)
       
あら苧
粟を苅る
藺(い)
             
瓜類(うりるい)
 1〜12  13  14  15  16  17
大玉スイカ



解説(1)
 
 
隔年結実
カラスノエンドウ
穫收(かりおさむ)
             
甘露子(かんろし)
   
黍(きび)
   
黍(きび)を苅る
九耕麻十耕大根
堯舜(ぎょうしゅん)
桐(きり)
         
草削り(農具)
慈姑(クワイ)
           
鶏頭花(けいとうげ)
小玉スイカ
牛蒡(ごぼう)
                 



豆エ豆(さゝげ)
 
     
三尸(さんし)
石榴(ザクロ)
   
椎(しい)
     
粃(しいな・しいら)
芍藥(しやくやく)
   
棕櫚(しゅろ)
       
時節(じせつ)
             
西瓜(すいくわ)
     
杉(すぎ)
         
千戸侯(せんここう)
蕎麥(そば)
       4、5
蕎麥を苅る



帯化(たいか)
立鎌(道具)
大根(だいこん)
 1〜6    8、9  10  11  12  13  14  15  16
接木(つぎき)補筆
菜瓜(つけうり)
當○(トウキ)
             



梨(なし)
 
       5、6
梨の保存と加工
ナス
茄(なすび)
 1〜4            10  11  12  13
薺(ナズナ)
鶏(ニワトリ)
         
蒜(にんにく)
 1〜3  4、5    
根切り(農具)
根切虫(ねきりむし)



榛(はしばみ)
薑(はじかみ)
     
蓮(はちす/はす)
       
凡例1 予此書を
 2 先年山陽道
 3 予立年の後
 4 予が故人
 5 吾本より
 6 此書を
 7 此書の趣
 8 此書真名字
 9 農家此書を
 10 後來文才餘り
稗(ヒエ/ひへ)
     
瓠(ひさご)
         
檜(ひのき)
●(ひゆ)
   
白○(びやくし)
枇杷(ビワ/びは)
ホー(道具)
牡丹(ぼたん)
     



豆を苅る
ミニゴボウ
茗荷(みやうが)
   
麥を苅る
桃(もも)
       
蜀黍(もろこしきび)
       



楊梅(やまもも)
 
   
櫻桃(ゆすら)
百合(ゆり)
     



緑豆(ろくづ)






【別冊恵比塵】
農業全書・図

























(目次抜粋)
苧麻と
奥会津関係




赤小豆(あづき)1   あら苧


甘露子(かんろし)1
 
九耕麻十耕大根
桐(きり)1
桐(きり)2
草削り(農具)
牛蒡(ごぼう)7
牛蒡(ごぼう)8


棕櫚(しゆろ)1
 
蕎麥(そば)2


立鎌(道具)
大根 7
 8、9  10


梨(なし)5、6
梨の保存と加工
蒜(にんにく)6
根切り(農具)


蓮(はちす/はす)3
ホー(道具)











[抜書き]

「神と自然の景観論」 野本寛一・講談社学術文庫

『名君の碑(いしぶみ)』中村彰彦・文春文庫

『日本人はなにを食べてきたか?』 原田信夫・角川ソフィア文庫

『日本中世の百姓と職能民』 網野善彦・平凡社ライブラリー

『ふるさとの生活』 宮本常一・講談社学術文庫

『生きていく民俗 生業の推移』 (宮本常一)

『日本文化の形成 中』 宮本常一・ちくま学芸文庫

『赤い人』 吉村昭・講談社文庫

『庶民の発見』 (宮本常一)

『民間暦』 宮本常一・講談社学術文庫

『歴史・祝祭・神話』 (山口昌男)
『日本の歴史 3奈良の都』 (青木和夫)

『日本人はどこから来たか』 斎藤忠・講談社学術文庫

『日本数寄』 (松岡正剛)

『民俗のふるさと』 宮本常一・河出文庫

『日本の神話と十大昔話』 楠山正雄・講談社学術文庫
『文化と両義性』 (山口昌男・岩波現代文庫)

『現代語訳 日本書紀』 福永武彦・河出文庫

『うるしの話』 松田権六・岩波文庫

『魚影の群れ』 吉村昭・ちくま文庫

『虹の翼』 吉村昭・文春文庫

『城下の人』 石光真清・中公文庫


【茗荷(みやうが) 第十 2節】
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【蕎麥(そば) 第五 4、5節】
    五穀之類 蕎麥(そば) 第五 4節

     蕎麦と芋は欠くべからず
     又そばと芋とは土地餘計にある所ならば、農人ごとに必ず多く作るべし。 芋は虫氣其外天災にあはぬものにて、水邊又は日當のつよからぬ地にうへて、 牛馬糞あくたかれ草などおほひ培ひ置けば、別の手入さのみ入らずして、 過分の利を得て穀の不足を助け、上もなき物なり。 然るゆへに此二色は必ずかくべからずとしるしをけり。

     蕎麦(そば)と
    とは土地に余裕があるのであれば、農家は絶対に作るべきです。 芋は虫が付かず、また天災に会わないので、水辺や日当りのあまり強くない場所に植えて、牛馬糞や芥、枯草などで覆い、培いをすればさほどの手間隙は要らないのです。 手間以上の成果があり、穀物の不足を助けるのにもってこいなのです。 それなので、この2種類(蕎麦と芋)は欠いてはいけません、と書いてあるのです。

    是のみにかぎらず、農人年中段々絶間なく、時分時分の物を種ゆべし。 先夏の終り、秋の初め、そば大根蕪青、八月になりて蚕豆より大小の麥苑菜(ゑんさい)に至るまで、 うへざる月なければ、又おさめざる月もなし。 實を取る物あり、根をとる物あり、葉茎をとる物もあり、次第段々の工夫をろそかにすべからず。 其中にもそばはさまで農事の妨共ならずして、手廻しよくうへ合はすれば、過分の利を得るゆへ、 唐人も其能を誉めて具さに書き載せたり。

    これらのみに限らずに、農民は一年中順繰りにすべき事に絶間はありません。 時節毎の作物を植えるのです。 先ず、夏の終りと秋の初めは、蕎麦に大根に蕪菁。 8月になれば蚕豆に大麦小麦と、庭園の菜物まで、植えない月も無ければ収穫しない月もないのです。 実を取るもの、根を取るもの、葉茎を取るものと各種多彩、それぞれの育てる次第毎に手入れの工夫も疎かには出来ないのです。 そんな中でも、蕎麦はさほどの農作業の煩雑さはありません。 段取りを良くして植えておけば、過分の成果が得られるのです。 唐人もその功能を認めて、詳しく書いているのです。

    蕎麥粉を餅にして蒜(にんにく)と合せ煮て食し、又河漏とてそば切のやうにこしらへ、賞味すると見えたり。 又そばは農人飽くほど食すれば力の付く物なり。 但脾胃虚寒の人は食すべからず。

    中国では、蕎麦粉で餅を作りニンニク(蒜)と合せて煮て食べます。 また、河漏という料理は蕎麦切りの様にして味わうといいます。 そして、蕎麦は飽きるほども食うと、力が付くものですが、消化機能の低下した(脾胃虚:ひいきょ)人は食べてはいけません。

    凡そばは蒔き付くるより取收め食物にこしらゆるまで人手間入らずして、農人の助となる事尤多き物なり。 地の餘計なき所にては跡の地冬ぶかにあくゆへ、麥を蒔く妨げとなるといへども、糞を多く用意し置きて、 麥より前に一毛(ひとげ)作りて取るべし。 又そばを春蒔きて夏の末實ると農書に見えたり。 にほんにても試にうへて見るべし。 不審(いぶかし)。

    蕎麦はタネ蒔きから収穫まで、そして食物に加工するまでも人手間は掛かりません。 農家の助けとなる事の多いものです。 土地が余ってないような所では、跡地を冬になっての麥蒔きが大変かも知れませんが、肥(こやし)を多く準備して麦の前に一作りして収穫すべきです。 また、蕎麦を春に蒔いて夏の終りには実ると農書には書いてあります。 日本でも試しに作ってみると良いでしょう。少し疑わしい気もしますが。

    五穀之類 蕎麥(そば) 第五 5節

     猪と同じく食すれば惡疾を生ず。 慎むべし。

    猪と一緒に食べると、治り難い病気になります。注意してください。
      うーむ。これは本当でしょうか。 猪と一緒に食う人などいるか?と思うかも知れませんが、最近ジビエ料理とかいって、野生の動物(猪、鹿、熊、兎、山羊)などがもてはやされたりしています。 そんなところで、蕎麦振舞いとか、なんだかあり得そうな気がしますネ。クワバラクワバラ。

    『五穀之類 蕎麥(そば) 第五 4、5節』(P.106〜107)了
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【百合(ゆり) 第十九 3節】
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【茄(なすび) 第七 12節】
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【當○(トウキ/たうき) 3節】
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【黍(きび) 2節】
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【穫收(かりおさむ) 第八 /3節】
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【凡例 6節/此書をなさん事を思ひ、】
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【農業全書 解説 (一)−2 土屋喬雄】
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【桃(もも) 第十一 2節】
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【千戸侯(せんここう)】 16/05/31追記 16/06/30追記
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【九耕麻、十耕大根(だいこん)】
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【枇杷(びは) 第十二】 16/06/06追記
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【蘿蔔(だいこん)】
    『菜(さい)之類 蘿蔔(だいこん) 第一 1節〜6節』
      (P.126〜127)

    150614_備忘
     大根について
     大根は四季ともに種ゆる物にて、其名も亦各替れり。 されども夏の終り秋の始めに蒔くを定法とす。 これあまねく作る所なり。
     大根は季節を問わず植えてもよく、その季節によって名前も違います。 一般には、夏の終わりか秋の初めに蒔くものです。全国各地では、この方法で一番多く作られます。

     よい大根とは
     其種子色々多しといへども、尾張、山城、京、大坂にて作る勝れたるたねを求めてうゆべし。 根ふとく本末なりあひて長く、皮うすく、水多く甘く、中實(なかじっ)して脆く、茎付き細く、葉柔らかなるをゑらびて作るべし。 根短く、末細にして、皮厚く、茎付きの所ふとく、葉もあらく苦きは、是れよからぬたねなり。
     種は色々と多くの種類がありますが、尾張、山城、京、大阪などで作っている良いタネを入手して植えるのがよいでしょう。 根が太く、上から下までほぼ同じ太さで、皮が薄くて、水気があって甘くて、中はスが入らなくて歯ごたえもよく、茎付きは細くて、葉はやわらかい。 これが良い大根の種になります。
    根が短くて、根の先が細かったり、皮が厚くて茎付きの個所が太くて、葉っぱも粗くて苦い大根、これはお奨めできないタネです。


     大根のいろいろ
     又宮の前大根とて、大坂守口のかうの物にする細長き牙脆(はもろ)き物あり。 又餅大根とて、秋蒔きて春に至り、根甚だふとく、葉もよくさかへ味からき物あり。 三月大根あり。はだ菜あり。 又夏大根色々あり。 又播州津賀野大根とて彼地の名物なり。 此外蕎麦切に入る。 甚だからきをもとめつくるべし。
     宮の前大根:大阪守口が有名、香の物にする、細長くて歯ざわりの良い大根です。
    餅大根:秋に蒔いて春に収穫する、根はとても太くて、葉もよく繁っていて、辛い大根です。
    三月大根:はだ菜がある。
    夏大根にもいろいろあります。その中でも播州津賀野大根というのはその地の名産ととして有名です。 ほかに、蕎麥切りに使う大根もある、これはとても辛いものを探して作るべきです。

      はだ菜:大根の葉だけを主に用途とするものでしょうか?


     タネの採取方法
     種子をおさめ置く事、霜月の初め大根多き中にて、なりよくふときをゑらび、毛をむしり、 葉は其まゝをきて一兩日も日に當てゝ、少ししなびたるを畦作りし、がんぎをふかく切り、 肥地ならば凡一尺に一本づゝうへおくべし。 もし瘠地ならば、折々糞水をそゝぎ、春になりて葉茎もさかへたる時、畦の中に柴か枝竹を立てゝ、 廻りにも竹を立て縄をはり、雨風にたをれぬ様にすべし。 たをるれば子少し。

     タネを採取するには、霜月(11月)の初旬に、生育している大根の中でも、大きくて太い大根を選んで抜きます。 髭根は毟り取り、葉はそのままにして二日ほども日に当てて少し萎びさせます。 それを、深く切ったガンギをつくり、肥えた土であれば、一尺に一本ずつ移植しておきます。 瘠せた土なら、時々は水肥をやります。 春になって葉も茎も伸びはじめた頃には、支え(柴とか竹の枝とか)を立てて、その回りにも棒(竹とか)を立てて縄張りをして、雨風に倒れないようにしておきます。 倒れてしまうとタネは少ないです。

     日に当てて痛める理由
    うゆる時少し日に當てゝ痛むる事は、花遅く付きて、餘寒にいたまず、實り能きためなり。
     虫つかずのタネ
    三月に至り、九分の實りと見る時、刈りてたばね、池川などに五七日も漬けをきて取上げ、 干してもみて取るもよし。 かくのごとくすればまきて後蟲付かざるものなり。
    又霜月抜きていけをき、正月うへてたねとするも實りよきものなり。
    植え替えるときに、日に当ててわざと痛めることには理由があります。 それは、花の開花時期を遅らせる事により、遅い寒さ(晩霜とか)にも痛まずにタネの結実がよくなるのです。
    3月になって、9割ほどの実りと見える頃に刈り取って束ねて、池や川などに小一週間ほど浸しておいてから取上げ、それを乾燥させて手で揉んでとるのもよいです。 このようにすると、蒔いた後に虫がつかないのです。
    また11月に抜いてそのままにしておいて、正月に植えなおしてタネ取り用とするのもよいです。


     植える土について
     うゆる地の事、大根は細軟沙の地に宜しとて、和らかなる深き細沙地を第一好むものなり。 川の邊、ごみ沙の地又は黒土赤土の肥へたる細沙(こすな)まじり、凡かやうの所大根の性よき物なり。
     大根は、和らいだ深い細かい砂地が一番よいです。 川の近くや、ゴミ沙の入ったような土や、黒い土、または赤い土で肥えた小さな砂混じりの土、こういった土のところが大根には相性がよいのです。

     土こしらえと時節について
     同じく地ごしらへの事、五月いか程も深くうち、濃糞を多くうち、干付けをき、 其後度々犂き返し、かきこなし埋めごゑをもして、六月六日たねを下すべしと云へり。 然れども大かた梅雨の後糞を打ちほし付け、能々地をこなして蒔くべし。
    凡土用中に蒔くを上時とし、七夕盆の前後を中時とし、八朔を下時とす。
    地により所によりて、各其よき時節ある事なれば、是れ必ず一遍には定めがたし。早過ぎたるは、根ふとく入る事ありといへども味よからず。 山中野畠などの外、屋敷内などにうゆる事は、前に云ふごとくいく度も委しくこなし、干しをきて凡八朔の前後大抵能き時分なり。
     畑つくりは、五月に深く耕し、濃い目の肥料をうって、乾かしておいて、その後で何度も犂(すき)返して、土をこなして、埋め肥もして、六月六日にタネを蒔きます。
    大体は、土用の頃に蒔くのが一番(上等)、七夕お盆の前後はまあまあ、八朔(8月1日)の頃には下時と思えばよいという説があります。(旧暦表示)。
    とはいえ、その土地と場所により、各地に丁度良い時節があるので、一概に決め付ける事は出来ません。
    ただ、早過ぎると、根は太くはなっても、味がよくないのです。
    野良の畑に作るほかに、屋敷畑などに植えるときには、何度も言いますが、何度も耕しては乾かして、8月1日の前後であれば、大体時節に合うと思います。
    (7節に、九耕麻十耕大根として詳説あり)

    大根(だいこん)7節 へ
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【蘿蔔(だいこん)8、9】 16/01/21訂正
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【蘿蔔(だいこん)10】
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【蘿蔔(だいこん) 第一 11節】
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【蘿蔔(だいこん) 第一 12節】
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【蘿蔔(だいこん) 第一 13節】
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【蘿蔔(だいこん) 第一 14節】
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【蘿蔔(だいこん) 第一 15節】
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【蘿蔔(だいこん) 第一 16節】
    菜之類 蘿蔔(だいこん) 第一 16節

     一種小大根あり、野に生ず。正二月ほりて漬物とすべし。
     伊吹菜ねづみ大根と云ふ。 其根の末細く鼠の尾のごとし。 近江伊吹山にあり。 彼地の名物なり
    (又干大根の法、能き大根を寒中三十日の間木のゑだか或はなはを引き、それにかけ外にさらし置き、 其後猶ほし納めをく事は前に同じ。 はなはだ味よし)。

     野生のもので、小大根というのがあります。 1、2月に掘って漬物にします。
     伊吹菜とかねずみ大根と言われているものです。 その根の先が細くて、鼠の尻尾のようなのです。 近江の伊吹山に自生しています。この地の名物にもなっています。
    また、干大根の作り方です。 良い大根を寒中に30日間程、木の枝かまたは縄を引いて、それに掛けて外に晒しておきます。 その後も、干してから保存する方法、既述と同じです。 とても美味なものです。


    『菜之類 蘿蔔(だいこん) 第一 16節』(P.131)了
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【茄(なすび) 第七 7節】
    巻之三 菜之類 茄(なすび) 第七 7節


