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 農業全書 003  最新版へ
  目次  





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001 第一期分
002 第二期分




藍(あい)
 
             
杏(あんず)
     
栽法(うゆるはふ)
 1,2  3〜6        10  11  12,13  14  15  16  17  18  19  20  21
漆(うるし)
         5、6        10  11  12  13



柿(かき)
 
                 10
柿に七絶
活着(かっちゃく)
からむし焼き
灌水(かんすい)
葱(き/ネギ)
 1、2                10  11
桑(クワ/くは)
                   10  11  12  13  14  補筆
桑の種類
(コウゾ/かうぞ)
     3、4            10  11  12  13  14
高麗(こうらい)○○
柑類(コウルイ)
                   10  11  12  13  14
小麥(こむぎ)
       



挿し接ぎ
山林之總論
                 
シシウド(猪独活)
自序
 1 夫れ人世
 2 凡天下の
 3 我村里に
馴化(じゅんか)



竹(たけ)
 
1〜3              10
種子(たね)
               
烟草(たばこ)
 1、2                10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21
タバコ畑の虫除け
茶(ちゃ)
 1、2                10  11  12,13  14  15  16  17
接木之法(つぎき)
 1、2                10,11  12  13  14  15  16  17  18  19  20
常にあらざるは
唐(とう)○○
土地を見る法
                 
土用(どよう)



ナガネギ
南蛮(なんばん)○○
根上がり
根回(ねまわし)
野焼きの風景



八専(はっせん)
人の手風に・・・
棒糞(ぼうごえ)



巻き枯らし
水うへ(水植え)
水接ぎ法



雪下ネギ
寄せ接ぎ(よせつぎ)




輪糞



【別冊恵比塵】
農業全書・図

























(目次抜粋)
苧麻と
奥会津関係






からむし焼き
桑(くは)6
桑(くは)9
桑の種類
桑(クワ/くは)補筆
柑類(コウルイ)5
柑類(コウルイ)10


山林之總論6
シシウド(猪独活)


種子(たね)4
烟草(たばこ)3
烟草(たばこ)6
タバコ畑の虫除け
接木(つぎき)1〜2


ナガネギ
野焼きの風景






雪下ネギ




輪糞



[抜書き]

「神と自然の景観論」 野本寛一・講談社学術文庫

『名君の碑(いしぶみ)』中村彰彦・文春文庫

『日本人はなにを食べてきたか?』 原田信夫・角川ソフィア文庫

『日本中世の百姓と職能民』 網野善彦・平凡社ライブラリー

『ふるさとの生活』 宮本常一・講談社学術文庫

『生きていく民俗 生業の推移』 (宮本常一)

『日本文化の形成 中』 宮本常一・ちくま学芸文庫

『赤い人』 吉村昭・講談社文庫

『庶民の発見』 (宮本常一)

『民間暦』 宮本常一・講談社学術文庫

『歴史・祝祭・神話』 (山口昌男)
『日本の歴史 3奈良の都』 (青木和夫)

『日本人はどこから来たか』 斎藤忠・講談社学術文庫

『日本数寄』 (松岡正剛)

『民俗のふるさと』 宮本常一・河出文庫

『日本の神話と十大昔話』 楠山正雄・講談社学術文庫
『文化と両義性』 (山口昌男・岩波現代文庫)

『現代語訳 日本書紀』 福永武彦・河出文庫

『うるしの話』 松田権六・岩波文庫

『魚影の群れ』 吉村昭・ちくま文庫

『虹の翼』 吉村昭・文春文庫

『城下の人』 石光真清・中公文庫

『増補 幕末百話』 篠田鉱造・岩波文庫

『日本の米 環境と文化はかく作られた』 富山和子・中公新書


【桑(くは) 14節】
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【桑(くは) 第四 1節】
    巻之七 四木之類 桑(くは) 第四 1節

     桑は四木の一つにて取分き貴き物なり。 凡て人世の重き物は衣食に過ぐる事なし。 しかれば五穀に次ぎて必ずうゆべき物なり。
    古は人家ごとにやしき廻りに桑をうへて應じ/\に糸綿(※)を取りて、衣服の儲としたりとみえたり。 殊に一度うへをきては、女功ばかりにて農事の妨ともさのみはならず。 草木こそ多き中に青葉より糸綿の出づる事實に奇妙の霊木なり。

     桑は
    四木(しぼく)の一つで、特に貴重な木です。 人が生存していく上で衣と食は最も基本のことになりますので、五穀(食)に次いで必ず植えるべき木とも言えます。
    むかしは、それぞれの家毎に屋敷回りに桑を植えて、随時糸綿を採取して、衣服を作る準備(まけ、儲)としたようです。 特に一度植えておけば、世話は女手だけでもできるので、農業に差し障りもありません。 無数の草木類があるなかで、青葉から糸を出すという桑は、実に奇妙で珍しい霊木とも言えるでしょう。


    近來木綿を廣く作りて其しるし速やかにして、下賎のために便りよきを専らとして、名所の外は桑のしたて疎かになりたると見えたり。
    されど、木綿も又土地所によりてをしなべて作る物にあらず。 山中雨霧の深き所、其外作りて利なき所多し。 此等の所にては桑に宜しき土地をゑらび、やしき廻り牛馬のふせぎなど無益の雑木をのぞき、専らうゆべき物なり。

    昨今は木綿(もめん)を多く作りその成果がすぐに現れるので、下世話な人々は便利さが一番とばかり、そちら(木綿)に移っています。 それで、特に名産地の外は桑の世話(栽培)が疎かになっているように感じられます。
    しかし、木綿といえども土地によってはどこでも出来る物ではありません。 山間地や雨や霧の深い場所やその他の場所でも、木綿を栽培しても無駄になる地域は多いのです。 こういう土地では、桑に合った土地を選んで、屋敷回りや牛馬避けの柵代わりにしているような益のない雑木は取り去って、桑を植えるべきなのです。


    桑に2種類あり
    是に先づ二色あり。
    一色は木立のびやかにふとりて、葉丸く廣く厚し。 葉の切目少しありて實多くならず。 是を唐の書には魯桑と云ひて、桑の上としるし置けり。
    今一色、しん木枝まで細く堅く見えて、葉の切めふかく、菊の葉のごとし。 椹(くはのみ)多くなりて木のかたちふくやかならず。 是を荊桑(けいさう)と云ふなり。
    魯桑は蠶にかひて糸綿多く、荊桑は葉うすく堅きゆへ、其利劣れり。 糸はつよし。
    魯桑は、木やはらかなれば久しくこたへず。 荊桑は、幹木より枝葉まで堅きゆへ久しくさかへてつよき物なり。
    然るゆへに、荊桑をだい木にして魯桑の穂を接ぎたるがよしと唐の書にはしるし置けり。

    桑には2種類の木があります。
    一種は木立ちが伸びやかに太って、葉が丸く広く厚く、葉には切れ目が少しあり、実が多く無い種類です。 これは、唐では魯桑(ろそう、ろぐわ)と呼んでいて、桑の上品と書いてあります。
    もう一種は、幹や枝が細くて硬く、葉の切れ目が深く菊の花のような種類。 桑の実(くわのみ、椹)が沢山なって木の形も瘠せてふっくらとは見えない種類。 これは、荊桑(けいそう)という種類です。
    魯桑は蚕を育てると糸が多いのですが、荊桑は葉も薄く硬いので、生産量は劣りますが、強い糸が作れます。 魯桑は木が柔らかいので寿命が長くありませんが、荊桑は幹から枝葉まで硬いので長年の間茂って木は丈夫です。 それなので、荊桑を台木にして魯桑を接木(穂接)するのがよいと唐の本には書いてあります。