    【別冊恵比塵】−150612_備忘−   【別冊恵比塵】−150612_備忘−
     茄子の植え方です。

     又うゆる法、茄子をうゆる麥畦は麥を蒔く時より凡其間能き程をはかりて、たてのならびは一尺三寸、 横の間は一筋は二尺ばかり、一筋は三尺餘りにし、草を取り、糞をする時も廣き筋を通り、 せばきはとをらずして培ふ事も廣きすぢばかりより土をかいあぐれば、 せばき筋の中は小溝と成りてうるほひをよくたもち、 又は糞水をそゝぐにも此みぞよりながし入るればうるほひともなり、根の土廣く厚ければ、 わき根よくはびこり、風雨の時たをれず、其上根に日風とほらず、旁以てよくさかへしげりて、 實多くなる物なり
     横の筋は、広い筋と狭い筋を作る
    草取りや肥やしをまく時は広い筋側を通り、狭い方は通らないこと。 培いも広い筋側から土をかきあげる。 そうすると、狭い筋は小溝となって湿気をよく保てる。 また水肥を流すときには、この溝より流せば潤いとなって、根の土も厚くなり、脇根(わきね)もよく育ちます。 雨風のときにも倒れ難くなり、根に日風が通らなくなると幹が栄え繁り、実も多くなります。

    (但茄子一つ二つなるまでは、少し土かいて根に糞だまりをくぼめ置き、 水糞と小便をたび/”\かくべし。小便は五日に一度ほどかくべし。
    凡なすび二ツ三ツもとる時分、草だち大きになりて後、右にいふごとくひろみぞの方よりおほく土かふべし。
    小便は秋までもかけたるがよし)。
    (ただし、ナスの実が一つ二つなるまでは、少しは土を掻いて肥え溜りを造っておいて、 水肥や小便を度々かけるとよいです。
    小便は五日に一度ほどかけるとよいでしょう。
    そして、ナスの実が二つ三つも成長して来た頃に、主茎も大きくなってから、前述の様に、広い溝の方から土を多くかきあげておきます。
    また、小便は秋までもかけ続けてよいです。)


    茄子たばこなど葉ひろくさかへ、上の重き物の類は何れも木の動く事を嫌ふゆへ、培ふ事を厚くし、少しは堅くすべし。
    ナスタバコなど、葉っぱが広く大きく茂り、幹の上部が重くなるような種類の植物は、幹が揺れる事を嫌います。 培いは厚めにして、土も少しは固めにするとよい。

    『巻之三 菜之類 茄(なすび) 第七 7節』(P.139)
    茄(なすび)8節 へ

    ナス の項あり
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【茄(なすび) 第七 5節】
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【茄(なすび) 第七 1〜4節】
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【茄(なすび) 第七 6節】
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【茄(なすび) 第七 8節】
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【茄(なすび) 第七 9節】
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【茄(なすび) 第七 10節】
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【茄(なすび) 第七 11節】
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【茄(なすび) 第七 13節】
    菜之類 茄(なすび) 第七 13節

     苗にして移植する理由
     茄子の種子を畠にまき置きて、其まゝうへ付けにして、糞培の手入をすれば早くなるゆへ、 人によりてする事あれども、惣じて苗にしてうゆる物はなすびにかぎらず、苗うへが必ずさかへやすく利分も勝れり

     ナス(茄子)のタネを畑に蒔いて、そのまま生えるままにして、施肥や培いの手入れをすると早く実がなるので、 人によってはそうする事もあります。
    しかし、苗にしてから移植(苗植え)する作物は、ナスに限らずに、 苗植えの方が必ず育ち易く、利分が多いのです。


    いかんとなれば、うへ付けにしたるは何と念を入れても種へ所の寸尺も違ひ、 種付けのすぢ出入ありてよからず。 其上草だち大小ありて手入をよくしても、後まで同じ大さに成りがたし。

    その理由は、タネを蒔いたままその場で育てる(生え付け)のは、幾ら注意して丁寧にしても、タネを蒔いた場所ごとの広さもまちまちで、 タネ蒔きの筋にも凸凹があるので良く無いのです。 その上に、草立ちには大小の違いが出てきて、手入れを良くしても、それぞれが同じ大きさには成り難いのです。

    とかく苗を能く仕立て中にて勝れたるをゑり抜きて、大抵揃ひたるを種(う)ゆれば、 則ち移し種(う)ゆる苗、其地かはり土地の新しく珍しきを得て能く盛長し、 大小もなくひとしく榮ゆるにはしかず。

    とにかく、タネを蒔いて苗を良く仕立てて、その中でも良い苗を選んで抜いて、殆んど大きさも揃った苗を植えれば、 移植された苗は、土が変って新しい土地の新鮮な環境で、良く成長して、大小も殆んど揃って同じに成長するのです。

    『菜之類 茄(なすび) 第七 13節』(P.141)了
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【ナス】
    150820_ナス  (←クリックすると、下記キャプションの画像を表示します)。
    南アジア原産のナス、紫色の皮にはナスニンという成分が含まれます。 世界中で栽培されていて、その品種は1000種に及ぶといわれています。 卵のような形から、ナスの英名は「エッグプラント」。 背が高いほど多くの実をつけるナス、支柱を立てて生育を助けます。 枝を傷つけないよう緩く支柱と結びます。 枝が伸びてきたところで、重さに耐えられるよう支柱を2本追加します。 支柱が交わる部分はひもでしっかりと固定します。 枝と支柱も結んで完成です。 数日後、小さな実を見つけました、株に最初にできる果実「一番果」です。 株の疲労を抑えるため、一番果は小さいうちに摘み取ります。 真ん中にある緑色が雌しべもその周りが黄色い雄しべです。 雌しべが雄しべより飛び出ていると健康な株。 逆に雌しべが短い株は元気がない証拠、肥料や水をあげましょう。 ナスの実は90%以上が水分水が足りないと実が硬くなってしまいます。 こまめな水やりを心がけましょう。 美しい紫色は食用ばかりでなく染料としても使われます。 味が落ちて色もぼやけることから「ボケナス」と呼ばれます。 収穫期を逃さないように摘み取りましょう。 手入れを欠かさなければ、夏から秋にかけて長期間収穫を楽しめます。

    手入れを欠かさなければ、夏から秋にかけて長期間収穫を楽しめます
    とは、土かい水糞と小便のことらしい。
      但茄子一つ二つなるまでは、少し土かいて根に糞だまりをくぼめ置き、 水糞と小便をたび/”\かくべし。小便は五日に一度ほどかくべし。 凡なすび二ツ三ツもとる時分、草だち大きになりて後、右にいふごとくひろみぞの方よりおほく土かふべし。 小便は秋までもかけたるがよし。
      茄(なすび)7『農業全書巻之三 菜之類 茄(なすび) 第七 7節』より
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【瓜(うり)の類(るい) 第八 1〜12節】
    巻之三 瓜(うり)の類(るい) 甜瓜(あまうり) 菜瓜(さいくわ) 起瓜(あさうり) 胡瓜(きうり) 冬瓜(とうぐわ) 西瓜(すいくわ) 南瓜(ぼうぶり/なんくわ) 絲瓜(へちま) 瓠瓜(ゆうがほ) 第八

     1節
     瓜に大小あり。 小き物甘く大きなるは淡し。 甜瓜、甘瓜と云ひ唐瓜といふ、夏月貴賎の賞翫する珍味たり。 暑氣をさり、渇きをやめ、酒毒を解す。

     瓜には大小色々あります。 小さいものや甘く大きいものはさっぱりしています。 アマウリ(甜瓜)は、甘瓜唐瓜ともいいます。 夏の季節に、貴賎を問わず楽しみにして食べます。 暑気払いにもなり、咽喉も潤おして、二日酔い止めにもなります。

     2節
     タネは真ん中、端はタネ変りする
     種子を収め置く事はさかりの熟瓜の味勝れたるをあとさきを切さり、 中程の實ばかりを取りて段々灰にまぜ、多くあつめをきて後、ゆかきに入れ、 清く洗ひ粘り氣少しもなく成りたる時、浮きたるをさり、なる程よく干して布の袋か箱に入れ、 おさめ置くべし。 若し其まゝあとさきの種も共にうゆるか、本なり又は末なりのたねを用ゆれば、 必ずたねがはりする物なれば、中なりの味よく形よきをもちゆべし。 さきの方の子は瓜短し。 本の方の子は口ゆがみ曲がりて細し。

     タネを取るには、熟した味の良い瓜の上と下を切って中程のタネだけを取って灰に混ぜておきます。 沢山集まったら、ボール(ゆかき:湯掻き?)に入れてきれいに洗って粘り気がなくなったら、水に浮いた分は捨てて、乾かしてから布袋か箱に入れて保存しておきます。 上と下の部分のタネを使うと、タネ変りするので真ん中あたりの形の良いものを使います。 下(先)の方の種は瓜が短くなります。 上(本)の方は苦かったり曲がってしまったり細かったりします。

     3節
     水に浮く種は粃
     又種子を収むる法、瓜を食して勝れて甜(あま)きをゑらび、すりぬかにまぜて、 日に干し晒して揉みて、ぬかと粃を簸去りておさめ置くもよし。

     タネを取るには、食べてみて旨い瓜を選んで、摺糠(すりぬか)に混ぜて、日に当てて乾かして揉みます。 糠(ぬか)と実のない籾(もみ、粃:しいな)を箕(み)などでふるい落して、保存します。

     4節
     肥地過ぎると育つが不味い
     瓜を種ゆる地の事、黒土赤土黄色の少しは砂交りにて光色ありて粘り氣すくなきがよし。 さのみ肥へたるを好まず。 土性よく、強く濕氣はなくして旱に水を引くに便りよきをゑらぶべし。 土地肥へ和らかにしてふくやかなるはよくさかへ、ふとるといへども味よからず。 瓜を作るべき地は前年に小豆を作りたるよし。 其次は黍跡もよし。 冬より耕し、雪霜にさらし幾度もうちこなし置くべし。

     植える場所は、黒土でも赤土でも黄色の土でも、少し砂混じりで光沢があって粘り気の少ない土がよいです。 それほどの肥地は好みません。 土の性質がよくさほどの湿気はなくてよいが、旱魃には水を引いてくることが出来る場所がよいです。 土地が肥えすぎて軟らかでふくよかな場所ではよく育って大きくなるのですが、味が良くないです。 瓜を作る畑は前の年に小豆(あずき)を作った跡がよいです。黍(きび)の跡でもよいです。 冬の間から耕して、雪霜に晒して、何度も犂返しておきます。

     5節
     わきに大豆を二三粒蒔くべし
     又瓜だねのわきに大豆を二三粒蒔きてをくべし。 瓜の性はよはき物にて生じかぬるを、わきより大豆の性のつよき物が生ひ出づるにつれて生ふる故に、かくはする事也。 但瓜生じて三四葉の時大豆をばつみさるべし。 是又料理になる物なり。 其まゝ置きたるは、後瓜のさまたげとなるなり。

     また、瓜のタネを蒔いたらその傍に大豆を2、3粒蒔くとよいです。 瓜は発芽し難いので、傍に大豆を蒔くとその強い生命力につられて瓜も生えてくるので、こんなことをします。 瓜が芽を出して三葉四葉ほどに育ちはじめたら、大豆の苗は摘み取ってしまいます。 それ(大豆の苗)は料理にも使えます。 そのままにしておくと、今度は瓜の生育の邪魔になるのです。

     6節
     肥しはわき根のずっと先、蔓は摘み取るべし
     さて根のわきを度々打ちこなし、心葉出づる時四五寸わきに手のはらほど少しながく穴をなし、但深さ二寸餘り其中へ濃糞のよく熟したるを一盃入れ干付け置き、其後やがて土をおほひ、又五七日も間を置きて右の所より五六寸も遠のけて穴を廣くし、糞を入れ、土を覆ふこと前の如くし、又其後も段々かくの如くすべし。 凡そかやうに四方に穴をなし、先四度入るゝを中分とするなり。 又糞は二番までは桶糞を用ひ、其後は廻りを丸くわり廻し、油糟を入るべし。 かくのごとくする事二三遍なれば、瓜の味勝れてよき物なり。 惣じて糞を入るゝにはうへ物のわき根の先と、こゑの氣と五六日も過ぎて後、行き合ふ心得するものなり。 急に根の上にかくれば、却て痛みくせ付く物なり。 さきを留むる事は三葉四葉の時しんをつみさるべし。 長くのばすべからず。 さて葉の間より出づる枝を四方八方へ手くばりするなり。 其蔓又四五葉の付きたる時、各さきを摘み去るべし。 此度出づるつるになる瓜よし。 もとの一番蔦にはよき瓜はならぬ物なり。 枝ごとに二ツばかり瓜のなり花あるを見て、又さきを留むるもよし。 とかく初め終り絲のごときつるの出づるを見て、其後梢をつみ去るべし。 凡枝ごとに葉を付くる事、四つ五つには過ぐべからず。 若し又なり花もなき細くよはきつる間に出づるをば土ぎはより切りて捨つべし。 此つるにはたとひなり付きても用に立つべからず。 其まゝ置けば是に精ぬけて残るつるまで妨ぐる物なり。 惣じて瓜は一區に一本づゝ立て置くべしといへども、畦の廣さと間の遠近によりて二本宛或は一區は一本、一まちには二本をきたるもよし。 大かたの畦にては二本の上は必ずをくべからず。 蔓つよくしてうすきが枝ごとによくなる物なり。 しげくもつれあひぬれば、いか程こやし手入れをしてもよき瓜ならぬ物なり。 其上永雨旱りには早く痛む物なれば、つるのしげからず健やかにてなり付きたるは、瓜のなりよく、疵なく、十分熟し落つるなり。 瓜の多くなる事を好みて、蔓數多く生立てをきたるは、必ずうるはしくなりのよき瓜はならぬ物なり。

     7節
     蔓の手配り
     又つるの手くばりをする時、小麥わらを下に敷くべし。 四五尺ばかりのはゞの畦なれば、わらの本と本と、中にてつき合ふ様に敷きて、蔓のかたよらぬ様に八方に手をくばるべし。 瓜づる其わらにまき付きて風の吹返へす事なく、又なりたる瓜にわらを敷きぬれば、土に付きたる所蟲の喰ふ事なく濕氣にそこぬる事もなし。

     8節
     前年に粟を作るがよし
     又瓜を作る法、田畠によらず、瓜によくあひたる地を吟味し見立てゝ、 前の歳晩粟(おそあは)をまき、熟して刈り取り其かりかぶを一尺も長くして耕す事、 順に一度逆に一度、とかく瓜の畦に作る時は、かり株上に出づる様に犂くべし。 其後かきならし、平かに畦作りし、區を作りたねをうゆる事は右の如し。 瓜つる粟のかぶに巻き付きて、是を力にして甚だ多くなる物也。 粟のかぶの多き程、瓜の數も多くなるなり。 其上風雨のあらき時もまとひ付きぬる故、さのみそこぬる事なし。 惣じて瓜は風に蔓を吹返へされては殊の外痛みてならぬ物なり。 假初にも蔓をうごかし、葉を返へすべからず。

     9節
     蔓は巻きつかせる
     中うちする事は花初めて咲くまではたび/\打つべし。 畦の中は云ふに及ばす、近き廻りにも草少しもなく取り去るべし。 粟のかりかぶにかぎらず、小枝の多き柴のわか立などを多く切りて畦に敷きて土をかけ、 つるをまきつかするもよくなる物なり。 同じ事にても早粟は作るべからず。 早粟の跡は地やせて作り物よからず。

     10節
     雪の力
     又瓜を作る法、六月緑豆を蒔き、苗ながく成りたるを、八月犂きかやし腐らかし、 十月又一遍すき返し、十月の末畦を廣く作り、 大きなる丸盆ほどに深さ五六寸ばかりに穴をほり其土をのけ、 なる程性のよき土を以て其穴を埋めならしふみ付け、 大かた地とひとしくしてうるほひをもたせ置き、瓜たねと大豆と各十粒ばかり穴の中にばらりと蒔き、 其上に糞を二三升土を少し加へ廣げ、其上にも又糞をうすくちらし少しふみ付け、雪の時いかほども多くかきおほひ高くして置き、春になりて草の萌え出づる時、瓜も葉茎を生ず。肥へさかゆる事、尋常の瓜にてはなし。 尤寒中より土中に陽氣のやしなひつよく、雪にて蟲けらも死し、地の氣さかんなるゆへ、 五月は早く瓜熟するものなり。

     6月に緑豆を蒔きます。
    8月に苗が長くなったのを鋤(す)いて散らかして腐らせます。
    10月にもう一度鋤き返します。
    10月末に畦を広く作ります。
    大きな丸盆ほどの広さで深さは5、6寸の穴を掘ります。
    その土は払いのけて性の良い肥土を入れて均して踏み付けます。
    大体地面の高さと同じにして湿り気を持たせておきます。
    瓜のタネと大豆のタネをそれぞれ10粒ほどを穴の中にぱらりと蒔きます。
    その上に堆肥を2、3升に土を少し混ぜて広げます。
    その上にも堆肥を薄く散らして踏み付けます。
    雪が降ったら、雪を掻き集めて積み上げます。
    春になって、草の生えてくる頃に、瓜も芽が出てきます。
    この方法だと、瓜はとても大きく育ちます、尋常の瓜どころではないほどに育つのです。
    これは、寒中に土中の陽気が蓄積するのです。
    雪で虫なども死んでしまいます。
    地の気勢が盛んになるので、5月には早くも瓜が熟します。


     11節
     牛糞に交ぜて冬を越す
     又冬より瓜たねを熱き牛糞に交ぜをき、凍らせて後取りあつめ、 日かげの少し濕り氣の所におほひをして置き、正月地とけて瓜田を常のごとくこしらへ、 二月早くうゆれば、甚だ肥へさかゆる物なり。

     12節
     東寺鳥羽の上農の作り方
     又東寺鳥羽にて瓜を作る法、たねを取りをく事右に同じ。 うゆる時分の事、二月の中より十日ばかりを定むる時とするといへども、 其年の寒暖又は霜の考へをして少しさしひきはあるべし。 畦作り横はゞ一間、溝一尺餘、横一間の内兩方の端に少しよせて竪筋をかき、麥を蒔き置き、 中のあきたるところを冬より深く打返し、さらし、春に成りてよくこなし、三尺づゝ間を置きて、 さし渡し五六寸の小まちを作り手にて少したゝき付け、 わきの地よりは少し高く成りて水たまりなきほどにして、 其小區の中にたねを十粒ばかりばらりと蒔き、其上に片手一盃ほど砂土をおほひ、 生ひそろひて少しづゝ間引き、心葉二つ出るまで段々間引きて心葉ふとく成りてより、 中にて性の強く大きなるを一本をきて残りは皆ぬき捨つべし
    (右は上方にて上手の作る法也。よのつねの手入にては一くろに瓜二三本うゆべし)。
      ※頭註 又云く、東寺あたりの瓜うね、よこ一間ばかり、たてのならび一尺二三寸、あるいは、四五寸、一本づつ立てをく也。 うゆるくろの所一二寸たかくするなり。


    『巻之三 瓜(うり)の類(るい) 甜瓜(あまうり) 菜瓜(さいくわ) 起瓜(あさうり) 胡瓜(きうり) 冬瓜(とうぐわ) 西瓜(すいくわ) 南瓜(ぼうぶり) 絲瓜(へちま)瓠瓜(ゆうがほ) 第八 1〜12節』(P.141〜146)
    瓜類(うりるい)13節 へ
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【瓜(うり)の類(るい) 第八 13節】
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【瓜(うり)の類(るい) 第八 14節】
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【瓜(うり)の類(るい) 第八 15節】
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【瓜(うり)の類(るい) 第八 16節】
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【瓜(うり)の類(るい) 第八 17節】
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【鶏頭花(けいとうげ) 第二十】
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【時節(じせつ)を考(かんが)ふ 第四 1】
    巻之一 時節(じせつ)を考(かんが)ふ 第四 1

     民に時を授くるの説は、唐の堯典に出でて、其詳なる事は夏小正月令、玉燭寳典、月令廣義、其外天文の書などに委しといへどもこゝに略しぬ。

     民に時を知らせることの説は、堯の書物に出てきます。 その詳細については「夏小正月令」「玉燭寳典」「月令廣義」やその他天文の書などがありますがここでは省略します。
    堯舜(ぎょうしゅん)

    凡種藝の事には四季八節二十四節を考へて(四季は春夏秋冬、八節は立春、春分、立夏、夏至、立秋、秋分、立冬、冬至也)。 其時日にをくれず時分々々に耕し種ゆるを肝要とするなり。

    農業においては、四季八節二十四節を考えてそれらの時に遅れないように、各々の時節に耕して植えることが大事なことです。 四季は春夏秋冬のこと。八節は立春春分立夏夏至立秋秋分立冬冬至のことです。
    ついでに、二十四節(節気)は、 立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨・立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑・立秋・ 処暑・白露・秋分・寒露・霜降・立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒。とある。二十四気。


    四季八節を用ひて月にはかゝはるべからず。

    農業においては、この四季八節を使います。月は関係無しです。
    節気とは、太陽の黄道を24等分して、太陽がその位置に来たときの季節を示すようにしたものです。 なぜかというと、旧暦(陰暦)では、季節と暦日には不一致があります、それを補うために暦には現在も月日の外に節気が印刷されているのです。


    喩へば歳の内の立春なれば、其節を追ふて臘月に春の耕しを始むるがごとし。

    例えばその年の立春の日を見て、その季節から逆算して準備をすると12月(旧暦)に春の耕しをする事もあるわけです。

    地の利と人の功とはよく調るといへども、天の時に合はざれば苦勞空しくして益すくなし

    その土地の利と、人の努力は勿論必要なことですが、天の時に合致しないと空しい苦労ばかりで収穫はないのです。

    尤南北の違ひ、山川の勢により、寒暖のかはり有りて、其所々々のよき時節ある事なれば一偏に定めがたし。

    もっとも、緯度の違いや地勢や寒暖は各々の地方で違いがあります。 その地方毎に一番良い時節というのがあるので、一概に決め付けることは出来ないのです。

    されども大抵定りたる中分の法を立てをきて、其所の草木發生の時を見合せ、年々の心覺へしてうへ蒔くべし。

    それでも、大まかには定まっている中分の法(真ん中あたりを基準にする)で考えて、その地方での草木の生える時節を見ておいて、毎年の心覚え(記録)をして、植えたり蒔いたりするようにします。

    四時各其つとめあり。

    春夏秋冬、その季節毎にすべき作業があります。

    十二ケ月をの/\宜しきあり。

    各月ごとに合った作業があります。

    時節に先立ちてうゆれば早過ぎて生ぜず。

    その時節(四季八節二十四節気)というものがあります。時節に先んじて植えても早過ぎると生えません。

    又時節にをくれて種ゆれば晩くして實りうすし。

    また、時節に遅れて植えると、生長も遅れて収穫は少なくなります。

    物によりて時節少しの違ひにて其實り甚だ少き事なれば、能ヾ考へ計るべし。

    植物の種類によっては少しの時節の違いでも、実りも少なく収穫にも大差がでるので、段取りをよく考えて計画します。

    智者ありといへ共冬うへて春収る事はならざるものなり。

    いくら賢い人であっても、冬に植えて春に収穫できるなどということはないのです。

    『巻之一 時節(じせつ)を考(かんが)ふ 第四 1』(P.62〜63)
    時節(じせつ)を考(かんが)ふ 2節 へ
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【時節を考ふ 第四 2節】
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【時節を考ふ 第四 3節】
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【時節を考ふ 第四 4節】
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【時節を考ふ 第四 5節】
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【時節を考ふ 第四 6節】
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【時節を考ふ 第四 7節】
    農事總論 時節を考ふ 第四 7節

     事を前に定める工夫
     抑事を前に定むる工夫は、農事には限らねども、農人は取分け心を用ゆべし。 天氣の考へを疎かにしぬれば、一時の風雨により數月の苦勞を忽ちに空しくすること間(まま)多し。 かならず油断すべからず。

     すべき事について事前に予想して予定を立てることは農事に限りませんが、農民は特にこの事についての心掛けが必要です。 天気についての考えを疎かにすると、ただ一時の風雨によって、数ヵ月の苦労が徒労になってしまう事もあるのです。 油断してはなりません。

    物ごと進むは陽なり。 後るゝは陰なり。 農業も軍事にかはることなし。 すゝまざれば勝利少なし。 日月の天にめぐりて瞬(またたき)する間も、滞りたゆみなき理りを日常として寸陰も怠るべからず。

    物事の前進するのは、陽の気からなります。 後退するのは、陰の気が作用します。 農業でも軍事でも同じことです。 月日は天の運行で瞬きする瞬間にも、滞る事なく弛み無く進みつづける理(ことわり)を日常そのものとして生活する気持を寸陰も忘れてはいけないのです。

    殊に耕作種藝の事は、直に天道の福を専らいのる事なれば、 怠懶(をこたりものうく)して朝も日にをくれて起き、大切至極なる光陰をわきまへず、 今日の日の又なき理りをばうちわすれて、偏に怠りがちに不浄なる氣立にて農業をいとなめば、 其心違へるを以て天道のめぐみにもれ、いつとなく田畠も瘠せあれ、年をへ月をかさね災いやまし、 飢寒のうれへにせまり、後々は父子夫婦もはなればなれになり、終に人づかはれの身とおちぶれ、 貧苦のかなしみやむ時なし。

    特に、稼穡(かしょく、耕作して種えて草ぎり培う事)の道は、直ちに天道様の恵みによることなのです。 怠惰で物憂く朝も遅れて起き出して、大切至極の時間を無為に過すことは、 今日という日はまたと無いという理(ことわり)を忘れているのです。 サボってしまったり、邪な考えで農業を営むと、その心違いによって、天道様の恵みにあずかる事はないのです。 いつしか田畑は痩せて荒れ果て、年月を経る毎に災いも増えてきます。 そして飢饉と寒さの憂いが迫ってきて、後々になると家族離散、終いには人に使われる身分に落ちぶれて、 貧苦の悲嘆にくれ続けることになるのです。

    然れば心あらん農民は、必ず後のうれへを思ひてあらかじめふせぐべし。 天の時にしたがひ一寸の光陰をも大切におしみて、農業に身を投(なげう)ち、 心を用ひること慎んでおこたる事なかれ。

    そのようにならない為にも、心有る農民は、必ず向後の憂いを想像して、その憂いを予め防がねばならないのです。 天道様の計らいに従って、一瞬の時間でも大切にして、農業に身を投げ打つ、慎んでその心持ちを思い、怠ってはならないのです。

    『農事總論 時節を考ふ 第四 7節』(P.64〜65)了
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【白○(びやくし)】
    巻之十 藥種類 白○(びやくし) 第十七

    160330_びゃくし
     白○は唐のを用ゆるがよけれども、山城にては倭(わ)を作りて是も藥屋に賣りて利あると云ふなり。 肥地を細かにこなし、春たねを蒔きて、明る正月苗ふとりたるを、 いかにも肥へ和らかなる性よき地に菜をうゆるごとく畦作りして、當○を作る法のごとくうゆべし。 九、十月根を掘り取りて浄く洗ひ、干上げて堅く成りたる時、收めをくべし。 二年なれば根もふとく性も強し。 一年の物はいまだ小さし。

     ビャクシは唐のものが良いですが、山城(やましろ)地方では日本のものを作って薬屋に売って儲けがあるということです。 肥地を細かにこなして、春に種子を蒔いて、翌年1月に苗が太ってきます。 それを肥地で柔らかな土性の良い畑に、菜を植えるように畦作りをしてトウキの植え方と同じ様に移し植えます。 9、10月に根を掘り取ってきれいに洗い、乾燥させて硬くなったら収納しておきます。 2年ものだと根も太くて薬効としても良いものになります。 1年ものはまた少し小さいです。
      ビャクシは、花独活(はなうど)とあります。 茎・若葉・葉柄は食用、根は風邪薬。日本国内では西日本に自生する。

    『巻之十 藥種類 白○(びやくし) 第十七』(P.341〜342)
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【當○(トウキ/たうき) 1節】
    藥種類(やくしゆるい) 當○(たうき) 第五 1節

    160207_薗に作る藥種
     當○は、種子を取り置く事、去年の苗をうへ付けにして、 當年花咲き子(み)をむすびて秋よく熟したるを收め置くべし。 又は去年のかぶを移しうへて、たねを取るもくるしからず。
    其畠肥地ならば糞を用るに及ばず。 瘠地ならば見合せ、過ぎざるほどをはかりて糞を入るべし。
    茎あかく實の所も色付きたる時、取りてもみ、粃を簸(ひ)去りて袋に入れつり置くべし。
    青く不熟なるは少しも交ぜをくべからず。 早くたう立ちて根に入らず。

     トウキ(当帰)の種取の方法です。 去年の苗を植付けて、今年に花が咲いて実をつけて秋によく熟したら種を収穫します。 または、去年の株を移植して、種を収穫するのも問題無しです。
    園地が肥地であれば肥やしを使うこともないです。 瘠せ地であれば、塩梅を見て、やり過ぎないほどほどを見極めて肥しを入れます。
    収穫時期は、茎が赤くなり実の部分も色付いてきたらもぎ取ります。 それを揉んで、箕などでふるって殻(しいら、簸)をより去ります。 袋に入れてぶら下げて保管します。
    色がまだ青い未熟な実は混ぜておかないことです。 (種として蒔いたときに)早く茎の部分が育ちすぎ(薹(とう)が立っ)てしまい、根が育たないのです。


    『藥種類(やくしゆるい) 當〔き〕(たうき) 第五 1節』(P.331)
    當○(トウキ/(たうき))2節 へ
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【當○(トウキ/たうき) 2節】
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【當○(トウキ/たうき) 4節】
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【當○(トウキ/たうき) 5節】
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【當○(トウキ/たうき) 6節】
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【當○(トウキ/たうき) 7節】
    藥種類(やくしゆるい) 當○(たうき) 第五 7節

     湯煮したるは性薄く悪しし
     本法は湯煮したるは性うすくなりてあしし。 生ながら數日よく干すべし。壷に入れをきて梅雨の前四月に一度、梅雨の後一度、八九月に一度凡年中に三度干すべし。 かやうにすれば、藥性よく、數年をきても蟲喰ひ損ずる事なし。 是よくためし心みたる良法なり。其味藥屋にある物にくらぶれば甚だ甘くして味よし。 本草に當○を湯にて煮る事見えず。 日に干してあつき中につぼに入れ口をはりてをくべし。 時珍が説に見えたり。

     トウキを煮沸する方法は、功能も薄れるので良くない。 生のまま数日良く干す事です。 壷に入れておいて、梅雨前の4月に1回、梅雨の後に1回、8、9月に1回と、1年に3度干すのです。 こうすれば、薬効も薄れず、数年保存しても虫に食われたりする事もありません。 これは実際に試してみたことで、良い方法でした。 味も薬屋にある物と比べても、とても甘くて味も良いです。 「本草」にもトウキを煮沸するという既述は見あたらない。 日に干して、暑い最中に壷に入れて、口を密封しておくのです。時珍の説にはある。

    『藥種類(やくしゆるい) 當○(たうき) 第五 7節』(P.333)了
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【楊梅(やまもも)】
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【楊梅(やまもも) 第十 2節】
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【楊梅(やまもも) 第十 3節】
    菓木之類 楊梅(やまもゝ) 第十 3節

    楊梅
     又桑の木をだい木として楊梅を接ぎたるは酸からずして甘し。 若し又木に瘤を生じたる時は甘草を釘にして、ひたとうつべし。 病其まゝのく物なり。

     桑の木を台木にして、やまもも(楊梅)を接ぎ木すると、酸っぱくなくて甘くなります。 もしも木に瘤(こぶ)が出来たら、甘草かんぞう?)を釘にして、ひたと打ち付けます。 瘤が取れるのです。(??

    『菓木之類 楊梅(やまもも) 第十 3節』(P.277)了
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【棕櫚(しゆろ) 第五 1節】
    巻之九 諸木之類 棕櫚(しゆろ) 第五 1節

    160327_離郷・東武線
     しゆろをうゆるは九月實よく黒く熟したるを取り俵に入れ、土に埋み置きて二月芽少し出づるを、 肥地を畦つくりし、菜をうゆるごとくし、少し深く横筋をかき、にんにくなどうゆる如く、 二寸ほどに一粒づゝうへ、糞土を以ておほひ、其上よりも土をかけをし付けをくべし。 よく生ゆる物なり。 生て後芸り、乾く時はシ甘水をそゝぎ、中をかきあざりて時々小便うちたるは、 尚よく榮へふとる物なり。 明春うつしうゆべし。

     棕櫚(しゅろ)を植えるには、9月に黒くよく熟した実を取って俵に入れて、土に埋めておきます。 2月に発芽したら、肥地に畦を作って、菜物を植えるのと同じ様にして、少し深く横筋掻きます。(ニンニク)を植えるように、2寸間隔ほどで1粒ずつ蒔いて、肥土で覆い、その上からも土を掛けて押し付けておきます。 これでよく育ちます。 生えてきたら草切り、乾いたら“シ甘(あまみず)”を注ぐ。 中を掻きあざって、時々小便を打っておくと尚も成長して太ります。 翌春に、移植します。

    『巻之九 諸木之類 棕櫚(しゆろ) 第五 1節』(P.296) 
    棕櫚(しゅろ)2節 へ
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【棕櫚(しゆろ) 第五 2節】
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【棕櫚(しゆろ) 第五 3節】
    諸木之類 棕櫚(しゆろ) 第五 3節

     
    140812_農業全書  150718_奥会津へ/浅草→会津田島

     皮を剥ぎ取る事、四季共にはぐといへども、三度ばかり大かたに剥ぐべし。 又二ケ月一度宛はぐともいへり。 土地と糞し手入によるべし。
    皮をとなし、水に入りて千歳くさらぬ物としるせり。 されば又船の大綱にして無類の物なり。唐船の綱は皆しゆろなりと云ふ。 其外牛馬の綱にし、つるべなはにして久しく朽つる事なし。わらぢに作りて敗るゝ事なく、土泥もつかず、軍陣のわらぢにはかならず是を用ゆべし。に作る事は唐の書には見えず。

     シュロの皮は、一年中剥ぐことが出来るのですが、3回くらいは大掛かりに剥ぎます。 また、2ヶ月に1回剥ぐ、ともいいます。 育地の質と、施肥手入れ状態によるのでしょう。
    皮を縄に作れば、水に漬けてあっても千年腐らない、と書いてあります。 それで、船の大綱には強靭無類也。 唐船の綱は全部シュロ(棕櫚)なのだそうです。 その他には、牛馬の綱に使う釣瓶縄にして長年朽ちることが無い、といいます。 草鞋(わらじ)に作れば破れる事が無い、泥土も付かないので、兵隊の履物にはこれを使います。とある。 箒(ほうき)にすることは、唐の本には書いていない。


    此木の益たる事多くうゆれども、土地もさのみついへず、人力も入らずして利を得る事は甚だ多し。 大船多き國に取分け多くうゆべき物なり。 此大綱一筋にては大風の時苧綱十倍のやくに立つべしと云ふなり。

    この棕櫚の木の特長は、本数を多く植えてもさほど場所も取らないことと、人手間要らずで有益なことがとても多いことです。 大きな船の多い地方では、特に多く植えておくべきでしょう。 この大綱1本で台風の時には、苧綱の10倍も役に立つ、というのです。

    『諸木之類 棕櫚(しゆろ) 第五 3節』(P.297〜398)
    棕櫚(しゆろ)4節 へ

    此大綱一筋にては大風の時苧綱十倍のやくに立つべしというなり。
    読み方は不明。[をづな]でしょうか。
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【棕櫚(しゆろ) 第五 4節】
    諸木之類 棕櫚(しゆろ) 第五 4節

     昔古塚をひらきたる者縄一わげを得たり。 ほり出し見れば根を生じたり。 是棕櫚の縄にて棺をからげたるが、縄ばかりは朽ちずして却つて根を生じたるとしるし置けり。 名譽の木なり。 うへ安く生立ちやすし。 多くうゆべし。 多年の後は少しの苦勞もなくしてとし/”\に皮をとり、たしかに利を得る事うたがひなし。