    尤さもあるべき事なれども、桑は生じ安くさかへやすき物にて、接木、さし木、取木などするに及ばず。 よきたねを年々まき、苗を多く生立てをき古木のかはりにうへつぐべし。

    それももっともなことですが、桑の木は生え易くて繁茂しやすいので、わざわざ接木や挿木や圧条(取木)をするほどの物でもないです。 良い種(桑の実)を毎年蒔いて、苗を多く育ててそれを古木の代りに移植すればよいのです。

    『巻之七 四木之類 桑(くは) 第四 1節』(P.258〜259)
    桑(くは)2節 へ
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【楮(コウゾ/かうぞ) 14節】
    四木之類 楮(かうぞ) 第二 14節

     コウゾの用途
     又楮に多くの功能あり。 四木の内にて桑に次ぎてなくて叶はぬ物なり。
    第一は、貴賎日用の書状、或は事を記し、雑事に用ひ、萬其所用となる事はかるべからず。

     コウゾ(楮)には色々な用途があります。
    四木(しぼく)のひとつで、に次いで必需の木なのです。
    一番目には紙です。 貴賎を問わず日用の書状として、または日記、その他の書付、諸事その用途は数え切れません。


    は茶にして諸病を治し、若葉は菜にし、 其古株(かぶ)の朽ちたるを濕地に埋みシ甘水をそゝげば菌(くさびら)を生じ、 又わかき楮木の切口より出でたる汁にて金字をかけば眞金によく似たり。

    葉はお茶にもなり、薬にもなります。 若葉は菜として食用にもなります。 古株の枯れた木は、湿地に埋めてシ甘水(あまみず)を掛けておくと、キノコが生えます。 また、若い楮の木の切り口の樹液で黄色の字を書くと、本当の金文字の様に見えるのです。

    又此を以てきる物に造り、衾としては堅く暖にして貧家の助けとなる。 彼是其徳ならびなき霊木なり。 尺地も所あらば無益の物をかりすて、一かぶにてもうへ置くべし

    この皮では着物を作り、夜具(衾)にすれば堅くて暖かで蒲団を買えない家では出費の助けになります。 この様に、多種多様の用途のあるありがたい木といって良いでしょう。 ほんの少しの土地でもあれば、要らない木は伐ってしまい、1株だけでも植えておくと良いです。

    古人のいへるごとく、うへてさへをきぬれば衣食のやしなひを待つ物にあらず自らふとりさかへて盡くる事なきは生物の徳なり。 實に是のみに限らず、若し土地のらいあらば世を助くる草木を苗を仕立て、接木とり木にし、 折ふしの暇に心にかけうへ立てをきぬれば、いつとなくさかへて地の徳もさかんになり、 凡て所も富み、民のかまどの賑ひ豊かならん計是に及ぶ事稀ならん。 中にも楮は其用多くある物なり。

    古人言ってます。一度植えてさえおけば、衣食の用途に使うことが出来て、ずっとそのまま使い続けることが出来るのです。 自分で成長して繁茂して、尽きる事が無いのは生物の徳目なのです。
    このことは、楮に限らないことです。 もしも使える土地があるのであれば、こうした有用な草木を苗を仕立ててでも、接木でも取木にしても、 折々の余暇の時間に、気に掛けて植え立てておけば、いつの間にかに栄えて、土地も有効活用出来るのです。 その地域も豊かになり、住民の竈(かまど)も賑わってくる企てとしても、植樹は大切なことなのです。


    或は五穀は會て作られざる山野の嶮しくそばだちて牛馬のすきかきもならざる岩のはざまの石多く、 他の物を作るべき様なき所も、楮に相應の地必ずある物なり。 心を付けてゑらびうゆべし。

    穀物を栽培出来ないような山野があります。 険しい斜面で、牛馬の犂き掻きも出来ないような岩場の間で石が多い場所。 他の作物を作り様も無いような場所でも、楮にはそれなりに適する場所は必ずあるものです。 気をつけて場所を選ぶのです。

    されども、高山北向の風はげしき所にはうゆべからず。 たとひ肥良の土地にても、風のつよくあたる所に甚だよからぬ物なり (をよそ楮は地をゑらぶ事肝要なり。 土地の相應善惡をよく辧へず、妄におほく作りて人力をついやし、はなはだ財をうしなふ事あり。 尤慎むべし)。

    ただし、高山の北向きの風の厳しい場所は植えても無駄です。 どれだけ肥えた土地でも、風か強く当たる場所は、楮には不適地なのです。
    とにかく楮を植えるには土地の選定が一番大事です。 土地の相性と効率利潤を検討もしないで、いたずらに大々的に作ってはみたものの、人手だけを費やして、大損をしてしまう事もあるのです。

    無計画な楮栽培による失敗の事は、 桑(くは)補筆項にも詳しく書かれている。 この掲載子は、この条(くだり)には殖産興業の心構えとの副題をつけてみました(^^;


    『四木之類 楮(かうぞ) 第二 14節』(P.253〜254)了
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【山林之總論 第十 1節】
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【藍(あい) 第四 1節】
    巻之六 三草之類 藍(あい) 第四 1節

     藍の効用
     藍は是も三草の一つにて、世を助くる物なり。 衣服其外絹布を染めてあやをなし、取分け是を以て染れば其物の性をつよくし、 久しきに堪へて損じ敗るゝ事なし。 然るゆへに古今廣く作る事なり。

     藍は
    三草のひとつで世の中にとても役に立つものです。 衣服その他絹布を染めて美しくいろどり(彩)、特に藍染めは、布そのものを強くして、丈夫で長持ちします。 昔から変わらず、広く栽培されています。

    種の取り方
    先たねを收る事、二番をからずしてみのらせて取るべし。 水田に作るは三番にても取りてよし。 乾しもみ取りて俵かかまぎなどに入れをくべし。

    種を取る分は、二番咲きを刈らないで実らせて採取します。 水田などに作ったものは、三番咲きの分でもよいでしょう。 乾かして揉んで種を取って、俵(たわら)や叺(かます、かまぎ)に入れて保管しておきます。

    苗地の事
    苗地の事、蕪菁大根の跡又は稲田もよし。 よく耕しこなし糞を多くうちをき、節分より三十日三十五日して種子を下し、 其上に濃糞を多くうち、又灰を以て覆ふもよし。 又はたねを灰と砂とに合せて蒔くもむらなく、能く生る物なり。 此時は別に種子おほひは入らず。

    苗地は、かぶらな(蕪菁)や大根畑の跡地や稲田でもよいです。 よく耕してこなして堆肥を打っておいて、節分から数えて30日から35日頃にタネを蒔きます。 その上には濃肥を多めに打って、灰で覆ってもよいです。 または、種を灰と砂に合せて撒くと、斑が出来難くよく芽生えてきます。 この時には、種の上に覆いをしなくてもよいです。