     昔、古墳を開けた者(盗掘者か)が、中で輪になった縄を見つけたのです。 それを掘り出してみると、根が生えていたというのです。 これは、棕櫚縄で棺をからげ(絡げ)てあったものが、その縄だけは朽ちずに残って、根が生えた、と書かれているのです。 誉れ高い木ともいえます。 植え易く育ち易いのです。多く植えるとよいでしょう。 数年後には、殆んど世話の手間も掛らずに、毎年毎年皮を採取出来るのです。 確実に便利を享受(利益も)出来る事は間違い無いのです。

    『諸木之類 棕櫚(しゆろ) 第五 4節』(P.298)了
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【鶏(ニワトリ/にはとり) 第二 1節】
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【鶏(ニワトリ/にはとり) 第二 2節】
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【鶏(ニワトリ/にはとり) 第二 3節】
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【鶏(ニワトリ/にはとり) 第二 4節】
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【鶏(ニワトリ/にはとり) 第二 5節】
    生類養法 鶏(にはとり) 第二 5節

     甚だ多く畜ひ立つるは、人ばかりにては夜晝共に守る事なり難く、狐猫のふせぎならざる故、 能よき犬を畜ひ置きてならはし守らすべし

     とても多数の鶏を養育するには、人手だけでは昼夜一日中見張る訳にもいきません。 狐や猫の侵入を防ぎきれ無くなるので、賢い犬を飼って、番犬にして守らせます。

    (但しかやうにはいへども、農人の家に鶏を多く飼へば、穀物を費し妨げ多し。 つねのもの是をわざとしてもすぐしがたし。 しかれば多くかふ事は其人の才覺によるべし)。

     ただし、そうは言っても、農家で鶏を多く飼えば、穀物の餌代も掛るし他の問題も出てきます。 普通の農家で、これを専業とすること難しいです。 だすから、多く飼えるかどうかはその人の才覚にもよります。

    『生類養法 鶏(にはとり) 第二 5節』(P.326)了
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【茜根(あかね) 第六 5節】
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【茜根(あかね) 第六 1節】
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【茜根(あかね) 第六 6節】
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【茜根(あかね) 第六 2節】
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【茜根(あかね) 第六 7節】
    三草之類 茜根(あかね) 第六 7節

     同じく醋のさし加減、あかね染の大秘事とて口傅する事なし。 されども、水二升に一盃入るとあるときは、 凡さしかげんを考えへて、少しのものをたび/\加減して染めて心見たらば手の下にしるしを見るべし。 さてそめ上げては、しぼりて、かげに干すべし。 少ししめり氣ある中にたゝみて、ぬり桶などに入れて一夜をくべし。 一夜に三度もたゝみかへたるよし。

     酢の差し加減については茜染めの門外不出の大秘密といわれて、口頭でも教えてくれません。 しかし、水2升に1杯入れるとあれば、大体の差し加減を想像して、 少しの分で何度も加減して染めて試して見れば、たちどころに解ってしまう事です。 染め上げた後は、絞って陰干しします。 少し湿り気のある状態で畳んで、塗桶(ぬりおけ)などに入れて一晩おきます。 一晩に3回ほどもたたみ代えると良いです。

    若し又、いづみ醋に鹽氣ある事あり。 杉原紙に熱き飯を包み醋の中に入れをきて半時ばかりして取上ぐれば、鹽其まゝぬくるものなり。

    また、和泉酢(いずみす)に塩気が出ている事があります。 そんな時は、杉原紙(すぎはらがみ)で熱い米飯を包んで酢の中に1時間程入れておいてから取り上げると、塩気が抜けます。
      杉原紙(すぎはらがみ)は、 鎌倉時代、播磨国揖東郡杉原村(兵庫県多可郡加美町)で産した紙。 奉書紙に似てやや薄く種類豊富、主に武家の公用紙として用い、のち一般に使用、各地で漉かれた。とある。(以上は簡便辞書より)
      こんな事を調べていくと、杉原漉原(すきはら)の転化とか、道草したくなる事項が色々と(笑)

    『三草之類 茜根(あかね) 第六 7節』(P.230)了
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【茜根(あかね) 第六 3節】
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【茜根(あかね) 第六 4節】
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【凡例 8節/此書真名字の左にかなを付くるは、】
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【凡例 9節/農家此書をよみ其大概をしるといふとも、】
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【凡例 7節/此書の趣、大體を序にあらはし、】
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【凡例 1節/予此書を述ぶる本意は、】
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【凡例 10節/後來文才餘り有りて且農事に】
     一、後來文才餘り有りて且農事に熟したる人あらば、猶此書を増補し、 彌々民の益たらん事、予が微賎に在りて世を患ひ農をめぐむの素意にして、尤希ふ所なり。

     一、元々より文才があってしかも農事について熟知している人がいたら、 この本の内容を追加改訂補筆していただきたいのである。 よくよく民人の益になることを思い、わたしのつたない農業経験から、世間を思いどうすれば農業の役に立つかを考えたことが本意であり、 これがわたしの尤も希求することもあります。

    抑々此書は本邦農書の権輿なり。

    そして、この本は我国の農業についての本の魁(さきがけ)と自負するのです。

    是偏に愚翁と樂軒子が、老を忘れて世をうれへ、農を憐む誠より出でたり。

    このことは、ひとえにわたし(宮崎安貞)と貝原樂軒とが、老骨に鞭打って、世の中を憂えて、 農業について啓蒙したいという誠心から出たものです。

    然れば後代の君子かならず此志を賞し、二翁が勞を長く來世に傅へて、其功を空しくせざらん事、 是又仁者百行の一ならんかし。

    されば、次世代の経世済民の方々には、この志を汲んで、我々二人の老人の骨折りを長く後世に伝えていただき、 この苦労が無に帰すことのないことを望むのです。 これはまさに、仁徳の孝は百行(ひゃっこう)の基(もとい)となればと思うのです。

     凡例畢

     凡例、お、わ、り!

    『農業全書 凡例 10』(P.28)

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【凡例 2節/先年山陽道より始め畿内、】
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【凡例 3節/予立年の後ゆへ有りて致仕し、】
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【凡例 4節/予が故人樂軒翁は、】
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【凡例 5節/吾本より文才なくして】
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【ミニゴボウ】
    150819_ミニゴボウ
    (↑クリックすると、下記キャプションの画像を表示します)。
    土のかたまりや小石があると真っすぐ伸びないため、深くしっかりと耕します。 殻が硬いため一回水に浸します。ゴボウの種は発芽に光が必要なので土は薄めにかけます。 保温をするために不織布をしき、水やりをしたら完了です。 葉がふれ合わないように芽を抜き取ります。 株の間隔を保つことで、ゴボウは勢い良く育っていきます。 まんべんなく肥料が行き渡るように、土に混ぜ込みながら株元に寄せます。 抜き取った株は小さいですが、食べてみれば立派なごぼうの風味。

    ゴボウはいや地を嫌わないことが、農業全書には書かれています。 惡實(牛蒡/ごぼう)(巻之四 菜之類 惡實(ごぼう) 第六 7節)

    ゴボウは古いタネが良いとも、農業全書には書かれています。 惡實(牛蒡/ごぼう)(巻之四 菜之類 惡實(ごぼう) 第六 8節)

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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 7節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 8節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 1節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 2節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 4節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 3節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 6節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 1節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 2節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 4節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 3節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 6節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 5節】
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【惡實(牛蒡/ごぼう) 第六 9節】
    菜之類 惡實(ごぼう) 第六 9節

     極大ゴボウの作り方、その他秘技
     又甚だ大き牛蒡を作る事は、細沙の勝れたる肥地を堀打ちにする事、深さ五尺ばかり、 埋糞を多くして一畝の畠を塊少しもなき様にし、濃肥を二三十荷もうち、よく干し晒しをき、 其後も又上下に幾度も打返し、細かにかきこなし、寒中さらし、 正月に至り寒氣和らぎて上を平かにかきならし、 がんぎを一尺餘りに廣く切り、たねの中にて大きにてよく實りたるをゑりて、灰糞を以て蒔くべし。

     とても大きいゴボウの作り方です。 細砂混じりの優良な肥地を掘り打ちにします。 深さは5尺ほど掘ります。 埋め肥を多く入れて、1畝(ひとうね)分の場所には土塊が全くない様にします。 濃肥は2、30荷も打って、よく晒しておきます。
    その後もまた、上下に何度も打ち返して、細かにこなして、寒中に晒しておきます。
    1月になって、寒気が和らいできたら、土の上を平らに掻き均します。 がんぎは1尺あまりに広く切ります。 種子は、その中でも大きくてよく育ちそうな粒を選びます。 灰肥と一緒に蒔きます。


    土をおほふ事四五分ばかり、うるほひを得ざれば生じかぬるゆへ、雨を見かけて蒔くべし。 生ひて後ぜん/\間引きて、一尺に一本ほどをきたるよし。 其外手入替る事なし。
    是は取分けこやしをたび/\多く用ゆるゆへ、葉甚だ肥へて根うつくる事あり。 茎葉さかへんとするを、折々ふみ付けをくべし。

    土は、4、5分ほど覆います。 ゴボウは潤いがないと芽が出ません、 雨もよいになりそうな天気の日に蒔くのです。 生えてきてからは、少しずつ間引きをして、1尺に1本くらいになる様にします。 その他の手入れ方法は、普通のゴボウの世話と同じです。
    この方法は特に施肥を度々多く使うので、葉ばかりが肥えてしまって、根が虚けることがあります。 茎葉が伸び盛りになりそうになるので、時々踏み付けておくのです。


    香味付け技法
    根のわきを少しほりくぼめ、油かすを入れて土をおほひ置きたるは取分け和らかにして、 にほひもよく牙もろし。 うねの中に草少しもをくべからず(又一説には八幡の牛蒡のたねは越前より取來り用ゆと云ふ)。

    根の脇を少し掘り窪めて、油糟を入れて土で覆っておくと、特に根がやわらいで、匂いもよく、歯ごたえの良いゴボウになります。
    畝(うね)の中には、草一本無い様にしておきます。
    風評によると、あの八幡牛蒡のタネは、実は越前から取り寄せて植えている、と謂うのですヨ。


    『菜之類 惡實(ごぼう) 第六 9節』(P.166)了
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【赤小豆(あづき) 1節】
    五穀之類 赤小豆(あづき) 第十一 1節

    150920_奥会津にて・収穫など
     赤小豆、是又色々あり。 赤白緑の三色(尤形の大小色づき所により品々おほし)、中にも少し粒のほそき赤小豆を専ら種ゆる事なり。
    小豆は李に生ずとて、すもゝのさかゆる年、小豆よく實るものなり。 うへて六十日にして、花咲き、又六十日にして熟する物なり。

     アズキ、これも色々種類があります。 赤白緑の三種類の色があります。 それに形の大小や色付き具合で、作る場所によっても多種あります。 その中でも、粒の少し小さい赤いアズキ(小豆)がよいです。
    アズキは李(すもも)に生ずと言って、スモモのよい年は、小豆もよく実ります。 蒔いてから60日で花が咲き、それから60日で実が熟します。


    『五穀之類 赤小豆(あづき) 第十一 1節』(P.116)
    赤小豆(あづき)2節 へ
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【赤小豆(あづき) 2節】
    五穀之類 赤小豆(あづき) 第十一 2節

    150920_奥会津にて・収穫など 小豆、藁莚
     種ゆる地の事、大かた麥跡を用ゆべし。 是も夏秋二色あり。 夏小豆は麥跡は遅し。 畑餘計あるものは去年の粟跡を用ゆべし。
    又秋小豆は夏至の後十日過ぎてうゆるを上時とし、土用の入を中時とし、同じく半を下時とす。 是を過ればおそし。 麥跡にてもかきこなし、磽地ならば少し灰糞を用ゆべし。

     植える場所は、大抵は麦の跡地を使えばよい。 アズキも夏物と秋物の2種類があります。 夏小豆は、麦の跡地では遅くなります。畑に余地があるのであれば去年の粟の跡地がよいでしょう。
    秋小豆は、夏至の後10日過ぎに蒔くのが上時で、土用の入りは中時、土用半ばが下時です。 これを過ぎては遅過ぎます。 麦跡の地を掻きこなして、瘠せ地ならば少し灰肥を使います。


    160403_農業全書・赤小豆
    種子を凡一段に二升或は二升五合横筋を切りても、又ちらし蒔きにても薄くむらなくさかへ茂りて後、 枝葉のつき合はざるを好む物なり。
    中うち芸り二遍ばかりして、葉ことごとく落ちて後ぬき取るべし。 小豆は三青四黄と云ひてさやの三つはいまだ青く、四つ黄なる時ぬき取るといへども、 小豆は霜にあふまで置きても落つる事なし。 本より末まで粃(しひら)なくよく實る物なれば、勝手にまかせて取り收むべし。

    種子はおよそ1反に付き2升から2升5合の勘定です。 横筋を切って蒔いてもよいし、散らし巻きでもよいです。 薄く斑なく生え茂ってきてからは、枝葉が隣の小豆とぶつからないほうがよいです。
    中うち草切りは2回ほどします。 葉が全部落ちてから抜いて収穫します。 小豆は、三青四黄と謂って、莢が3つほどが青いままで、4つが黄色くなった時に抜きとる野がよいといいます。 が、小豆は霜が下りるまで置いても莢や実がこぼれ落ちる事はありません。 また、枝先の莢まで空莢(粃、しひら)はなく良く実るものなので、作業の都合の良い日に収穫すればよいでしょう。


    『五穀之類 赤小豆(あづき) 第十一 2節』(P.116)
    赤小豆(あづき)3節 へ
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【赤小豆(あづき) 3節】
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【赤小豆(あづき) 4節】
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【百合(ゆり) 第十九 1節】
    巻之四 菜之類 百合(ゆり) 第十九 1節

    160415_農業全書・ゆり
     藥種にも用ゆる物なり。 本草を考ふるに花白きを用ゆと見へたり。 今の世に関東ゆり、薩摩ゆりなど云ふ類なり。
    又一種茎高くして葉の間に黒き子を生じ、五六月紅黄花を開く、花の上に黒胡麻をまきたるごとき黒點あり。 是巻丹(をにゆり)なり。 子を土に埋み置きて、零餘子(むかご)のごとく春種ゆべし。 居家必用に云く、行をなして種へ、科(かぶ)ごとにこゑを置き、水をそゝぐべし。 間五寸許にし後しげくは、別のうねに移すべし。 三年の後大さ盃の如し。 年々次第して種ゆべし。 よくわきの草を去るべし。
    本草に百合新なるはむして食し、肉に和して又よし。 乾きたるは粉にして餅となして食す。 人には益あり。

     薬用にも使います。 本草で調べると、白い花のものを使うとあります。 現在、関東ユリとか薩摩ユリといわれている種類の百合でしょう。
    また、茎が高く延びて、葉の間に黒い点(鱗茎、りんけい)があります。 5、6月に濃い黄赤色の花が咲きます。 花びらには、黒胡麻を撒いたような黒い斑点があります。 これは、オニユリ(鬼百合)という百合です。 鱗茎は土中に埋めておいて、ムカゴ(零餘子)の様に春に植えるとよい。 「居家必用」という本には、このように書いてあります。 行列にして植えて、株毎にコヤシを置いて水を注ぎます。 間隔は5寸ほどにして、育ってきたら別の畝に植替えます。 3年もすると、ユリ根は盃(さかずき)の大きさくらいになります。 毎年順々に植えていきます。 脇の草は取り去ります。
    「本草」にはこのように書いてある。 若い百合(ユリ根)は蒸して食用にする、肉と一緒に入れるとよい。 乾かしたユリ根は、粉にして餅にして食べます。ユリ根ムカゴ腋芽(えきが)のことか自信なし)


    『巻之四 菜之類 百合(ゆり) 第十九 1節』(P.178)
    百合(ゆり)2節 へ
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【百合(ゆり) 第十九 2節】
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【慈姑(クワイ/くはい) 第七 1節】
    巻之五 山野菜之類 慈姑(くはい) 第七 1節

    160313_農業全書・クワイ
     くはいは是泥中の珍物也。 先づたねを收めをく事、來年作るべき分量をはかりて水を落せば則ち堅田となる所に別にうへをき、 春移し植ゆる時分まで其田にをき、植ゆる時にいたりて掘取り、中にてふとく見事なるをゑらびてうゆべし。

     クワイ(くはい、慈姑)は、泥の中の珍品ともいえます。  先ずは苗種を取っておく方法です。 翌年に栽培する分量を考えて、田んぼの中で水を落せば畑にもなりそうな場所に別に植えておきます。 春に移植するまではさの場所において、移植する時に掘り取って、中でもいかにも太く立派そうなものを選んで移植します。

    『巻之五 山野菜之類 慈姑(くはい) 第七 1節』(P.186)
    慈姑(クワイ)2節 へ

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【慈姑(クワイ/くはい) 第七 2節】
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【慈姑(クワイ/くはい) 第七 3節】
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【慈姑(クワイ/くはい) 第七 4節】
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【慈姑(クワイ/くはい) 第七 5節】
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【慈姑(クワイ/くはい) 第七 6節】
    山野菜之類 慈姑(くはい) 第七 6節

     クワイ掘り、クワイは鍬で掘り取らない
     さて掘取る事は九十月水をおとして乾してほり取るべし。 若し水を落す事ならぬ田ならば廻りをせき、水をかへ乾しをき、 一方にて鍬にて一筋掘口をあけて手にて掘取るべし。 鍬にてほれば、根に疵付き損ずる物なり。

     クワイの掘り取り。 9、10月に水を落して、乾かしてから掘り取ります。 もしも水を落せない田んぼなら、周りに堰を作って、水を掻き出して乾かします。 掘り取り方は、一方から鍬で一筋、掘り出し口を空けて、手で掘り取ります。 鍬で掘り取ると、根に疵が付いたりして、そじて(損じて)しまいます。