    苗が出て20日目
    さて生ひて後廿日ばかりして濃糞を右のごとくうつべし。 其後心葉出でては四分糞(濃糞に濁水を六分合せたるなり)にしてうつべし。

    苗が芽を出して20日も経ったら、濃肥を打ちます。 その後、芯葉が出てきたら濃肥を薄めてうちます。 これは、四分糞と言います、濃肥に泥水6割ほど混ぜたものです。

    60日目
    さて六十日して水田なれば畦作りし、其幅三尺五寸もあらば、一かぶに二もと三もと取りて、 横筋一通りに八科(かぶ)ばかりうゆべし。 がんぎの間は一尺許なるべし。 科數は畠も大かた同じ事なり。 一筋に六かぶ七かぶうゆるもあるべし。

    60日目頃に、苗植えをします。 水田であれば畦作りをします。 幅は3尺5寸ほどであれば、1株分に苗を2、3本ずつ取って横筋1通りで8株ほどの目安で植えます。 ガンキ幅は1尺ほどに切ります。 畑の場合でも、株にする数については、水田とあらかた同じでよいです。 1筋で6、7株位です。

    高田の植え方
    高田にうゆる時は男は鍬を以て筋をきりて通れば、女は跡より苗を持ちて葱をうゆるごとくうゆるを、 男又廻りて土をおほふなり。

    高いところに作られた水捌けの良い田(あげた、高田)に植える時は、男が鍬で筋を切って行きます。 その後を女が苗を持って葱(ねぎ)植えの要領で植えて行きます。 男がまたその後ろに回ってきて、土を掛けて行きます。

    高田のかはきたる地ならば、露ばせとて、水を溝よりすくひかくる物あり。 箱の一方をはなち、一方には長き手のある物を以て水をそゝぐ事、 一日に二三度も地のしめるほどすくいかくるなり。 うへて三日の間、雨氣なくば頻りに水をうつべし。
    猶又ひでりつよくば、用水あらば溝よりしかくべし。 瓜田に水をしかくる事は、溝半分に過ぐべからずといへども、是は一盃たゝゆる程にすべし

    あげた(上田)の乾いた地であれば、露ばせという、水を溝から掬って掻ける道具があります。 (水槽のような箱?)箱の一方を開いて、一方には長い柄のある物(柄杓ですか?)で水を注ぎます。 一日に2回でも3回でも、地面が湿るほどに水を打っておきます。
    また旱(ひでり)が強い時には、用水路があればそこから溝に水を引きます。 瓜田に水を掛ける時には溝の半分を超えないようにしなさい、と言われますが、この場合(藍)は、溝一杯になるくらいに水を引きます。


    『巻之六 三草之類 藍(あい) 第四 1節』(P.224)
    藍(あい)2節 へ
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【山林之總論 第十 9節】
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【土地(とち)を見(み)る法(ほふ) 第三 3節】
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【土地(とち)を見(み)る法(ほふ) 第三 4節】
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【土地(とち)を見(み)る法(ほふ) 第三 1節】
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【自序 1節/夫れ人世のことわざ、】
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【山林之總論 第十 6節】
    農事總論 山林之總論(さんりんのさうろん) 第十 6節

     又史記の貨殖傅に、安邑千樹の棗、燕秦の
    、陳夏の、齋魯の、渭川の、 是等の物を千萬本もうへ生立(そだ)て持ちたる人は、其富千戸侯とひとしとて、一郡をも取るほどの分限にもをとらぬ富なりとしるせり。

     「史記/貨殖傅」には、安邑千樹の棗燕秦の栗陳夏の漆齋魯の桑麻渭川の竹、これらのものを千万本も植えて育てて持っている人は、その富は千戸侯に等しい。 それは、1郡の一国の主の分限にも劣らぬ富である。と書いています。

    本朝にてもこれに似たる事あり。 紀州、駿州、肥州のみかん、遠州、藝州の柿、防州、濃州の楮、丹波の栗、たばこ、 但馬の山椒、東國、北國の絹綿、播磨の木綿、吉野の榧(かや)、伏見の桃、阿波、土佐の材木、薪炭、 其外諸所の名物土産品々これ多し。五穀に次いで世を助くるの用かぎりなし。 然れば木の實をうへ、山林をそだつるはかりごと年月にしたがひて怠るべからず。

    日本でも、これに似た事例はあります。
    紀州、駿州、肥州のみかん遠州、藝州の防州、濃州の丹波のたばこ但馬の山椒東國、北國の絹(桑)綿(麻苧(まを)播磨の木綿吉野の榧(かや)伏見の阿波、土佐の材木、薪炭この他にも各地での名物、産品は多いのです。
    五穀に次いで世の中の用に限りなく役立つのです。 それなので、植林をして山林を育成する計画は、毎年決った季節に実施する事を怠ってはいけません。


    『農事總論 山林之總論(さんりんのさうろん) 第十 6節』(P.85)
    山林之總論(さんりんのさうろん)7節 へ
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【諸樹木栽法(うゆるはふ) 第十五 1、2節】
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【土地(とち)を見(み)る法(ほふ) 第三 5節】
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【烟草(たばこ) 3節】 16/06/21欠落分の追記 16/07/27リンク変更
    『農業全書巻之六 三草之類 烟草(たばこ) 第八 3節』

    150829_タバコ
     苗地を焼く
     苗地の事、冬より二三度も耕し懇にこなし、糞をうちさらし置きたるに、 正月早くやき草を多く入れて、土の焦るゝほど焼きたるは猶宜し。
    但やしき内など又は焼草なき所ならば、幾度も細かにこなし、焼土鼠土などにこゑをかけ、 ねさせ置きたるを蒔きごゑとして、正月雪きえて畦作りし上を平らかにならし、少したゝき付け、

     苗地は、冬から2、3度耕して丁寧にこなします。 コヤシを蒔いて、晒しておきます。 1月早くに焼きます。草を多く入れて土が焦げる程に焼くと良いです。 ただし、屋敷内やまたは焼草の入手出来ない場所なら、何度も細かにこなして、焼き土や鼠土などにコヤシを掛けて、 寝かして置いたものを撒き肥にします。 1月に雪が消えて畦作りをして、上を平らにならして少し叩くき付けます。

    種を蒔く
    右の蒔糞に細砂を少しもみ合せ、むらなく薄くちらし蒔きにし、 わらの箒にて蒔きたる上をかたよりなき様にはきならし、 其上に高さ五六寸に竹にてあら/\とたなをかき、上にこもにても古き筵にてもおほひ、 暖かなる日は時々おほひをのくべし。 又地の上に竹をならべ其上におほひを置きてもよし。
    焼肥と小砂と種を揉み合せて、散し蒔きにする。 疎らにならないように藁の箒で刷き均す。 竹で棚を作り、菰(こも)や古筵(むしろ)で覆う。 暖日は、時々日に当てる。 又は地面に竹を並べてその上に覆いを被せてもよい。