    但一度に悉くほり取るべからず。 市町にうゆるとても一度に過分には入らざるゆへ、度々におこすべし。
    清水にてきよく洗ひ、桶に水をため入れて外にをき、日おほひをし日風に當つべからず。 夜は内に入るべし。
    又は泥ながら湿地にいけ置きて、用にまかせて洗ひたるもよし。 掘取りて廿日ばかりは折々水をかけ置きても損ずる事なし。

    また、一度に全部を掘り取らない事です。 市場で売れるといっても、一度にまとめて大量には売れないので、その都度に収穫します。
    清水できれいに洗って、桶に水を溜めておいてその中に入れて、屋外に置いておきます。 日覆いをして日当りと風除けはして下さい。夜間は屋内にしまいます。
    または、泥のまま湿地に活けておいて、使うときに洗ってもよいです。 掘り取ってから、20日間ほどは、時々水を掛けておけば、損じることはありません。


    『山野菜之類 慈姑(くはい) 第七 6節』(P.187)了
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【杉(すぎ) 第二 3節】
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【杉(すぎ) 第二 1節】
    諸木之類 杉(すぎ) 第二 1節

    160430_農業全書 杉
     杉は諸木に勝れたる良木なり。 子うへ、さし木共に宜し。 子をうゆる事はあかく性よく盛長も速かなる種子をゑらび、九月よく實りたるを多く取り、 莚などに廣(ひろ)げ干し打ちて取るべし。 但悉くはうち盡さずして、からに三分一も残る程にし、たねを蒔く時からをも共にちらし蒔きたるよし。 からの中に残りたるたね、からの中より生ひ出でてよく生ずる物なり。 苗地はいかにも肥へたる土の少しうるほひありてかはかぬを好むなり。

     杉は、色々の木の中では良木といって良いでしょう。 種子から植えても、挿し木でもどちらも出来ます。 種子から育てる時には、赤くて性質が良くて、成長も早そうな健全なタネを選びます。 9月によく実っているところから沢山採取して、莚(むしろ)などに広げて干して、叩いてタネを取ります。 ただし、全部は叩き取らないで、殻が三分の一くらい残る様にして、撒く時には殻付きのままのものもそのまま散らし蒔きにするとよいです。 殻の中に残っているタネも、殻を破って発芽してよく育ちます。 苗地は肥地で、少し潤いのある土で乾かない状態を保持出来ると良いです。

    冬より糞をも多く入れ、幾度も打返し、こなしさらし置き、正二月雪消えて畦作りし、 子を○水〔アマミズ〕小便をそゝぎ、日當つよき所は棚をかき、 日おほひをしをき、間一年ありて肥地にてさかへたらば移しうゆべし。
    若しまだ小さくば、細々小便、○水〔アマミズ〕をうち、草かじめし、 ふとらせ根もさかへたるを見て移しうゆべし。

    冬からは、肥を多く入れて、何度も打ち返して、こなして晒しておいて、1、2月頃に雪が消えてから畦作りをします。 タネには“シ甘水(あまみず)と小便を注いで、日当りの強い場所なら日除けの棚を作ります。 日覆いをしておいて、1年も過ぎて肥地であれば大きくなっているので、移植します。
    もしも、まだ小さいようであれば、小便と“シ甘水(あまみず)を細々と掛けて、 草取りをして、太らせて根も伸びてきている事を確認してから、移植します。


    『諸木之類 杉(すぎ) 第二 1節』(P.291〜292)
    杉(すぎ)2節 へ
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【杉(すぎ) 第二 4節】
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【杉(すぎ) 第二 2節】
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【杉(すぎ) 第二 5節】
    諸木之類 杉(すぎ) 第二 5節

     又是に種子種々あり。 たねのあしきは松に劣れり。 木の色あかくして皮うすく、葉やはらかにして刺なく、枝葉しげからず。 皮の肌へも細やかなるをゑらびて、種子を取り枝を取りてうへさすべし。
    刺杉(はりすぎ)は籬に作りて生がきにはよし。 本より枝付きさかへしげりてふせぎとなるべし。
    凡能きたねの出づる所、上野、丹波、吉野是皆他所に勝れたり。

     杉のタネは色々あります。 種子の悪いものは、松にも劣ります。 木の色は赤くて、樹皮は薄く、葉が柔らかで刺もなく、枝葉が無暗に茂らない。 樹皮の肌触りも細やかな木を選んで、種子からでも枝を取って挿し木ででも植えます。
    また刺杉(はりすぎ)という杉は、垣根の生垣用には良いです。 本(下)の方からも枝葉が繁茂するので、目隠しや防ぎ(ふせぎ)にもなるからです。
    また、良い杉のたね(種子、苗?)の名産地は、上野(伊賀上野)、丹波、吉野地方です。 これらの地は他所のものより優れています。


    『諸木之類 杉(すぎ) 第二 5節』(P.293)了
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【橿(かし) 第六 1節】
    諸木之類 橿(かし) 第六 1節

    160429_農業全書 樫
     かしの木、赤白の二色其外色々あり。 先此二色勝れて堅く強き物なり。農具其外類ひなき用材なり。 平林に生へたるは堅からず。 南山の高岳に生へたるは舟軍の材に用ゆべし。 中にも殊に白橿性強し。 鎗の柄には是にこゆる木なし。 又薪にしては他の木に三倍せり。

     樫(カシ、橿)の木には、赤(アカガシ)と白(シラカシ)の2種類とそのほかにも各種あります。 特にこの2種類が堅くて弾性に優れている。 農具などには比類なき用材となります。 平地に生えた樫はあまり堅くなりません。 南山(なんざん、吉野山か高野山か?)の山岳の産は、船舶材に使う。 特に、白橿(シラカシ)が最強です。 槍(やり、鎗)の柄には、これ以上のものはありません。
    また、薪(燃料)にしても、外の木の3倍は価値あるものです。
      斧も折れるという、堅い木がある。 「オンノレの木」というのだそうです。 こういうことは、「会津学」という雑誌などで知りました。 それほどの硬いカシの木は、山深い高地の「南山」にある。 掲載子は、この「南山」を江戸幕府御料地でもあった奥会津の「南山御蔵入」の地に同定(誤読)したいのである(笑)。
      また、樫の木は、アラカシ、シラカシ、イチイガシ、アカガシ、シクバネガシ、ウラジロガシなどの総称、とある(簡便辞書より)。


    凡十五の能あり。 實をうへて能く生ゆる一つ、土地をきらわず磽山にも能く成長する二つ、薪にして能くもゆる三つ、 枝葉共に生(なま)ながらもゆる四つ、伐るもわるも無雑作なる五つ、 火つよく能くにゆる六つ、久しくもゆるゆへ火たきの手の隙を助る七つ、 炭に焼きて能くおこり火つよく久しく消えず八つ、物の柄にして強き事類ひなし九つ、 櫓楫にして此にこゆる木なし十、橿山は水持よし十一、落葉よく地を肥やす十二、 市町にひさぎては薪の價高きゆへ樵夫の利多し十三、 實を取り置きて飢饉の年食物となして世を助くる十四、伐りては跡より芽立ち早く生じ能くさかゆる十五、 此のごとく類ひなき用材なり。 多くうへ立てゝは必ず國所を賑すべき物なり。

    樫の木はざっと15の効用があるのです。
    ■1■実を植えると良く生えます。 ■2■土地を選ばず石の多い山岳でも成長します。 ■3■薪にするとよく燃えます。 ■4■枝葉は生木でも燃やすことができます。 ■5■伐るのも割るのも手間が無い。 ■6■火力が強いので良く煮える。 ■7■火持ちが良いので薪をくべる手間を助ける。 ■8■炭に加工して、火のおこりが良く長持ちする。 ■9■道具の柄にして比類なし。 ■10■櫓(ろ)や舵(かじ、楫)にして、この木に勝る木はない。 ■11■樫の木の山は水持ちが良い。 ■12■落ち葉はその地のコヤシとなり、地が肥える。 ■13■市場に売れば薪は高く売れるので樵(きこり)の利益も高い。 ■14■実を採集して保存すれば飢饉の年には救荒食として世の中を助ける。 ■15■伐った跡から芽立ちが早く出てまた育ってきます。
    この様に、比類の無い効用をもつ用材なのです。 沢山植林していけば、必ずやその地方の殖産振興ともなるものなのです。


    國郡の下にして政事を執り行へる人、よく此事を考へしり、 心を用ひなば誠に光陰箭のごとくなれば、程なく其國其所に良材多く出來、 上下其福はかるべからず。

    国や県の下の地方の指導者たる公務員の方々、よーくこの事を研究して知識と知恵を貯えよ、そして誠実に施策することです。 まこと、光陰矢の如しなのです。 そのうちに、その土地土地には良材が大量に産出出来ることになるのです。そういう政策こそが官民お互いの幸福の基となるのです。 これぞ地産地消を兼ねた、第六次産業ではないですか。 サスティナビリティ(持続性)ということです。 国家百年の計、国策とはこういうものではないですか!←ついつい意訳放棄、退場(了)

    『諸木之類 橿(かし) 第六 1節』(P.298〜299)
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【橿(かし) 第六 2節】 16/05/26追記統合
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【橿(かし) 第六 3節】
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【農業全書 解説 (一)−1 土屋喬雄】
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【梨(なし) 5、6節 / 梨の保存と加工】
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【梨(なし) 第四 1節】
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【梨(なし) 第四 2節】
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【梨(なし) 第四 3節】
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【梨(なし) 第四 4節】
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【三尸(さんし)】
    三尸(さんし)とは、 人の体内に住みついている三匹の虫のことです。あなたの中にも三匹の虫が。 この虫は絶えず人の行動を見張っているのだそうです。 昔はそれぞれの人の心の中にも防犯カメラがあったのです。 いまは、それが無くなってしまっので街中に監視装置が溢れ出すことになった。
    その三尸虫は、ある決った夜に寝ている人の体から抜け出して、その人のした罪悪なこととか、悪い考えを持っていたことを、天帝様に報告に行くのだそうです。 いまは、人それぞれに飼っていた三尸虫は、街中に溢れ出して来つつある。 その上ある決った夜の時間ではなく、また人が寝ていても起きていても、告げ口されてしまう法律まで出来てしまったそうなのです。
    ところで、ある決った夜とは、実は庚申の日の事なのです。 庚申待(こうしんまち)という。 干支の庚申にあたる日の夜に、庚申講という組織を組んでいる講中の人は輪番の家や神社に集り、 潔斎して一晩中起きているのです。 寝ると三尸の虫が出てきてしまうからなのです。
    (2016年5月25日)
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【石榴(ザクロ/じやくろ) 第八 1節】
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【石榴(ザクロ/じやくろ) 第八 2節】
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【桐(きり) 1節】
    巻之九 諸木之類 桐(きり) 第四 1節

    140810_桐
     桐三種あり。
     桐は3種類あります。

    梧桐
    梧桐は青桐と云ふ。 其皮あをく節なくして直に生じ、肌濃かにして性つよし。 四月花をひらき、六月に實を結び、秋熟して、生(なま)ながらも食し、炒りても食すべし。 めづらしき菓子なり。
    梧桐(ごとう)青桐(あおぎり)といいます。 樹皮は緑色(あおく)で節がなく真直ぐに育ち、肌は滑らかで性質がよいです。 4月に開花し、6月に結実し、秋には熟して、生でも食べられますが炒って食べるとよい、珍しい嗜好品ともいえます。

    梧桐閏月を知る
    梧桐閏月を知ると云ふ事あり。 閏月まで知る物なり。 下よりかぞへて十二葉あり。 一方に六葉づゝ也。 閏月ある年は十三葉なり。 小き所則ち閏としるべし。
    梧桐は閏月(うるうづき)を知っている、といいます。 閏月のある年を知っているのです。 葉は下から数えて12枚あります。片方ずつに6枚です。 閏月のある年には、それが13枚になります。 小さい葉のところがつまり閏月を指しているいるのです。

    梧桐閏月を知る
    立秋の日をも知る。 其日に至りて一葉先ず落つ。 花もきれいに見事なる物にて、庭にうへ置きても愛すべき木なり。 無類なる霊木なり。
    また、梧桐は立秋の日を知るといいます。 その日になると、先ず葉が一枚落ちます。 花も綺麗な見事な花で、庭に植えて観賞木ともなります、比類の無い霊木といってもいいでしょう。

    植栽法
    九月子をとりをきて、二三月其廻り四五尺ばかりに丸畦を作り、水を打ち、 水能くひきてかきこなし、四五寸に一粒づゝうへて、熟糞を少し土と合せ、 たねをおほひ生へて後さい/\水をそゝぎ常に乾すべからず。 肥地なれば其年に高さ七八尺にもなる物なり。
    冬になりてはわら草などを間に多く置き、木を一本づゝ巻きをくべし。 雪霜に痛む物なる故、此のごとくしてこゞやかすべからず。 來年三月中移しうゆべし。 其冬よりは包むに及ばず。 其後樹と成りては下の方の皮を少し剥ぎて痛むればおほく実る物なり。
    9月に実を採っておきます。 2、3月頃に周囲が4、5尺ほどの丸い畦を作って、水打ちをしてよく掻きこなしたところに、4、5寸間隔で一粒ずつ蒔きます。 熟した肥と土を混ぜて種を覆います。 その後は水やりを怠らずに常に乾燥しないようにします。 肥地ですと、その年に樹高は7、8尺にもなります。 1年目の冬には木の間に敷藁(しきわら)をします。また、木を1本ずつ藁で包んで巻いておきます。 寒さ(雪霧)に痛むからです、こうして木を凍らせないようにします。 翌年の3月には、移植します。その冬からは保温操作(敷藁や巻藁)などは不要となります。
    その後、成長してからは樹皮の下の方を少し剥ぎ取ったりしていじめると、実が多くなるものです。


      其後樹と成りては下の方の皮を少し剥ぎて痛むればおほく実る物なり。
      ここにも、ナリキイジメの例あり。ナリキイジメ


      冬になりてはわら草などを間に多く置き、木を一本づゝ巻きをくべし。 雪霜に痛む物なる故、此のごとくしてこゞやかすべからず。まさにその桐の木の風景ではないでしょぅか。写真は、カンケブログ(ブログ:記憶の森を歩く(2015年12月21日 (月))の条。)よりお借りしました。
      奥会津小中津川散策
      こちらは、奥会津昭和村小中津川(2015年11月21日撮影)の冬の準備。
      木の周りに、散らして積んである稲藁その他の草など。掃き溜めではないのです。 これは恐らく、輪肥(わごえ)という形。 木の根の消息を想像できれば、こういう草肥の仕方になるのだな。と、思ったのでした。

    『巻之九 諸木之類 桐(きり) 第四 1節』(P.294)
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【桐(きり) 第四 2節】
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【桐(きり) 第四 3節】
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【桐(きり) 第四 4節】
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【桐(きり) 第四 5節】
    諸木之類 桐(きり) 第四 5節

     凡桐は器材の上品(ぼん)にして其生長早きゆへ、是を多くうゆれば其利益甚だ多し。 田圃にも多くうゆべし。 又梓の木も桐の類なり。 是又長じやすく材とすべし。 木王と云ふ。

     桐は器物の加工素材としては高級品で、成長が早いので、この木を多く植えると高利益となります。 田園にも多く植えると良い。梓(あずさ)の木も桐の仲間です。 この木(梓)も成長しやすく用材に利用されます。 木の王様、木王ともいわれます。

    『諸木之類 桐(きり) 第四 5節』(P.296)了
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【接木之法(つぎきのはふ) 補筆】
    諸木之類 接木之法(つぎきのはふ) 補筆

     世人花樹を愛し、菓木をこのめる事、或は村居のいとまある人、又は廣宅佳境をもたらん人、 或は老人など残年の樂とせん事、是皆世塵をはなれ、又他の妨ならずして潔きみたる事、 比するに類なかるべし。
    或は又高禄富貴の人の嗜めるは猶以て賞じつべし。

    世の中の人は花樹を愛で、果木を好むものです
    村住まいで余暇の間がとれる人
    または広大な住宅も素晴らしい庭も持たない人
    あるいは老人など余生の楽しみとする事
    これらは皆、世塵世俗を離れて
    また、他の人の邪魔にもならずに
    きよいつつしみをもって鑑賞しているのです
    この楽しみに比べられる楽しみはあるでしょうか

    あるいは高い給金取り大金持高貴な方々が、 これらを嗜(たし)まれる事は、 なおもって賞賛すべき喜ばしいあらまほしきことなのでございます。

    しかれども、世のおぼえ、時のいきほひある人、もしは其勢によつて下ざまの人の、 深く心をとゞめ愛し弄びぬる花果をも、人の心をやぶりて押もとめ、 或は高價の草木をしゐて乞ひとり、是を得てみづからの樂とする事、亦何の心ぞや。是誠に卑劣凡下の情にして、さらに君子士人のわざにあらず。

    しかーし!
    世間で名のある有名な人や、時勢に乗った有力な人や、もしくはその勢いに調子付いて、 つつましい庶民が深く愛して気持を込めて丹精して賞翫している花や果物さえも、 歌舞音曲鳴り物入りで押しかけてきてドンチャン騒ぎだ。 あるいは高価な草木をごり押しして無心して只で持って行ってしまう。 そしてそれを自分のものにしてしまうことを楽しみににしている。 こういうあなた方は、何様の積りだ!このやろ。
    こういう輩は、誠にもって品性の卑しいサイテーな心しか持っていない、とてもとても徳を備えた人士教養人などではさらさらない。
    こういう人は、卑劣凡下(ひれつぼんげ)のタカリ野郎!というのです。

    “卑劣凡下”読めないでしょうから(ひれつぼんげ)とルビも振ってやったわい(笑) (平成28年5月24日:五十嵐(意訳責))