    苗を育てる
    若し旱して地かはきたらば、●“シ甘”を少しそゝぎ苗葉を出し、 色うすくば細雨の中水糞を少しづゝそゝぎ小熊手にて中を折々かきあざり、 苗二三寸にもなりたる時は、しげき所を間引きさり、又茎細ながくよはきをば是又ぬき捨つべし。 惣じて苗地は思はく廣くしをきて、皆ひら苗となしたるがよし。
    土が乾くようであれば薄く水肥をする。 苗が出てきて葉色が薄いようであれば、霧雨のような天気の時に水肥を注いで、熊手などを使って土掻き混ぜる。 苗が2、3寸になったら、苗の混んでいる所は間引きする。 間引きは、茎が細くて弱そうな苗を引き抜いて捨てる。 苗地は広めに作って、ひら苗とするのがよい。
      ひら苗?。特に苗を蒔く場所として溝を作ったり、区(まち)を作ったりしないで、広い平らな場所に、 むらなく薄くちらし蒔きした苗のことか。
      ●“シ甘”:〔サンズイ〕に“甘”で一字。他の個所の記載では、「うすみず」などとルビがあり。糞尿の類を薄めた水肥のようである。


    移植する土の性
    移しうゆる地は、畠にても田にても、麥をうへたるにうゆべし。 赤土に細砂交り小石も少々ある性のつよち地に作りたるが、味よくいろもよき物なり。 吉野丹波のたばこ地いづれもかくの如し。 服部は大かた田ばかりに作る。 是又うす赤き土に細砂小石も少々ありて、もろく強き性のよき地と見えたり。
    移植する地は、畑でも田んぼでも、麥を植えるような要領で植える。 赤土に細かい砂や小石なども混じる地力のある地に移植すると、味も色もよくなります。 吉野や丹波の煙草畑は、殆んどがこのようなところです。 また、服部(地名)は大抵は田んぼに作るが、その地もやはり、またうす赤い土で、細砂や小石も混じっていてほぐれやすい土で性の強い土質のようである。
    『農業全書巻之六 三草之類 烟草(たばこ) 第八 3節』(P.231〜232)
    烟草(たばこ)4節 へ
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【桑(くは) 補筆】 16/07/03追記
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【茶(ちゃ) 第一 1、2節】
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【茶(ちゃ) 第一 3節】
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【茶(ちゃ) 第一 4節】
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【茶(ちゃ) 第一 5節】
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【茶(ちゃ) 第一 6節】
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【茶(ちゃ) 第一 7節】
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【茶(ちゃ) 第一 8節】
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【茶(ちゃ) 第一 9節】
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【茶(ちゃ) 第一 10節】
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【茶(ちゃ) 第一 11節】
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【茶(ちゃ) 第一 12、13節】
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【茶(ちゃ) 第一 14節】
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【茶(ちゃ) 第一 15節】
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【茶(ちゃ) 第一 16節】
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【茶(ちゃ) 第一 17節】
    四木之類 茶(ちゃ) 第一 17節

     宇治醍醐栂尾、是れ本朝の三園、何れも性強き赤土の石地なり。 されば茶經にしるせるごとく北陰など日當のあしき、風寒はげしき所、茶にはよしと見えたり。 茶園を仕立つる人、此等の考へを専らにすべし。

     宇治(うじ)醍醐(だいご)栂尾(とがのお)は、日本の三茶薗といってよい所ですが、 どの地も性の強い赤土の石混じりの土地です。 『茶経』にも、北陰になる日当りの悪い、寒風の強い場所が、茶には適している、と書いてあるのです。 茶園を仕立てようとする人は、この説を首肯すべし、ですね。

    凡そ都鄙、市中、田家、山中ともに少し園地となる所あらば、必ず多少によらず茶を種ゆべし。 左なくして、妄りに茶に銭を費すは愚なる事なり。

    都会でも過疎地でも、市中、農家、山の中でも少しでも茶薗になりそうな場所があれば、広さに拘らずに茶は栽培すべきです。 植えないで、無暗にお茶を買って金を遣うことは、もったいないのです。

    一度うゑ置きては幾年をへても枯れ失(う)する物にあらず。 富める人は慰ともなり、貧者は財を助くる事多し
    (若し又山野もなき里ならば、本田畠に茶をうへても家々に茶を買はぬ手立をなすべし。 是只一時の心づかひを以て子々孫々まで茶に財をつひやさぬはかりごとなり)。

    一度植えておけば、何年経っても枯れて無くなる物ではないのです。 金持の風流人ならそれが楽しみにもなるでしょうし、貧乏人には金銭(米銭)の節約になる事が多いのです。
    もしも適するような山野が無い村里ならば、田畑を使ってでも茶を植えて、各家々でお茶を買わない手立てをするのです。 これは只一回の心遣いで植え付ければ、子々孫々まで代々茶に金を使わない家風にもなるのですから。


    『四木之類 茶(ちゃ) 第一 17節』(P.247〜248)了
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【柑類(かうるい) 第十六 12節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 1節】
    菓木之類 柑類(かうるい) 第十六 1節

     蜜橘(みかん)の類色々多し。 柑(くねんぼ)、柚(ゆづ)、橙(だい/”\)、包橘(かうじ)、○○(ぶしゆかん)、 金橘(きんかん)、此外、夏蜜橘、じやがたら、じやんぼ、すい柑(かうじ)此等の類九種、漢土より取り來る日本紀に見えたり。 中にも橘(みかん)取分き賞翫なり。

     ミカンの種類も沢山あります。 くねんぼ、柚子(ゆず)、ダイダイ(橙)、こうじ(柑子)、ぶしゅかん(仏手柑)、きんかん(金柑)。 それから、夏ミカン、ジャガタラ、ザボン、水柑子(すいこうじ)、といった具合に9種類程、 ミカンは漢の国から持ち込んだと、日本紀には載っています。 なかでも、ミカンは取分け愛でられています。

    『菓木之類 柑類(かうるい) 第十六 1節』(P.281)
    柑類(かうるい)2節 へ

    ついつい、みかんのしゅるい
    くねんぼは、【九年母】くねんぼ、香橘(こうきつ)。くねぶ。
    【柚・柚子】ゆずは、ゆずのき。ゆう。ゆ。
    【橙・臭橙】だいだいは、果実は球状で冬に黄色、翌年夏になるとまた緑色にもどる。このことから代々の意かともいわれ、また「橙」の中国音の変化とする説も。 果実が年を越しても木についているので「代々永続」などの意に解し、正月の飾りに用いる。
    包橘(かうじ)は、【柑子】こうじ、スルガユコウ、フクレミカンなどの品種がある。こうじみかん。
    ぶしゆかんは、【仏手柑】ぶしゅかん、マルブシュカンの変種、てぶしゅかん。ぶっしゅかん。
    金橘(きんかん)は、【金柑】きんかん、マルミキンカンやナガミキンカン。金橘。ながきんかん。ひめたちばな。
    【夏蜜柑】なつみかん江戸中期、現在の山口県長門市大字仙崎字大日比で発見。なつだいだい。なつかん。
    じやがたら、これが分からない。ジャガ芋と同じ様に、ジャカトラ(現在のジャカルタ)伝来の意に近いと想像。
    じやんぼジャンボ(jumbo)!、大きいという意味か?!元禄時代にスワヒリ語まで入ってきていた!!。。。 そんなことは無い、これはなんだ、どうやらザボンですね。 【朱欒】ザボン(zamboa)、果肉が紅紫色はウチムラサキ(内紫)、白がザボン。漢名朱欒。文旦(ぶんたん)。ジャボン。ザンボア。
    すい柑(かうじ)、水柑子とか(想像です)。
     出てくる名前を羅列。
    蜜柑、ウンシュウミカン、キシュウミカン、ダイダイ、ブンタン、グレープフルーツ、 温州橘(うんじゅうきつ)、温州蜜柑(うんしゅうみかん)、早生(わせ)温州、尾張温州、池田温州、 こみかん、きのくにみかん、有田みかん、文旦(ぶんたん)、 朱欒(ザボン(ポルトガルzamboaから))、 ウチムラサキ、ジャボン、ザンボア、 檸檬(レモン(英lemon))、ネーブル(navel orange)、 へそだいだい、へそみかん、臍柑(へそかん)、九年母(くねんぼ)、 香橘(こうきつ)、くねぶ、ゆずのき、ゆう、ゆ、 スルガユコウ、フクレミカン、柑子蜜柑(こうじみかん)、 唐橘(からたちばな)、こうじ、たちばな、 仏手柑(ぶしゅかん)、マルブシュカン、てぶしゅかん、仏手柑(ぶっしゅかん)、 金柑(きんかん)、マルミキンカン、ナガミキンカン、金橘、ながきんかん、ひめたちばな、 長実金柑(ながみきんかん)、 夏蜜柑(なつみかん)、夏橙(なつだいだい)、夏柑(なつかん)。
     おまけ。
    きのくにみかん、紀伊の国のミカンなのでしょうが、ミカンといえば紀国屋文左衛門江戸前期の商人。姓は五十嵐。幼名は文吉。ですと。

    漢土より取り來る事日本紀に見えたり。
    見つけた。
    『日本書紀』
      天皇命(みことおほす)田道間守(たぢまもり)  遣(つかはす)常世國(とこよのくに)  令求非時(ときじく)香菓(かくのみ)  今謂橘(たちばな)是也
    『古事記』
      また天皇、三宅連等(みやけのむらじら)の祖、 名は多遲麻毛理(たぢまもり)を常世の國に遣はして 非時(ときじく)の香(かく)の木の實を求めしめたまひき。
    どこにあったかが探せないのですが、どうやらこの香菓(かくのみ)というのが、今(古事記、日本書紀編纂の時代の頃)で言う橘(たちばな)らしいのですね。
    非時香菓とは、季節を問はず(非時=常に)に香りき果物、つまり柑橘類の実。などとあり。
    ここから蚕の話とか、不老長寿、徐福伝説とか、、、、
    それらの消息らしいことが、このあたりにも書いてある(らしい)ことまでは何となく(^^; 『現代語訳 日本書紀』 福永武彦・河出文庫
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【柑類(かうるい) 第十六 13節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 2節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 3節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 4節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 5節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 6節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 7節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 8節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 9節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 10節】
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【柑類(コウルイ/かうるい) 第十六 11節】
    菓木之類 柑類(かうるい) 第十六 11節

     柑橘類の手入れ
     柑類の木の廻り掃除し、根ぎはまで少し水走り高くして、 寒中はわきを浅くかき、濃糞牛馬糞を入れ、 海藻ある所ならば根の廻りにおほく敷きひろげ、春の半少しつぼみも付く時分は、鰯のくさらかしなどをうすくして木の上よりうち、 又は小便をうちたるも木よくさかへ多くなりて實も大きなり。

     柑橘類の木の回りは掃除をしてきれいにしておきます。 根の際まで少し土を盛って水走りを高くします。
    寒中は脇を浅く掻いて、濃肥、牛馬糞などを入れておきます。 海藻が入手できる所なら、根の回りに大量に敷き広げておきます。
    春の半ばに、蕾(つぼみ)が付く頃には、鰯(いわし)の腐らかしなどを薄めて、木の上から打ち撒きます。
    または、小便を打ち撒いておいても、木がよく繁茂して、実も大きくなるものです。


    又畠にうへをきたるは、其きはなる作り物に糞しを多くすれば、此ために別に用ひずしてもくるしからず。

    畑に植えている柑橘類であれば、その傍の栽培物にコヤシを多めに使えば、 とりわけミカンの木の為だけにコヤシをする必要も無いでしょう。

    『菓木之類 柑類(かうるい) 第十六 11節』(P.285)
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【柑類(かうるい) 第十六 14節】
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【八専(はっせん)】
    一年に六回あり、この期間は雨が多いといわれる。
    (簡便辞書引用)

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【土用(どよう)】
    陰暦で、立春立夏立秋立冬の前各一八日間の称。 陰陽五行説で四季を五行にあてはめる場合、春・夏・秋・冬を木・火・金・水に配すると土があまるので、 四季それぞれ九〇日あるうちの終わりの五分の一ずつを土にあてたもの。
    春は清明夏は小暑秋は寒露冬は小寒の後、各一三日目に土用に入り、 一八日で土用が明けて次の季節が始まる。
    (簡便辞書引用)

    一般的には、小暑から立秋までの夏の最も暑いさかり
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【唐(とう)○○】
    中国の国名、王朝名。隋のあとを受けて中国を統一した王朝(六一八〜九〇七)。 高祖(李淵)から哀帝まで二〇世。
    一般に中国のこと。また、広く外国をさしてもいった。