    富貴に居る人、何ぞかゝる浅ましき汚れをなして、却てこれを樂とする事あらんや。 若ふかく嗜める物あらば、必ず財を以て求め、或は又求め得たらんは、 かならず其報禮を重くして心を汚さず、潔くしてその事を樂むべし。 凡そ時めき世のおぼえある人は、深く是を戒むべし。

    金持だとかセレブだとか議員様だとか首長様だとか、ホントにせこい!なんでこういう浅ましい汚いことばかりを楽しみにしているんでしょう。 もしも自分で嗜(たしな)みたい物があったら、先ずはテメーの金で買えっつうの。 それが入手出来たら、その報礼として尽すべき感謝と御礼をしなさいっつうの。 それがあってこそ相手の心も傷つかないのですよ。 清廉潔白にして楽しむべきものなのです。タカリはいかん。 ましてや、この國を思うとか国民とか能書き垂れて人の上に立って、世の中の人に認められようとしたら、タカリとかしないで自腹で払え。 君達は、五輪の前に五倫のこころが欠落している事を自覚しなさい!(平成28年5月24日:五十嵐(意訳責))

    又菓木を嗜める人を見るに、秋にいたりて後苑山荘などに諸樹各實をむすび、 其時いたりうるはしきをめで樂み、興に乗じてたび/\多く賞味する事あり。 されば其生質脾胃よはきか又は陽氣不足の人は漸く脾胃を損じ陽氣をやぶり、 いつとなく病を生ずる事あり。

    また、果物などを好む人を見ると、秋になってから別荘地や山荘などでも色々な木が実をつけています。 その時節にその素晴らしさを眺めて楽しみ、ついつい興に乗ってしまい、何度も大量に賞味してしまう事があります、 しかし、人によっては元々消化機能の弱い性質の人や、陽の気が足りない人もいます。 こういう人が、果実を多く食すると、次第に消化能力も低下して、陽の気も破れます。 すると、いつとは無しに病気になってしまうことがあるのです。

    或は又子孫の小皃、左右の待童などの菓を得ていさみ悦ぶを快しとし、 其の皃の強弱をはからず妄りにあたへ食せしめ、病をまうくる事間々多し。 然ども、漸くいたる疾は世の醫術にうとき人辧ふる事すくなし。 必ず大人小皃皆其程をはかり、少しく喫すべし。

    または、孫や子供、小児、近所の小さな子供らが、果物を貰ってとても喜ぶのを見て、 それらの子供の体の事を一顧だに考えもしないで、無暗に与えて食べさせて、病気にしてしまうことも少なく無いのです。 大人も子供もですが、その程合(ほどらい)をみて、少なめをほどほどとしなければなりません。

    凡て花樹、果木、草花を愛し樂む人、善くこゝに於て心を用ひ、慎みを加へば、 萬に失なうして其心いさぎよく、其樂みますます深かるべし。

    すべての、花樹、果木、草花を愛でて楽しむ人は
    よくよくこの事について心遣いと慮(おもんぱか)り
    慎(つつし)みの気持をつけ加えれば
    万事において、“失”が無くなり、心持ちも潔く清く
    こうしてその楽しみは益々充実して深くなるのです


    今此書を改め記する序で、みだりにこゝに贅せり。

    ついつい、この本を改めて補筆するついでに、むやみやたらに勝手きままに大言を吐いてしまった。

    『諸木之類 接木之法(つぎきのはふ) 補筆』(P.323)
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【椎(しい) 第七 1節】
    諸木之類 椎(しい) 第七 1節

    160429_農業全書 椎
     しいの木、是材木、薪にして橿には及ばすといへども、又其他の雑木の類にてはなし。 枝葉よくさかへ茂りやすく、直にのびて其性も強く、枝葉共に薪にしてよくもえ、子は菓子にし、 多く收めをきては飢饉をも助くる物なり。

     椎(しい)の木は、材木や薪にして橿(かし)の木ほどではないにしても、他の雑木類とは比べ物にならない。 枝葉はよく育ち茂り易くて、真直ぐに伸びる。 性質も良くて、枝葉は薪にすればよく燃えるし、実は食べられる。 沢山取っておくと、飢饉の時の救荒食にもなるのです。

    『諸木之類 椎(しい) 第七 1節』(P.300〜301)
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【椎(しい) 第七 2節】
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【椎(しい) 第七 3節】
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【藺(い) 第九 5節】
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【藺(い) 第九 6節】
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【藺(い) 第九 1節】
    三草之類 藺(い) 第九 1節

    151002_藺草
     藺、一名は燈草ともいふ。 畳の面とし、寝席(ねむしろ)とし、燈心に用ひ、藥ともなる。 凡衣食すでに足りては居所を安らかしむべし。 されば、是功用おもき物也。 土地相應する所にては廣く作るべし。

     藺(い)、燈草(とうしんそう、灯心草)ともいいます。 畳表に使い、寝茣蓙(ねござ)に使い、灯芯にも使い、にもなるものです。 衣食が足りればその次は住(居住環境)をととのえるべきなのですね。 藺(い)は、住についての有用な植物となります。 藺栽培の適地があれば、いかほども作るべし、ですね。
      藺(い)、畳表、花むしろ、笠、草履などの素材となりますね。
      灯芯、藺のなかごの白くて軽い髄を使うとあります。
      それでは、は、簡便辞書を引くと、一種の堕胎薬として使われる、灯芯に灰をまぶして飲むと妊娠中絶ができると信じられた。とある。


    『三草之類 藺(い) 第九 1節』(P.238)
    藺(い)2節 へ
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【藺(い) 第九 7節】
    巻之六 三草之類 藺(い) 第九 7節

     藺の苗ををく事、刈取りて二番を生立(そだ)て置きて用ゆるなり。 又は一番をからずして其まゝ置きて苗とするもよし。 別に糞し手入にも及ばす。 若し草あらばぬき去るべし。

     藺の苗を取っておくには、刈り取って2番目に生えてきたものを使うのが良いです。 または1番目に生えてきた藺を刈らないでそのまま苗にしてもよい。 特に肥しや手入れをすることもありません。 まわりに草があったら抜き去っておけばよいです。

    備後は肥良の地多き國にて南方を受くるゆへ、土産色々おほき中に藺田の利勝れて多し。 六月刈取り、藺のかぶをぬき去り、跡を其まゝ耕して、かねて晩稲の苗を仕立てをき、早速うへて、 手入れだん/\常のごとくすれば、大かた時分にうへたる稲にさのみをとらず。霜ふりて刈取ると云ふなり。
    何國にも必ず田地肥へ過ぎ其實りよからぬ所ある物なり。 左様の地に此法を用ひて藺を作るべし。

    備後地方は、肥地の多い地方で南向きでもあるので、特産品が沢山あるうちでも、藺の栽培は特に利益がでます。 6月に刈り取って、藺の株を抜き去ります。 その跡を耕して、準備しておいた晩稲(おくて)の苗を植えて、世話やりを普段通りにすれば、普通の時節に植えた稲とさほどの違いもなく、霜が降ってから刈り取りをしているといいます。
    どの地方にも田んぼが肥えすぎていてかえって実りが少ない場所などもあるはずです。 そんな場所では、こういう方法で、藺を栽培するとよいです。


    畳にうつ事ならざるものは藺にて賣りたるも利ある物なり。 殊に跡にも又稲の出來る地ならば誠に過分の利なり。 所によりて考へ、或はなをも習(なら)ひを得て心を用ひ其利を求むべし。

    畳に作ることまでは出来なくても、そのまま売っても利益がでます。 特に、その跡地に稲(晩稲)を作れる気候の地ならば、二毛作となります。 地方によっては考えてみる余地があります。 さらに作り方を習って、研究して利益を出すべきです。

    『巻之六 三草之類 藺(い) 第九 7節』(P.239〜240)了
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【藺(い) 第九 2節】
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【藺(い) 第九 3節】
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【藺(い) 第九 4節】
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【桃(もも) 第十一 1節】
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【桃(もも) 第十一 4節】
    菓木之類 桃(もも) 第十一 4節

     又桃仁は藥に入るゝ物なり。 核子を多くあつめては藥屋にうるべし。

     また、桃仁(とうにん、桃の種子)は、薬になるものです。 種子は沢山集めて、薬屋に売りましょう。
      桃仁、どんな薬になるか。 せきどめ。浄血薬として月経不順、下腹部滞痛など。と、簡便辞書にあり。

    『菓木之類 桃(もも) 第十一 4節』(P.278)了
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【桃(もも) 第十一 3節】
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【牡丹(ぼたん) 第九 1節】
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【牡丹(ぼたん) 第九 2節】
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【牡丹(ぼたん) 第九 3節】
    藥種類 牡丹(ぼたん) 第九 3節

     うゆる地の事、區(まち)を廣さ二尺餘にして、一尺五寸程深くほり、埋糞に牛馬糞枯草など多く入れ、人糞の類は入れずして肥土を以てふさぎ、區と/\の間三尺餘に一科づゝうへ置きて、 毎年馬屋糞其外糞を多くをきて、四五年の後根を掘り取るべし。

     牡丹を植える地について。 広さ2尺余りの区(まち)を作り、1尺5寸ほどの深さに掘ります。 埋肥には、牛馬糞や枯草などを多く入れます。人糞類は入れません。肥土で穴を塞いで、区と区の3尺余りにして、1株ずつ植えておきます。 毎年馬屋肥その他の肥を多めに置いて、4、5年経ったら根を掘り取ります。

    浄く洗ひ、手にてをしはり、曲がらざる様にして干しをくべし。 賣りて厚利の物なり。 尤毎年は根を取らずして二三年に一度づゝ掘取るといへども、手入により根甚だはびこり、 其上斤目多き物なる故、過分の利を得べし。

    収穫した根は、きれいに洗って、真直ぐになる様に手で押しはって、乾かしておきます。 高額で売れます。 毎年は根を取らないで、2、3年に一度ずつくらいに掘り取ります。 それでも手入れによっては根はよく育ち、その上重量単価が高いので、高収入となります。

    是久しくして利を見る物なるゆへ、廻り遠き事の様なれども、沙地の肥へたる暖かなる所にて、 いつとなく年年に苗をうへ立て置けば、却つて他の作り物より手間も入らず、無造作にて利潤は多し。

    牡丹の根は、大分年数を置いてから売れるようになるので、回り遠いように思うかも知れませんが、 砂地の肥地で暖かい場所に植えて、いつとは無しでも毎年苗を植えておくと、 かえって他の作物よりも手間も掛らずに、利潤は多いのです。

    殊に多く作りたらば、若し間に勝れたる名花も出來べし。 然れば一ぺんの利賣のみにあらず。 面白くやさしき作り物なり。

    また、沢山栽培する中には、たまに勝れた花が咲く新種(突然変異種)が出来たりもします。 そうなると、一回だけの利潤どころでは無くなります。 とても面白くて簡単な作り物でもあるのです。

    『藥種類 牡丹(ぼたん) 第九 3節』(P.337)了
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【草削り(農具)】
    奥会津・小中津川にて(2014年:撮影)

     草削り、または、ホー立鎌
    乾いた土に生えている草(スギナ等を除く)をシャリシャリと擦れば、根毎除草が出来る。
    また、窓が付いているのは、刈った草がその穴から抜けていくので、余計に力が入らないとか。
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【根切り(農具)】
    160502_奥会津昭和村小中津川、農具

     鋳物製である。 鉄が錆付いている。が、一部は現在も現役で使用されているような気がする。
    草むしり用
    柄の長さは鎌の柄と同じくらい。 根切り。というらしい。

    ということで、facebookに載せてみた。

    〔on facebook〕
    阿*さん、ありがとうございます。 では調子に乗って(こら!)、これは如何でしょう(^^; 初めて見たときには、何かわかりませんでしたが、草むしり(草の根の下を引掻く)用の道具。 ひょっとして今でも市販しているのかどうかはわかりません。
    が、どうやら現役で使用しています。 ご近所の農家の方に聞いたら、「あら珍しい」と言われました。 もうご近所にはこんな形の道具は無い(使っていない)らしくて、「使い古した鎌や包丁を使っている」とおっしゃっていました。 乾いた土で根の浅い雑草は、刃の部分でシャリシャリと土をさらって、湿った土で根の深い雑草は刃先を土に刺してこじるのです。 その刃の元側の微妙なカーブは、使ってみて感心する意匠となっているのです。

    大きさは、これくらい。
    焼印があったかもしれませんが、握り手の部分は磨り減るほど使われています。
    だから目を瞑って握っても、同じ位置を握れるほどになじむ手触りになってます。


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【榛(はしばみ) 第六】
    巻之八 菓木之類 榛(はしばみ) 第六

     はしばみ、是栗の類にて、其形丸く小さし。 味くるみに似たり。 是もよき菓子にて、古より名を得て詩にも詠じたる物なり。 飢をも助くるゆへ、軍陣に糧の乏しき時用ゆる物なり。
    枝葉はよくもゆるゆへ續松(たいまつ)にして取分きよきとしるせり。 うへ様栗と同じ。 其功は栗に劣るといへども性よき物なり。 餘地ある所には多くもうゆべし。

     ハシバミは、栗の種類で、形は丸く小さい。 味は胡桃(くるみ)に似ています。 これも良い菓子となり、古(いにしえ)より有名で詩の題材などにもなっています。 飢えを凌ぐ食物ともなるので、軍隊が糧食の足りないときに利用したりします。
    枝葉は良く燃えるので、たいまつ(松明)にしても特に良いものと書いてある。 育て方は栗と同じです。 その有用性は栗には劣るとしても、性の良いものです。 場所があれば多く植えましょう。


    『巻之八 菓木之類 榛(はしばみ) 第六』(P.271)了
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【薺(なづな) 第二十二】
    菜之類 薺(なづな) 第二十二

    160415_農業全書・なづな
     本草に、冬至の後苗を生ず、二三月に茎出でゝ、四月に子を結ぶとあり。 是は種へずして、田畠の内、又道のほとりなどにもをのづから多く生ず。 羹とし、あへ物、ひたし物に用ひてよし。 東坡甚だ賞せし物也。 種子を取り蒔きたるは殊更うるはしく味もよし。

     「本草」によると、冬至の後に苗が出で、2、3月に茎がでて、4月に実がなる、と書いてある。 これは栽培しなくても、田畑の中や道のほとりなどに沢山自生しています。 羹(あつもの)にしたり、和え物、浸し物に使う。 中国宋代の文人、蘇軾(そしょく)こと東坡(とうば)が詩文で絶賛している。 種子を取り置いて、蒔けば特に麗しく味も良いです。
      これは、春の七草のひとつ。ぺんぺん草、ですね。

    『菜之類 薺(なづな) 第二十二』(P.179)了
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【蓮(はちす/はす) 第四 2節】
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【蓮(はちす/はす) 第四 3節】
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【蓮(はちす/はす) 第四 1節】
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【蓮(はちす/はす) 第四 4節】
    山野菜之類 蓮(はちす/はす) 第四 4節

     又近年は唐蓮多し。 日本の蓮よりはよくさかへひろがり、花色々ありて見事なり。 實をうへて生じやすし。
    但盆や鉢などに種へては、花甚だほそく愛すべし。 廣き池にうゆれば、根早くひろがり花殊の外大きなり。 根を取るにも、花を賞するにも、唐蓮をうゆるにしかず。

     近年は、唐蓮が多いです。 日本のハスより、育ち易く広がります。 花も色々あって見事なものです。実から植えても育ち易いです。
    盆や鉢などに植えると、花はとても細く愛らしいハスになります。 広い池に植えると、根は早く広がって花も思いの他に大きくなります。 根を取るにも、花を観賞するにも、唐蓮を植えると良いです。


    『山野菜之類 蓮(はちす/はす) 第四 4節』(P.185)了
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【黍(きび) 1節】
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【豆エ豆(さゝげ) 第十五 1節】
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【豆エ豆(さゝげ) 第十五 2節】
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【豆エ豆(さゝげ) 第十五 3節】
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【豆エ豆(さゝげ) 第十五 4節】
    五穀之類 豆エ豆(さゝげ) 第十五 4節

     蔓の長さ四尺ばかりの時さきをとむべし。 枝おほく出づるを悉く厭離にまとはすべし。 まとはざれば實ならず。
    夏の菜の内、第一の物なり。 家々に欠けずつくるべし。 猶手入多し。 小民なべて作る物にて、人みなしれる所なれば、くはしく記さず(沙地にをそく種ゆれば切虫きりてそだち難し。早く蒔くべし)。

     ササゲは蔓の長さが4尺程になったら先を留めます。 枝が多く出てきたら、それらは全部垣などに纏わせます。枝が纏わないと、実がならないのです。
    夏場の菜としては代表的野菜といってもいいでしょう。 どの家でも必ず作るべきものです。 手入れは色々必要です。 殆んどの人が作っていて、作り方はご存知だと思うので、これ以上詳しくは書かないでおきます。 注意:砂地に遅く植えると、切り虫が根を切ってしまうので、育ち難いです。 早めに蒔くことです。


    『五穀之類 豆エ豆(さゝげ) 第十五 4節』(P.121)了
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【櫻桃(ゆすら) 第九】
    巻之八 菓木之類 櫻桃(ゆすら) 第九

    160430_農業全書 ゆすら
     ゆすらは葉はてまり花(くわ)に似て小さし。 花實共にあいらしく、百菓の先に熟し珍しき物なり。 是に紅紫の二色あり。 三月熟する時鹽漬にもし、蜜にて煎じ收め置きて久しく用ゆべし。 いけがきに殊に宜し。 熟しては鳥を防ぐべし。 衆鳥共に好みて食する物なり。
    又鹽漬の物は酒肴に宜し。 脾胃の氣を益(ま)し、其性よき物なり。 又一種、には梅あり。 花も葉も實も櫻桃より小也。 山櫻桃と云ふ。