    唐土草(とうどぐさ)  唐擬宝珠「朝鮮擬宝珠」の異名  唐椿(とうつばき、からつばき)「朝鮮椿、南京椿」の異名  唐松(からまつ)「朝鮮松、朝鮮五葉」  唐麦(とうむぎ)「朝鮮麦」の異名  唐橘「枸橘・枳殻(からたち)、柑子(こうじ)、やぶこうじ(藪柑子)」の異名 
    唐辛子・唐芥子・蕃椒(とうがらし)「南蛮辛子、南蛮胡椒」  唐ぐこ(とうぐこ)  瓜類(うりるい)唐瓜(とううり) 「きゅうり(胡瓜)、まくわうり(真桑瓜)」異名  唐黍(もろこし)とうもろこし(玉蜀黍)もろこし(蜀黍)」の異名  唐菜(とうな)「隠元菜」の異名  唐大黄(からだいおう)「大黄(うおう、おおし)」  唐納豆(からなっとう)「黒豆坐禅」  唐胡麻(とうごま)「蓖麻子(ひまし)」  唐芥子「高麗胡椒」  唐小豆(とうあずき)「南蛮小豆」  南蛮唐の黍「玉蜀黍」  唐の芋「サトイモ」  唐葵「たちあおい(立葵)」の古名  唐一つ葉「」「ひとつば(一葉)」の異名  唐芋「さつまいも(薩摩芋)」の異名  唐鰯(からいわし)  唐烏「かささぎ(鵲)」の異名  唐荏「とうごま(唐胡麻)」の異名  唐燕「あまつばめ(雨燕)」の異名  唐猿「おながざる(尾長猿)」の異名  唐黄櫨「なんきんはぜ(南京黄櫨)」の異名  唐黄楊「つげ(黄楊)」の異名  唐黄耆(からおうぎ)  唐果物・唐菓物「れいし(茘枝)」の異名  唐花草(からはなそう)  唐茄子「カボチャ(南瓜)」  唐茄子海綿(とうなすかいめん)  唐水母・唐海月「びぜんくらげ(備前水母)」の異名  唐柿「いちじく(無花果)、トマト」の異名  唐樫「かりろく(訶梨勒)」の異名  唐冠貝(とうかむりがい)  唐丸・鶤鶏(とうまる)唐雁「がちょう(鵝鳥)」の異名  唐擬宝珠(とうぎぼうし)  唐菊「しゅうめいぎく(秋明菊)」の異名  唐桐「ひぎり(緋桐)」の異名  唐桑(とうぐわ、からくわ)「はなずおう(花蘇芳)」の異名  唐鍬(とうぐわ)  唐犬(からいぬ)  唐絹(からぎぬ)  唐胡桃「てうちぐるみ(手打胡桃)」の異名  唐紅「かんこうばい(寒紅梅)」の異名  唐紅葉「とうかえで(唐楓)」の異名  唐笹「ささくさ(笹草)」の異名  唐三盆(とうさんぼん)  唐山桑「とうぐわ(唐桑)」の異名  唐子木楓(からこぎかえで)  唐糸草(からいとそう)  唐芝「こうらいしば(高麗芝)」の異名  唐種(からだね)  唐種苺「とっくりいちご(徳利苺)」の異名  唐鋤「からすきぼし(唐鋤星)」の略  唐小賀玉(とうおがたま)  唐松草(からまつぐさ)  唐菖蒲「グラジオラス」の和名  唐人豆「かいこうず(海紅豆)、なんきんまめ(南京豆)」の異名  唐栴檀「いいぎり(飯桐)、びゃくだん(白檀)」の異名  唐鼠黐(とうねずみもち)  唐草「絡草(からみぐさ)、からくさがわら(唐草瓦)」の略、「うまごやし(馬肥)、みぞかくし(溝隠)、ぼたんづる(牡丹蔓)」の異名  唐大葉子(とうおおばこ)  唐沢瀉「みつがしわ(三柏)」の異名  唐竹(とうちく、からたけ)「まだけ(真竹)、はちく(淡竹)、ほていちく(布袋竹)」の異名  唐竹蘭(とうちくらん)  唐茶(からちゃ、とうちゃ)「こうちゃ(紅茶)」の異名  唐朝顔(とうあさがお、からあさがお)「ちょうせんあさがお(朝鮮朝顔)、とろろあおい(黄蜀葵)」の異名  唐蝶「あげはちょう(揚羽蝶)」の異名  唐鳥(からとり)  唐桃「あんず(杏子)」の異名  唐豆「南京豆」  唐南天「ひいらぎなんてん(柊南天)」の異名  唐猫(からねこ)  唐馬(からうま)  唐梅「ろうばい(蝋梅)」の異名  唐鳩(からばと)  唐飛廉(とうひれん)  唐稗「しこくびえ(四国稗)」の異名  唐百合「ひめゆり(姫百合)」の異名  唐撫子「せきちく(石竹)」の異名  唐楓・唐槭(とうかえで)「三角楓」  唐変木(とうへんぼく←違う(^^;)  唐法師(とうぼし)「あかごめ」「大唐米」「とうぼうし」  唐箕(とうみ)  唐綿「わた(綿)」の異名  唐木(とうぼく、からき)  唐木瓜「ぼけ(木瓜)」の異名  唐木香(もっこう)「もっこうばら(木香薔薇)」の漢名  唐木綿(とうもめん)  唐木○豆(とうきささげ)  唐梨「あかりんご(赤林檎)」の古名、「かりん(花梨)」の異名  唐檜(とうひ)「いらもみ(刺樅)」の異名  唐檜葉「びゃくしん(柏槙)」の異名  唐梔子「こくちなし(小梔子)、しくんし(使君子)」の異名  唐棕櫚(とうじゅろ)  唐棗(からなつめ)「さねぶとなつめ(核太棗)、なつめやし(棗椰子)、そてつ(蘇鉄)」の異名  唐棣花(はねず)  唐楝(とうせんだん)「いいぎり(飯桐)」の異名  唐櫃(からうず、かろうず、からうと、からと、からびつ、からひつ)「米櫃」「屍櫃・辛櫃」  唐牆(からかき)  唐筵(とうむしろ)  唐臘梅(とうろうばい)  唐艾(からよもぎ)「きく(菊)、しろよもぎ(白艾)、かわらにんじん(河原人参)、はこべ」の異名  唐苺「こじきいちご(乞食苺)」の異名  唐萵苣「ふだんそう(不断草)」の異名  唐薑(からはじかみ)「ごしゅゆ(呉茱萸)」の古名  唐薺(からなずな)  唐躑躅(とうつつじ)  唐鶸「まひわ(真鶸)」の異名  唐○豆(とうささげ)「いんげんまめ(隠元豆)」の異名 

    全部簡便辞書を引いてみただけ(^^;

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【ナガネギ】
    150819_ナガネギ
    (↑クリックすると、下記キャプションの画像を表示します)。
    溝の側面に沿わせて植えます。ワラを溝に入れます。 地中深く根を張るナガネギ、ワラがあると根が空気を取り込みやすくなります。 草丈が伸びるのにあわせて何度も土を寄せます。 土寄せの目安は白い部分との境目です。 取れたては甘みと香りが格別、冬しか味わえない旬の味覚を堪能。

    奥会津の雪解けの畑に、雪下ネギを取りまとめるの図。
    130504_玉屋敷にて野良仕事
    まとめたネギ。
    土はネギの白いところがあっぺ。そこの二又になってるあたりまで埋めればちょうどいい。
    ネギの地上部は、出てきたばかりで短いが、地下茎部分は十分に太くみっしりしている。 そのまま、焼いて食うとうまそうな、これは雪下ネギというのではなかろうか。
    溝を作って、斜めに寝かせて土をかける。そのまま伸びれば、曲がりネギである。ほんとか?

    ネギは『農業全書巻之四 菜之類 葱(き) 第一』(P.155)にあり。

    ワラを溝に入れます。
    2015年9月23日、秋の彼岸の仏参りに来たキミヨ姉も話していました。
    農作業で畑などに使用する藁(ワラ)を「使いワラ」というらしい。
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【葱(き) 第一 1、2節】

    140712_葱(き)
    和名きと云ふ。 きは一字なる故後世にひともじと云ふ。 わけぎ、かりぎ、ねぎなど云ふも本名きと云ふ故なり。

    和名はといいます。 “き”は1文字なので、“ひともじ”とも呼びます(いわゆる女房詞ですね)。わけぎかりぎねぎ、などといいますが、元々は“き”といいます。

    菜之類 葱(き) 第一 1節

     葱は冬を大葱(だいさう)と云ふ。 春夏を小葱(さう)と云ふ。 春夏葱は糞培手入れ次第に、 いか程科(かぶ)の内を分け取りても、又もとのごとく数多くさかゆるゆへに、 わけぎと名付くるなるべし。 大葱はたねを取るべき分は、根のふかきを好まず。 大かたに培ひよき程に肥しをき、三月よく実り、たねの黒き時取りてよく干し、もみて取るべし。 二三日も莚などおほひ、少しむしをきて取出し、日に干してうちとるもよし。

     ネギは、冬物を大葱(ダイソウ)といい、春夏物を小葱(ショウソウ)といいます。 春夏のネギは肥やし遣りと培いの手入れ次第で、どれだけ株を分けて取っても、また元の様に株が増えます。 それなのでワケギ(分葱)というのです。 冬ネギで種を取る分の株は、あまり根を深くしません。 だいたいは培いしやすいほどに太らせて、3月に実がなって、種が黒くなったら採取します。 よく干して揉んで種を取ります。 それを2、3日は莚(むしろ)などで覆って、少し蒸らしてから取り出します。 日光で乾かして、叩いて取るのでもよい。

    菜之類 葱(き) 第一 2節

     苗地の事、旱にいたまざる物かげのしめり氣ありて少しひきめなる細沙地をよくこなし、 糞をうち乾しさらしをきて、四月蒔くべき前 猶も細かにこなし、塊ちりあくたなどを少しもなくして、 畦のはゞ三尺ばかり少し深くがんぎを切り、さて河の細沙と灰とに小便をうち さらし置きたるにたねを合せ、をよそ一畝の畠ならば、種三升ばかりの積りにて蒔くべし。 がんぎは間をいかにもせばく切るべし。

     ネギの苗地は、日照りで乾燥しないような物陰の湿り気があって、少し低い場所の細かい砂地を耕してこなしておきます。 肥やしを打って乾かして晒しておきます。 4月に種蒔きをする前には、また細かにこなして土塊やゴミなどもない様にします。 畦の幅は3尺ほどで、ガンギは深めに切ります。 川の細かい砂と灰に小便を掛けて晒しておいた物に種を混ぜます。 苗地が1畝ほどの広さであれば、種は3升ほどの計算で蒔きます。 ガンキは間隔をなるべく狭く切ります。

    生ひそろひては小さき熊手にて畦の高き所をかるくかきあざり、草少しもなくしをき、 旱りせば水を畦の溝より夕方入れて暁には落すべし。

    生えてきたら、小さい熊手などで畦の高くなっている場所を軽めに掻いて、草が無いようにします。 土が乾燥したら夕方に水を畦の溝に入れます。 朝方には水入れは止めます。

    水の便りなき所ならば、高さ一尺ばかりに棚をかき、莚にてもこもにても、 又は蘆すゝきのすだれにてもおほひて日をふせぐべし。

    水引きの出来ない場所なら、1尺ほどの高さに棚をつくり、莚(むしろ)や菰(こも)でも、もしくはアシ(葦)やススキ(カヤ、茅)などの簾(すだれ)ででも覆って、日に当たらないようにしておきます。

    又四月たねをまく時、がんぎを深く切り、鹽気のある沙糞などを下にしきてたねを蒔き、 たなおほひ少し厚くし置きて、上よりもわらの灰をおほひ置きたるは、少しの旱にてはかれざる物なり。

    4月に種を撒く時には、ガンキを深く切って、塩分の含む砂や肥しを下に敷いて種を蒔きます。 棚覆いを少し厚めにしておいて、上からも藁灰で覆っておくと、少しくらいの土乾きでは枯れません。
      FBのとあるスレッドで、タマネギには土寄せをするかしないかという話があった。 会話を読んでいると、「土寄せはしない」らしいのと、マルチというシートにはタマネギ用というのもあるらしいのだ。 〔マルチというのは、畑の畝の列にかぶせる(すそは勿論土で押さえるが)汎用ビニールシートの商品名〕かと思っていた。 わたしの農作業に関わる知識レベルはこのくらいしかないので、以下の記述、葱(き)がタマネギのことと一致するかどうかはわからないで抜書きしたのでした。 それで、FB発言は遠慮した(笑)。(旧掲文章、元項目削除して移動)

    又四月たねをもみ取りてよく肥し、 こしらへ置きたる苗地に其まゝ早く蒔きたるは早く根にも入りふとるゆへ、六月極熱の時分、 上は少々痛めども、大かた根まで枯るゝ事はなき物なり。

    4月に種を揉み取って、苗地を作っておいた場所にそのまま早く蒔いた分は早目に根も育ち太ってしまいます。 それなので、6月の暑い盛りに地上部分は少し痛んだりしますが、殆んど根まで枯れたりすることはありません。

    随分手をつくし、早く蒔きてつゆの中によき程さかへふとれば、 大概のかはきたる地にても日おほひなくて苦しからず、又葱たねは蒔く時分うるほひなければ、 生(をふ)かぬる故、うるほひを見合せて蒔くべし。

    この様にして苗の手入れをすれば、梅雨時には成長して太ってきます。 そうなれば、大抵の乾いた土でも日覆いがなくても大丈夫です。 ただ、ネギの種は蒔く時に潤いがないと生えて来ません。潤い状態(天候)を見定めて蒔いて下さい。

    又蒔く時五穀を何にても炒(い)りてたねと少し合せてまけばよく生ゆる物なり。

    また、蒔くときに、穀物(五穀何でも良い)を炒ったものを少し種と混ぜ合わせて蒔くとよく生えてきます。

    『菜之類 葱(き) 第一 1、2節』(P.155〜156)
    葱(き)3節 へ

    参考:ナガネギ
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【葱(き) 第一 3節】

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【葱(き) 第一 4節】

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【葱(き) 第一 5節】

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【葱(き) 第一 6節】

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【葱(き) 第一 7節】

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【葱(き) 第一 8節】

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【葱(き) 第一 9節】

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【葱(き) 第一 10節】

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【葱(き) 第一 11節】

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【楮(コウゾ/かうぞ) 1節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 2節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 3、4節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 5節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 6節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 7節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 8節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 9節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 10節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 11節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 12節】
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【楮(コウゾ/かうぞ) 13節】
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【巻き枯らし(まきからし)】
     
    間伐の一手法。 間伐する木を伐採しないで、立ったまま枯らす特殊な方法。
    木の下の方に、間隔をおいて箇所をぐるりと筋をつけての皮を剥ぐ。 筋の上から、縦に皮を引っ張ると、幹に添って皮が木の上の方まできれいに剥げる。

    (画像を拝借しましたm(_ _)m)
    野田雅之さんが、facebookで掲載していました。16/06/25
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【桑(くは) 第四 9節】
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【桑(くは) 第四 11節】
    巻之七 四木之類 桑(くは) 第四 11節

    【別冊恵比塵】−桑−
     桑の根上がり
     又桑久しくさかへて後は、となりの根とからみ合ふて根上りもし、榮へかぬる物なり。 其時は、中うちをあらくし、惡き根の上にあがりてあるをば切去るべし。

     桑は何年も経つと、隣の根っこと絡み合って根上がりして、繁茂しなくなります。 こういう時には、粗く中うちをして、悪い根の上に重なっている根を切ってしまいましょう。

    『巻之七 四木之類 桑(くは) 第四 11節』(P.262)
    桑(くは) 12節 へ
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【桑(くは) 12節】
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【桑(くは) 13節】
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【桑(くは) 第四 2節】
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【桑(くは) 第四 10節】
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【桑(くは) 第四 3節】
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【桑(くは) 第四 4節】
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【桑(くは) 第四 5節】
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【桑(くは) 第四 6節】
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【桑(くは) 第四 7節】
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【桑(くは) 第四 8節】
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【人の手風に触れざれば・・・】
    人気(ひとけ)がないと育たない樹木について書いてあった。
    これは、既に栽培をしなくなって放置された木(楮など)が、居住地と山の中との境には健気にも残っている、ということの証左になるのだろうと、フト妄想したのでした。

    【巻之一 土地を見る法 第三 9節】

     又地厚く肥ゑて柔らかに、底ゆるやかにして、うるほひはありて濕のもれやすく、木だちのびやかに、くさ木むくげなどの楮に似たる類の木よくさかゆる地は、必ず楮に宜し>としるべし。