     ゆすら(櫻桃、英桃)は葉は手鞠花(てまりか、てまりばな、小手毬(こでまり))に似て小さいです。 花も実も可愛らしいく、他の木の実より早く熟してこれも珍しいものです。 実には、紅色と紫色の2種類があります。 3月に熟したら、塩漬けにしたり、蜜で煎じて保存して長く利用出来ます。 場所は生垣などとして植えるのに格好の木です。 実が熟してからは、鳥に食べられないように気を付けます。 色々な鳥がこの実を好んで食べます。
    また、塩漬けにしたものは酒の肴にもよい。 食欲を増したりする良い性質もあります。 また庭梅(にわうめ、小梅)という種類もあります。 これは花も葉も実も、ゆすら(櫻桃)よりも小さいです。山櫻桃(やまうすら)と呼んでいます。


    『巻之八 菓木之類 櫻桃(ゆすら) 第九』(P.275〜276)了
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【檜(ひのき) 第三】
    諸木之類 檜(ひのき) 第三

    160430_農業全書 檜
     檜、是杉にをとらぬ良木なり。 其性つよくして他木の及ぶ所にあらず。 子をうへ、さし木の法杉に同じ。 杉よりは盛長早く、うへてよく活くる物なり。

     ヒノキ(檜)は、に勝るとも劣らない良い木です。 とても性質のよいもので、他の木を凌駕します。 種子(たね)から育てるのも、挿し木の方法も杉と同じです。 杉よりも成長も早く、植えても良く根付いて育つものです。

    深山幽谷の人遠く尋常の材木など運び出しては運送の勞費多くして益なき所にても、 杉、檜は其価三倍五倍も高直にて造作まけせざるゆへ、 人馬の通ひ成りがたき奥山にも力の及ぶ程種へ置くべし。 是廻り遠き事に非ずと古人も記し置けり。 日當よき陽地に生ずるは材に用ひて性殊によし。
    是をあて檜と云ふなり。

    過疎の山奥で、普通の材木を運び出して運送費と労賃を考えると赤字になってしまうような場所でも、 杉や檜は値段が他の材木の3倍から5倍の値がつきます。 手間隙掛けても利益が出るのです。 道もなくて馬も通せないような山奥であっても出来るだけ植える事です。これは決して廻り遠いことではないのです、と昔の人も書いているのです。
    日当りの良い明るい場所に育った木は用材として特に勝れています。 これを「あて檜」といってます。


    『諸木之類 檜(ひのき) 第三』(P.293〜294)了
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【芍藥(しやくやく) 第十 1節】
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【芍藥(しやくやく) 第十 2節】
    藥種類 芍藥(しやくやく) 第十 2節

     子を種ゆる法、地を右のごとくこしらへ、畦の間一尺ばかり、其上に深さ三寸程に筋をほり、 能き糞土を敷き子を種ゆる事、一寸餘に一粒づゝ付き合はぬ様にちどりあしにうゆべし。 又肥土にて七八分程に種子おほひすべし。

     タネを植える方法。 土作りは前文の説明のようにして、畦の間隔1尺ほど、その上に深さ3寸ほどに筋を掘ります。 良質の肥土を敷いてタネを蒔きます。 1寸余りに1粒ずつ、くっ付かないように、ちどりあしに蒔きます。 そして、肥土で7、8分ほどにタネを覆います。

    生ひて後夏は日おほひをし、冬は雪霜のふせぎをし、二年めの九月頃、 又別に能き地をしたゝめ置きて、畦の間を二尺ばかりにして移し種ゆべし。
    四五年に至りては、其根大になり薬種と成るべし。 十月の初掘取りよく洗ひ、日に干し堅くなりたるを收め置き、薬屋に賣るべし。
    但中以下の地には種ゆべからず。 山下の里猪鹿多く穀物は作り難き所に肥地あらば
    、尤も多く作るべし。

    芽が出た後は、夏は日覆いをして、冬は雪霜に掛からないように防ぎをします。
    2年目の9月頃に、また別の良い地を作っておいて、畦の間隔を2尺程にして移植します。
    4。5年経つと、根は大きく育ち薬種になります。 10月の初めに掘り出して、よく洗って、日に干します。 乾燥して固くなったら収納して、薬屋に売ります。
    ただし、普通以下の土地では植えない方がよい。 山の裾野などで猪や鹿が出て、穀物は作りにくい(荒される)が肥地であるのであれば、そこに多く作ればよいです。


    『藥種類 芍藥(しやくやく) 第十 2節』(P.338)了
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【カラスノエンドウ】
    カラスノエンドウ。
    胃炎には、血行を良くする作用がある。胃のもたれなどには、乾燥した全草1日量約5グラムを約0.2リットルで煎じて服用する。@ge_jitsukaKUMA
    Twitterより採取
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【蜀黍(もろこしきび) 1節】
    巻之二 蜀黍(もろこしきび) 第八 1節

    160310_農業全書・粟黍蕎麦
     是を唐(もろこし)きびとも、又甚だ高くのびぬる故、高黍(たかきび)とも名付くるなり。 地の薄く瘠せたるには宜しからず。 春はやく苗地をこしらへ、肥し置き、二月たねを薄く蒔き、苗七八寸の時移しうゆべし。 種ゆる所は少し濕気ごゝろの地、いか程も深くこゑたるを好むものなり。

     モロコシキビは、唐黍(もろこしきび)とも言います。 とても丈が高くなるので、高黍(たかきび)とも言います。 土地が薄く瘠せた場所では育ちません。 春の早目に苗地を準備して、施肥をしておきます。 タネは2月に薄めに蒔きます。 苗の高さが7、8寸になったら移植します。 植える場所は少し湿気のある場所で、土は深めで肥地が適しています。

    『巻之二 蜀黍(もろこしきび) 第八 1節』(P.110)
    蜀黍(もろこしきび)2節 へ
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【蜀黍(もろこしきび) 2節】
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【蜀黍(もろこしきび) 4節】
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【蜀黍(もろこしきび) 3節】
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【稗(ヒエ/ひへ) 1節】
    巻之二 五穀之類 稗(ひへ) 第九 1節

    160415_農業全書・ひへ
     ひゑに水陸の二種あり。
    是尤いやしき穀といへども、六穀の内にて下賎をやしなひ、上穀の不足を助け、飢饉を救ひ、 又牛馬を飼ひ、殊に水旱にもさのみ損毛せず。

     ヒエ(稗)には、田稗畑稗の水陸2種類があります。 ヒエは賤しい穀物といわれますが、六穀の内に入り、賤民の食物を助けて、五穀の不足を補い、飢饉を救っています。 また、牛馬の飼料としても使われます。 特に洪水や旱魃にもさほどの減収となりません。

    田稗は下(ひき)き澤などの稲のよからぬ所に作るべし。
    畑びゑは山谷のさがしく、他の作り物は出來ざる所にやきうちなどして多く作れば、利を得る物なり。 但山に作る時はあらく、毛のあるを作るべし。 鹿鳥の犯さぬ物なり。

    田稗(たびえ)は、低地の田んぼや沢などの稲には向かない場所に作ります。 畑稗(はたけびえ)は、山野の険しい場所や、他の作物の作れない場所を焼畑などをして大量に作れば、利益が出ます。 ただし山中に作る時は、毛(トゲ)のある品種を作るとよいです。 他の動物(鹿や鳥など)に荒されなくなります。

    又年なみあしく、稲の苗をさして後相續きて旱(ひでり)し、苗悉く枯れたる時か、 又五月洪水にて苗流れ、或は水底になりて腐りたる時も、稗はでくる物なれば、 水損ある所はかねてたねを蓄へをき、又は苗をもうへ置き、うへつぎて此難をのがるべし。

    年のめぐりで、稲の苗植えをした後に続いて旱魃(ひでり)があって苗が全滅したりした時や、 5月の洪水でで苗が流れてしまったり、水底に浸されて腐ってしまった時などでも、稗(ヒエ)は出てくるものです。 このような水被害のある所では、稗の種子も備蓄しておくか、稗の苗を代りに植えて災難を逃れるようにします。

    『巻之二 五穀之類 稗(ひへ) 第九 1節』(P.111〜112)
    稗(ヒエ/ひへ)2節 へ
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【稗(ヒエ/ひへ) 2節】
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【稗(ヒエ/ひへ) 3節】
    五穀之類 稗(ひへ) 第九 3節

     又云く、潮干潟に作りたらば、刈りとる時子(み)のこぼれざるやうにすべし。 その實おつれば次の年稲をつくるに莠(はぐさ)となりてはなはだ妨をなすものなり。

     稗(ヒエ)を潮干潟に作った時には、刈り取る時に実が落ちないようにします。 実が落ちていると、翌年に稲を作ったときに、莠(はぐさ、水稗)になって稲の妨げになってしまいます。

    『五穀之類 稗(ひへ) 第九 3節』(P.112)了
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【瓠(ひさご) 1節】
    菜之類 瓠(ひさご) 第十六 1節

    151113_夕顔
     夕顔とも云ふ。 丸き長き又短きもあり。 又ひさくにするはつる付の方いかにも細長く、末の所丸し。 長き方を柄にして水を汲み、手水のひさくにしておかしき物なり。 唐の許由木の枝にかけしが、風に鳴りたるをむつかしといひし事、つれ/”\草にも書きたり。 則ち此物なり。

     夕顔ともいいます(簡便辞書で、たそがれぐさ、すすけのはな、ながふくべ、ゆうご、ゆうごう。 丸いもの長いもの短いものなど各種あり。柄杓(ひしゃく)にする物は蔓の付いた方が細長くて底の方が丸い品種です。 長い方を柄にして水を汲み、手水(ちょうず)の柄杓にしたりすると、趣のあるものですね。唐の許由(きょゆう)が、ひさごを木の枝に掻けたら風によって音を出すことを、五月蝿い(むつかし)と言った事が、徒然草にも書いてあります。 それが、このひさごのことです。
      許由(きょゆう)のこと。 許由は、中国古代の伝説上の高士。字は武仲。とあり(簡便辞書)。
      その許由さんという人は面白い。 なんでも、ある時聖天子と言われた尭帝(ぎょうてい)が、 「お前に天下を譲ろう」と言ったそうな。すると、許由は、 「嗚呼、やだやだ、汚れたことを聞いてしまった」と言って、耳を水で洗って、士官を辞めてしまったそうな。 と、耳を洗っているそこへ、巣父(そうほ)という人がやって来た。 巣父さんという人も変な人(高士)で自分は樹上に巣を作って住んだというような人です。 許由さんと同じ様に、尭帝から「天下を譲ろう」と言われて「やなこった」と拒否した人。 その巣父さんが、たまたま牛を引いて水を飲ませに来たのですね。 ところが、許由さんが「耳が穢れたので洗っている」というので、 「なんじゃと!そのような穢れた水を牛にも飲ませるわけにはいかない」といって、引いてきた牛を連れて帰って行ってしましたとさ。 という話で、これは「許由巣父(きゅうよそうほ)」という故事の名前になっているそうです。 この方々は、それほどにも清廉潔白、栄達なんぞは糞食らえと、自由を愛した人だったのですね。 このことは、「史記‐伯夷伝・史記正義」「皇甫謐高士伝」に許由巣父の故事として、「耳を滌(すす)ぐ」として載っているそうです。
      まさに、利権しか聞きつけられない耳を持った議員様方に、許由の耳糞でも煎じて飲ませたくなるような昨今の吾が日本国です。(16/02/19)

      唐の許由が木の枝にかけしが、風に鳴りたるをむつかしといひし
      それで、この文章の、むつかしいの意味は何だろうと考えた。 風流の人なら、許由さん、かくもの変人であるので、「うるさい!」と言ったのではないかと意訳しました(笑)。
      徒然草の当該個所自体が分からないで妄想を書きました。 また、平家物語にも、この故事を引いた話がある。説明が出来ない(理解していない)ので、キーワードだけ。 『天草本平家物語』、平家物語、重盛、耳を洗う、など。

    又丸く大きなるは水を泳ぐに用ゆべし。 炭取にし、或は器物とし、菜のたねなどを入れ置きてよし。 又腰のほど細きは古より酒器に用ひ來れり。 ひさごに苦きと甘きと二色あり。 甘き物わかき時、色々料理に用ひ、干瓢にして賞玩なる物なり。

    丸くて大きい物は、水泳をする時に使います。 炭取りにしたり、器物にしたり、野菜の種をしまっておく器にもよい。 また真ん中が縊れているものは、昔から酒入れ(ひょうたん徳利)に使われました。 ひさごには苦い種類と甘い種類があります。 甘いものは、完熟する前に色々の料理にも使われます、干瓢(かんぴょう)にしても旨いものです。

    『菜之類 瓠(ひさご) 第十六 1節』(P.152〜153)
    瓠(ひさご)2節 へ
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【瓠(ひさご) 2節】
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【瓠(ひさご) 3節】
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【瓠(ひさご) 4節】
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【瓠(ひさご) 第十六 5節】
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【薑(はじかみ) 第五 1節】
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【薑(はじかみ) 第五 2節】
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【薑(はじかみ) 第五 3節】
    巻之四 菜之類 薑(はじかみ) 第五 3節

     さて四五月芽立ち漸くさかへしげりて後、竹のへらにて根の一方を掘り、 薑母をもぎ取り(四五月古根をもぎ取る事唐の書にあり。 しかれどもこれははやかるべし。) 鹽漬、醤(みそ)漬、糠にも蔵し、又は乾姜(かんきやう)にこしらへ藥屋にうるもよし。

     4、5月に芽立ちして暫くして繁茂してから、竹箆(たけべら)で根の片側を掘って、根をもいで、塩漬、味噌漬、糠漬けにもして保存します。 また、干して干姜(かんきょう)にして薬屋に売るのもよい。4、5月に古根をもぎ取ることは唐の書に書いてありますが、これはさすがに早すぎるでしょう。

    扨七八月根薄あかく紅をぬりたるごとくなるを紫薑と云ふなり。 此時料理よし。 市町にも賣るべし。

    7、8月になると薄赤い紅を塗ったような色になります。 これを紫生姜といいます、この時節の生姜が料理に最適です。また、市場にも出しましょう。

    其後茎葉枯れいろになり、根によく肉入りて九月の末、十月の節に入る頃ほり取り、 屋の内の暖かなる濕氣なき所に穴をほり、わらを合せて埋みをき、 用にまかせてわきより手風の觸れざる様にとるべし。
    その後、茎葉は枯れてきますが、根が大きく育ちます。 9月末から10月になる頃に掘り取ります。 屋内の暖かで湿気の無い場所に穴を掘って、藁で包んで埋めておきます。 入用の時には、脇から取って使います。あまり手で触ったりしない様にします。

    又雪霜のをそくふる國にては、十月まで置きてほり取れば彌からくなる物なり。 又ほり取りて穴には入れずして棚をかき、下にも廻りをこもにてよくしとみ、其中へ生姜を入れ、 下にぬか火ををきてふすべ、濕氣さりて、しとみたる口をよく塞ぎをくべし。 尤畠よりほり取る時、土をよく去るべし。

    雪や霜が遅く下りる地方なら、10月まで置いてから掘り出すと、より辛い生姜になります。 また、掘り取ってから、穴に保存しないで、棚を作って下も周りも菰(こも)で包んで(蔀む、しとむ)、 その中に生姜を入れて、下で糠を燃やして燻して、湿気を抜いて包んだ菰の口をよく塞いで保管します。
    畑から掘り取った時には、土はきれいに取り去っておきます。


    又生姜(しやうきやう)の時賣餘りたるを干姜にすべし。 浄く洗ひ、ざつと湯煮してかき灰にまぜ、乾し上げて籠などにもりをきて藥屋にうるべし。 生姜にてうりたるに價をとらぬ物なり。 若し自分に用ゆるは灰を交るに及ばず。

    生姜(しょうきょう)で売ったときにの売残りは干姜にしておくとよいです。 きれいに洗って、ざっと湯通しして掻き灰に混ぜて干し上げて、籠などに入れておいて薬屋に売ります。 生姜で売るのと変らないほどの値段になります。 もしも自家用で使うのであれば、灰に混ぜなくても良いでしょう。

    功能ある物にて、日用かくべからずといへども、秋姜を食すれば天年を損ずと醫書に見えたり。 されども世俗なべて秋よく用ゆるものなり。 但秋は用捨して多くは食すべからず。

    薬としても功能のあるもので、日常生活に欠かせないものなのですが、秋の生姜を食べると寿命が縮まると医学書には載っているのです。 そうはいっても、世の中では秋によく使うものです。 一応用心して、秋にはあまり沢山食べるのは控えたほうが良いでしょう。

    『巻之四 菜之類 薑(はじかみ) 第五 3節』(P.163〜164)了
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【茗荷(みやうが) 第十 1節】
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【●(ひゆ) 第十五 1節】
    巻之四 菜之類 ●(ひゆ) 第十五 1節

    160415_農業全書・ひゆ
     ●種々數多し。 二月に種子を下し、三月の末うゆべし。 其色青きあり、赤き紫又まだらなるあり。 料理には青きを用ゆべし。 味もよし。 是葉菜の絶間に盛長しめづらしき物なり。 七月以後は食するに宜しからず。
    種ゆる事は四五月園の廻りにうへ、 又は茄子のわきにうへて同じくこゑを少し用ゆればよくさかへしげりて、味もよく和らかなり。 赤き●は霜にあひて色濃く愛すべし。 但此時は食味には用ひず。
    瓜と●と亀と同じく食すれば、甚だ病を生ず。 おなじ時分に多き物なれば同食を慎むべし。

     ヒユ(●)は種類が多いです。(●:草かんむりに、“見”、ひょうとも)。 2月に種を蒔いて、3月末に苗植えします。 色は、青、赤、紫、まだらなものもあります。 料理には青い色のヒユを使います。味も良いです。 葉物のはざかい期に育つので珍しがられます。 7月以降は食用にはなりません。
    4、5月に菜園の周りに植えるとよい。 またはナス(茄子)の脇に植えて、同じ様にコヤシを少し使えばよく茂って、味も良くて柔らかです。 赤いヒユは、霜が降りてから色がもっと濃くなるので観賞用に適していますが、この時期には食べ物としては使えません。
    また、ウリ(瓜)とヒユと亀は食い合わせになります。病気になります。 これらは同じ季節によく出るものなのですが、一緒に食べない事です。


    『巻之四 菜之類 ●(ひゆ) 第十五 1節』(P.174〜175)
    ●(ひゆ)2節 へ
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【●(ひゆ) 第十五 2節】
    巻之四 菜之類 ●(ひゆ) 第十五 2節

     馬齒●(すべりひゆ)とてあり。 是●の類にあらず。 葉馬の齒のごとく、其性●に似たれば、馬齒●と書けり。 和名すべりひゆと云ふ意は、其性なめらかにして、●に似たるゆへなり。
    其葉をすりて腫物脛瘡にぬりてよく治す。 茹(ゆび)きてあへ物さしみなどに用ゆべし。 脾胃よはき人にはよろしからず。

     スベリヒユという種類があります。 これはヒユの種類ではありません。 葉が馬の歯のようで、ヒユにも似ているので、スベリ(馬齒)ひゆと書いています。 和名ですべりひゆという意味は、滑らかでヒユに似ているからなのです。
    葉を擂って腫物(はれもの)や脛(すね)のカサブタなどに功能があります。 茹でて和え物や刺身にも使います。 胃腸の弱い人は食べないほうが良いです。


    『巻之四 菜之類 ●(ひゆ) 第十五 2節』(P.175)了
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【藜(あかざ)】
    巻之四 菜之類 藜(あかざ) 第二十三

    160415_農業全書・
     本草に嫩(わか)き時食ふべし。 老いてはその茎を杖となすべしと云へり。 茹(ゆびきもの)とし、あへ物ひたし物によし。 種へずして多き物なり。 唐にてはあかざの羮貧なる者の専ら食とする事なり。 日本にても肥土に生ひたるは大きにして、又輕きゆへ、老人の杖によきものなり。 是下品の菜なるが、詩にも又文にも作れり。

     本草には、若芽の時節に食べる、生長した茎は杖にするとよい、と書いてある。 湯びいて、和え物やお浸し(ひたし)に良いです。 植えなくても野に沢山生えます。 中国では、あかざは貧乏人の食物とある。
    日本でも肥地に生えるものは茎が大きくて、(乾燥して)軽いので老人用の杖に最適です。 賤しい食物とは謂いますが、詩文にもよく題材として使われる植物です。
      若葉は食用、葉のしぼり汁は虫の毒消、乾燥葉を煎じた汁は虫歯を防ぐうがい薬になる。 また油のシミ抜き用いる。(簡便辞書)

    『巻之四 菜之類 藜(あかざ) 第二十三』(P.179)
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【根切虫(ねきりむし)】
    ねきりむし cutworm。 昆虫類の幼虫で、農作物の苗の根を食害または食い切る害虫の総称。 カブラヤガ、ヨトウガ、モクメヤガなどの土中にもぐるガ類の幼虫、甲虫類ではコガネムシ類の幼虫。 (簡便辞書より)

    ネキリムシは、被害にあった株付近の土の中に潜んでいます。軽くて手で土を掘るだけで発見できるほど浅いところにいるので、見つけたらつまんで取り除きましょう。また、4〜5月と8〜10月にダイアジノン粒剤デナポンなどの作物へ使用可能な殺虫剤をまいておくのも有効です。
    野菜などに農薬を使いたくない場合は、株元を囲むように米ぬかをまくと駆除できるともいわれています。ただ、その効果の確証ははっきりしておらず、土質も悪くなる恐れがあるので、駆除できたらいいなという気持ちで使ってみてください。(Webより)
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【甘露子(かんろし) 第十 1節】
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【甘露子(かんろし) 第十 2節】
    山野菜之類 甘露子(かんろし) 第十 2節

     種ゆる地の事、圃の少し日かげの所を畦作りし、夏月に麥ぬかを多く覆ひて糞とす。 一尺餘り間を置きてうゆべし。 芸り培ひ廻りをも草なき様にきれいにし、又上より麥糠を覆ひをけばかぎりなくさかへて、 纔なる圃の端にうへても其根たくさんいでくる物なり。
    浄く洗ひかはかして蜜に漬け、醤(みそ)に蔵して甚だよき物なり。 土地廣き所にては多く作りて飢を助くべし。 陰地の肥へたるよし。 木かげなどにも種ゆべし。 やせ地かはきたる地によからず。

     植える場所は、苑圃の少し日陰にの場所に畦作りをします。 夏の間に麦糠などを沢山使って覆いこれを肥(こやし)とします。 1尺間隔程度に植えます。 草切り培いをして、周りに草も無いようにきれいにしておきます。 また上から麦糟で覆っておけば、どんどん繁殖します。 狭い畑の端っこに植えても、根が沢山増えて来ます。
    チョウロギはきれいに洗って、蜜に漬けたり、味噌漬けにして保管しておいてもとても良い味です。
    広い土地が確保できるのなら、大量に栽培して飢えの助けにもなります。 日陰地で肥地がよい。 木陰となる所なども適しています。 瘠せて乾いた土には向きません。


    『山野菜之類 甘露子(かんろし) 第十 2節』(P.189)了
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【蒜(にんにく) 第四 1、2、3節】
    巻之四 蒜(にんにく) 第四 1、2、3節

    160124_蒜(にんにく)
     にんにくに、たね大小あり。 大きなるたねをゑらびて作るべし。 種ゆる地の事、良軟に宜しとて性よく肥へてやはらかなる地によし。 白く和なる地にうゆれば、味甘く、根茎も太し。 黒く堅きこはき土などにうへたるは辛くして瘠せて小さし。

     ニンニクにはタネに大小があるので、大きなタネを選んで作ります。 植える土は「良軟に宜し」と言われるように、性がよく肥えた柔らかい土地が良いです。 白っぽくて柔らかい土に作ると、甘い味がして根も茎も太く育ちます。 黒土で硬く強い土に作ったものは、辛くて根も瘠せて小さいです。

     地のこしらへ三遍耕し細かにこなし、 畦作りし小筋にがんぎを切り間を二三寸づゝをきて一粒づゝならべうへ、 牛馬糞の久しくかれたるを多くおほひ培ひ、其上より水ごゑをそゝぎ、生ひ出でゝ後、 草あればぬき去り中をかぢり、熊手にてかきあざりなどさい/\して、其度ごとに糞水をそゝぐべし。

     畑作りは、3回ほど耕して土を細かくこなします。 畦を作って、小筋ぎみにガンクを切って、間隔を2、3寸置いて1粒ずつ並べて植えます。 熟成して枯れた牛馬糞を多めに培って、その上から水肥を注ぎます。 芽が出てからは、雑草は抜いて、中をかじって、熊手で掻きならしなどを度々して、そのたびに肥水を注ぎます。

     うゆる時分の事、八月中旬九月初めまではよし。 小蒜(きん)は少し早くうゆべし。

     植える時節は、8月中旬から9月初め頃までは良いでしょう。 小さなニンニクはもう少し早めに植えましょう。

    『巻之四 蒜(にんにく) 第四 1、2、3節』(P.161)
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【蒜(にんにく) 第四 4、5節】
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【蒜(にんにく) 第四 6節】
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【蒜(にんにく) 第四 7節】
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【蕎麥(そば) 第五 1節】
    蕎麥(そば) 第五 1節

    160310_農業全書・粟黍蕎麦
     蕎麥を種ゆる事、五月に地を耕し、廿日廿五日もして草腐りたゞれて後、又耕す事二三遍、 晴天を見て細かにかき、立秋(七月の節の事也)の前後、たねを下すべし。 厚く蒔くべし。 薄ければ實(み)少し。 大かたはちらし蒔にすべし。 灰を合せたるこゑを以てうゆべし。 瘠地ならば横筋をせばくきり、糞を多く敷きて、灰や牛馬の糞を以ておほふべし。

     蕎麦の種蒔きについて。 5月に耕して20日から25日くらいそのままにしておくと、雑草が腐ってくるので、その後でまた2、3度耕します。 晴れた日に細かくこなして、立秋の頃に種を蒔きます。 厚めに蒔いてください、薄いと実りが少ない。 たいていは散し蒔きでよいでしょう。 灰と肥しとを混ぜて蒔けばよいです。 瘠せた場所なら、畝の横筋を狭目に切って、堆肥を多めに敷いて、灰や牛馬糞で覆っておきます。

    蕎麦は塩気を好む
    そばはしほけを好むゆへ、若し鹽屋に近き所ならば、鹽竈の焦灰、又は其邊りの鹽じみたる土を用ひてうゆれば實甚だ多し。

    蕎麦は塩気を好みます。 もしも近所に塩屋があれば、塩屋さんの塩釜の掻き灰やそのあたりの塩気のありそうな土を貰ってきて一緒に蒔けば、高収穫が期待されます。

    又云く、そば地は耕すこと三遍なれば、三重に實がなる物なり。 下の二重は黒く、上の一重はいまだ青き時刈り收むべし。 残らず上まで黒きを待つべからず。 刈しほをそければ實落つる物なり。

    蕎麦畑は3回耕せば実が3段になる、といいます。 下の2段が黒くなって上の1段はまだ青い時に刈取りをします。 穂の天辺(3段目)まで黒くなるのを待っていたりして、刈り時が遅くなると、実が落ちてしまいます。

    『蕎麥(そば) 第五 1節』(P.105〜106)
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【蕎麥(そば) 第五 2節】
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【蕎麥(そば) 第五 3節】
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【緑豆(ろくづ) 第十二】
    五穀之類 緑豆(ろくづ) 第十二

     いなかにてはまさめと云ふ

    160403_農業全書・緑豆
     緑色なるゆへ○豆と名付くるとなり。 農家是を多く作りて粥にし、飯にも合はせ、餌(だんご)とし、炙(あぶりもの)とす。 或はすりて粉とし麺(めん)となすべし。 又酒に造るべし。 其外餅のあれによし。 味甘く藥の毒をとり、性のよき物なり。
    種ゆる地の事、肥へ過ぎたるを好まず。 糞をば用ゆべからず。 四月に蒔きて六月に收む。 其たねを蒔きて八月に收む。 此ゆへに農人是を二(ふた)なりともいふ。 又○豆をもやしにして味甚だよし。

     緑色なので、緑豆(ろくず)と名付けられたということです。 農家では、これを沢山作って、粥(かゆ)にしたり、飯に混ぜたり、団子(だんご)にして炙り物(あぶりもの)にしたりします。 摺(す)って粉にして麺にもなります。酒も作れます。餅にからめてもよし。 甘味のある味で薬毒除け?にもなる性のよいものです。
    植える地は、あまり肥過ぎた場所は向きません。 肥料も使わないほうが良い。4月に蒔いて6月に収穫して、その種子を蒔けば8月にも収穫出来ます。 2回作れるので農家では「ふたなり(二成り)」ともいいます。 また、緑豆(ろくず)をモヤシにしてもとても味がよいものです。


    『五穀之類 緑豆(ろくづ) 第十二』(P.117)了
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【あら苧】
    蜜柑の接木の説明の段に、あら苧を見つけたので、その部分を抜書き。
    140808_あら苧

     接ぐ法、凡笛竹ほどより細きだい木ならば、土際より三寸或は四五寸許りをきて引切り、よくきるゝ小刀にて皮をそこねざる様に鋸目を削り、二方にても一方にても皮肉の間を小刀の先にて一寸余、一方は袋になりて穂のそぎめとよく合ふほどに切りさき、さて穂長さ三四寸許、葉を三葉ばかりをきて三分一をばそぎきりて、だい木の刀めに合せ、穂のもとを口にくはへ、口中の氣をかりてそぎ口にさし入れ、おもとか、竹のかは古き油紙にても一重二重巻き、其上をあら苧か、性のよき打ちわらにてしかと手心にてしめ、二寸許りも巻き下し、又其上を継目に水の入らざる様に竹の皮にて包み、粘き土を泥となし廻りよりぬり、だい木の接ぎめより上ばかりをぬらずして出しをき、上も廻りもこもにてかこそ、雀草をだい木の廻りにうへて、うるほひを持たせ、上をば少し明けて氣を出しをくべし。
    『農業全書巻之八 菓木之類 柑類(かうるい) 第十六 5節』 P.263

    雀草:簡易辞書では、「つめくさ(爪草)」の異名とあり。
    だい木:接木の土台となる木のことらしい。この本「農業全書」の中には各所に出てくる。 接木の土台となる木のことらしい。
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【大玉スイカ】
    150821_大玉スイカ  (←クリックで、下記キャプションの画像を表示します)。
    栽培の期限は古く、4000年前には古代エジプトでつくられていました。 スイカの原産地はアフリカのサバンナや砂漠地帯、温度が高く乾燥した地帯です。 日本では雨が多く湿度が高いので、ビニールをかぶせて保温と雨除けをします。 スイカのつるが伸びはじめました、一番長く伸びているつるは「親づる」です。 親づるの葉が6枚ほどになったら、つるの先端を切り取ります。 途中から「子づる」が伸びてきます。 元気の良い子づるを3本だけ育てます。 つるがトンネル内で混み合ってきたら、トンネルの裾をあけてつるを広げます。 2種類の黄色い花が咲きます。 雄花の先端を雌しべにつけて人工受粉します。 1株で2個のおいしい実を育てるため、それ以上は摘み取ります。 つると同じ様に、根も広がっているため、離れたところに肥料をまきます。 球の向きを変えると、色づきが均一になります。 さらにトレーをしくことで、接地面もきれいになります。 収穫の見極めが肝心、受粉日から数えて45日頃が目安です。根元のひげが茶色くなるのも収穫できる印。

    関連:小玉スイカ
    スイカのことは、『農業全書巻之三 菜(さい)之類 西瓜(すいくわ) 第十三』(P.150)にあり。
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【西瓜(すいくわ) 第十三 1節】
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【西瓜(すいくわ) 第十三 2節】
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【西瓜(すいくわ) 第十三 3節】
    巻之三 菜之類 西瓜(すいくわ) 第十三 3節

     大根を作る地の餘計なき所にては、西瓜をば斟酌すべし。 甘瓜より地晩くあくゆへ、甘瓜の跡の早くあきて、大根を早く蒔き、其利の多きにしかず。 西瓜は昔は日本になし。
    寛永の末初めて其種子來り、其後やうやく諸州にひろまる。

     大根などを栽培するような余地の無い場所では、スイカの栽培を考慮したほうが良いです。 アマウリよりも畑が空くのが遅くなるので、アマウリの跡地に早めの大根を蒔くのに比べて、どちらが利があるかを判断すればよいです。
    スイカは元々日本にはありませんでした。 寛永時代の末頃に初めて渡来して、その後にやっと各地方にも広まりました。


    『巻之三 菜之類 西瓜(すいくわ) 第十三 3節』(P.151)了
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【小玉スイカ】
    150819_小玉スイカ
    (↑クリックすると、下記キャプションの画像を表示します)。
    葉が6枚ほどになったら親つるの先端を切ります。 親ヅルの途中から伸びてきた「子づる」勢いのよい3本を育てます。 子づるが伸びてきたら、支柱やひもに結びつけて上部へと誘導します。 こちらは雄花。 雌花の根元は丸く膨らんでいます、雌花が咲いたら人工受粉をします。 おいして実を取るために、1株につき3個を育てます。 4個以上あれば摘み取ります、積み取った実は漬物に利用できます。 シートの裾をめくり肥料をまきます。 つるが勢い良く伸びてくるので、まめに上部へと誘導します。 実が大きくなってきました、重さでつるが切れないように支えを用意します。

    つるを切ることについては、『農業全書巻之三 菜(さい)之類 西瓜(すいくわ)』にも殆んど同工(当り前か)の記述がある。

    又子をば一本に二つ三つまでは置くべし。 甚だ大なるを好まば一つをきたるにはしかず。 わきのつるも花も皆々つみ切るべし。 是は甘瓜のよごとく先を留むる事はなし。 無用のつるの出づるをきりさるべし。 其のまゝ置けば瓜ふとからず。

    『農業全書巻之三 菜(さい)之類 西瓜(すいくわ)』(P.150)

    関連:
    大玉スイカ
    菜(さい)之類 西瓜(すいくわ)
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【穫收(かりおさむ) 第八 /1節】
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【穫收(かりおさむ) 第八 /2節】
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【穫收(かりおさむ) 第八 /4節】
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【穫收(かりおさむ) 第八 5節】
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【穫收(かりおさむ) 第八 6節】
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【穫收(かりおさむ) 第八 7節】
    巻之一 農事總論 穫收(かりおさむ) 第八 7節

     一色を多くは作るべからず
     又前漢書に記しをけるは、穀を種ゆることは一色を多くは作るべからずと。 いかんとなれば五穀を始め色々雑穀數多く作れば、たとひ凶年にても其中に必ず利を得る物のある事なれば、 皆損ずるまでの愁はなし。 若し一種を多く作りて相應する年は、大利を得る事もあれど、それは稀にして、災害にあふ事は多し。 農人必ず色々を作るべしと見えたり。 殊に土地の相應不相應もあり。 品々のたねを求め作るべし。

     前漢書には、穀類を栽培する時には、同じ物ばかりを多く作らない事、とあります。 その理由は、五穀その他穀類、多種を栽培すれば、凶年の時でも作った品種の中には必ず出来の良いものがあるので、全滅する心配をしないで済むことです。 一種類だけを栽培してその品種が天候に恵まれて大豊作になる事もありますが、それは稀なことで災害に合うことの方が多いのです。農人は必ず多品種を作るべしと書いています。 土地の相性もあるので、色々の種子を入手して試してみることです。

    『巻之一 農事總論 穫收(かりおさむ) 第八 7節』(P.79)了
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【菜瓜(つけうり)】
    巻之三 菜之類 菜瓜(つけうり) 第九

     其作りやう甘瓜に同じ。

     作り方は、甘瓜(あまうり)に同じ。

    『巻之三 菜之類 菜瓜(つけうり) 第九』(P.147)了
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