     また、地が厚くて肥えていて軟らかで、底は緩やかで潤いがあり、湿気が抜けやすく、木立が伸びやかに、草木でむくげなど(こうぞ)に似た種類の木が育つ場所は、楮の栽培に最適なのです。

    (又云わく、楮も人氣によるにや、深山高山などにはいかほど肥ゑたる地にても生立たず、人の手風に觸れざれば盛長せず

    しかし、楮は人気がないと育たない、ともいわれています。 人の住まない山奥などで、幾らその地が肥えていても、人の気配がないところでは育たないというのです。

    凡それ/”\類を以て見分け、をしはかりて知る事是一入肝要なり。


    大体は、元々生えているそれぞれの木の種類をみれば、似ている木で何が育つかは想像することができるのです。これは大事なことです。

    『巻之一 土地を見る法 第三 9節』(P.62)了
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【土地(とち)を見(み)る法(ほふ) 第三 2節】
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【土地(とち)を見(み)る法(ほふ) 第三 6節】
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【土地(とち)を見(み)る法(ほふ) 第三 7節】
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【土地(とち)を見(み)る法(ほふ) 第三 8節】
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【烟草(たばこ) 第八 14節】
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【烟草(たばこ)1、2節】
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【烟草(たばこ) 第八 15節】
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【烟草(たばこ) 5節】
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【烟草(たばこ) 4節】
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【烟草(たばこ) 第八 16節】
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【烟草(たばこ) 6節】
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【烟草(たばこ) 第八 17節】
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【烟草(たばこ) 7節】
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【烟草(たばこ) 第八 18節】
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【烟草(たばこ) 第八 19節】
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【烟草(たばこ) 8節】
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【烟草(たばこ) 第八 20節】
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【烟草(たばこ) 9節】
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【烟草(たばこ) 10節】
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【烟草(たばこ) 11節】
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【烟草(たばこ) 12節】
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【烟草(たばこ) 13節】
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【烟草(たばこ) 第八 21節】
    三草之類 烟草(たばこ) 第八 21節

     たばこたね色々おほし。丹波吉野服部新田朝鮮目かゝず奥州など此内勝手利分をはかり好みに随ひて作るべし。長崎もよきたねなり。

     タバコの品種は沢山あります。有名な名前では、丹波吉野服部新田朝鮮目かゝず奥州などです。 これらの中から、栽培の手間と利益を計算して、好みに応じて栽培すれば良いでしょう。長崎も良い品種があります。

    目かゝず、これは地名ではないですが、芽掻(めかき)をしないでも、良い葉が収穫出来るようなタバコの種類か何かでしょうか。


    『三草之類 烟草(たばこ) 第八 21節』(P.237)了
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【山林之總論 第十 2節】
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【山林之總論 第十 3節】
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【山林之總論(さんりんのさうろん) 第十 4節】
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【山林之總論 第十 5節】
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【山林之總論 第十 7節】
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【山林之總論 第十 8節】
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【柿(かき) 第七 /10節】
     果樹は人煙のかかる地に宜しい、とある。

     又柿澁になる山澁柿をもうへ置きて、家事の助とすべし。

     柿渋を採取するための、渋柿も植えて生活の助けとするべきです。

    木練(こねり)其外菓子になる柿は人煙のかゝる所ならでは實る事なし。 山澁柿は人家をはなれても肥地にてはよくなる物なり。 穀田のさはりにならざる所を見合せて必ずうゆべし。

    木練やそれから菓子にもなる柿は、人煙のある地でないと、実りません。 山の渋柿の木は人家から離れていても、肥えた土地では実がよくなります。 田畑の邪魔にならない場所を見つけて、植えるべきです。
    木練、加工した柿の実のことでしょうか?

    惣じて柿のみに限らず、人の賞翫する菓樹其外四木等に至る迄世の助となる草木、人家をはなれ人の往來稀なる所には、いか程肥良の土地 にても盛長せざる道理と見えたり。

    いったいに柿のことに限らずに、人が美味しく食べられる果樹や、四木(桑、楮、漆、茶)といわれるものまで、およそ人の世の助けとなる植物は、人家を離れた人の通わない土地では、どれだけ地味が良くても育たない、という道理があるようです。

    就中勝れて實の太き菓樹は朝夕人煙に觸れ、根さき家屋の下にさしはびこるほどにあらざれば、十分の實りなきとしるべし。

    中でも優れて実の大きい果樹は、朝夕に人家の煙(人の生活)に触れて、木の根も家屋の床下のほうまで延びていくくらいでないと、充分な実りは得られないのです。

    『巻之八 菓木之類 柿 第七 10節』(P.274)了

    16/04/27 柿の若芽は、天ぷらにもよろし。と。(Twitter情報

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【柿(かき) 第七 9節】
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【柿(かき) 第七 1節】
    巻之八 菓木之類 柿(かき) 第七 1節

    160430_農業全書 柿
     柿は上品(ぼん)の菓子にて、味ひ及ぶ物なし。 其品甚だ多し。 就中京都のこねり尤上品なり。 大和にては御所柿と云ふ。
    土地相應の所にて多くうへて過分の富ともなる物と記し置けり。 東南肥良の地に宜し。 殊に山下赤土に宜し。 北方海邊には惡し。 砂地に宜しからず。

     柿は、大変上品な果物です。味で追従出来る他の果物はありません。 種類は沢山あります。 その中でも、京都のこねり(木練柿)は最上級です。 大和地方では、これを御所柿(ごしょがき)と呼んでいます。
    相応の土地に沢山作れば、とても裕福になるとも書かれています。 東南向きの肥地が良い。 特に、山裾の赤土が適している。 北向きの海辺などは向かない。砂地も駄目です。


    『巻之八 菓木之類 柿(かき) 第七 1節』(P.271)
    柿(かき)2節 へ
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【柿(かき) 第七 2節】
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【柿(かき) 第七 3節】
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【柿(かき) 第七 4節】
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【柿(かき) 第七 5節】
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【柿(かき) 第七 6節】
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【柿(かき) 第七 7節】
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【柿(かき) 第七 8節】
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 10、11節】

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【漆(うるし) 第三 8節】
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【漆(うるし) 第三 1節】
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【漆(うるし) 第三 2節】
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【漆(うるし) 第三 3節】
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【漆(うるし) 第三 9節】
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【漆(うるし) 第三 4節】
    四木之類 漆(うるし) 第三 4節

     漆掻き
     かきとる事、四月半よりかんなをあて初むるなり。
    初は先浅く木の痛まざる様に、木の三方の内四五かんな當てゝ十本十五本もあてゝ通り、 跡に立帰りてへらがうにてかきとり、筒の中を榧(かや)の油にてぬり廻し、 うるしをへらにてかき入れ、筒一盃の時桶にうつすなり。

    HV特集 命の一滴 −漆−
     漆掻きのこと。 4月半ばからカンナ(鉋)をあて始めます。 最初は切っ先も浅くして、木が傷まないようにします。 木の三方向のうちに4、5箇所あてて、10本から15本程あてて行き、 帰りに箆(へら、へらごう?)で掻き取り、筒の中に漆汁を箆で掻き入れます。 筒が一杯になったら、桶に移します。 筒は、内側には榧(かや)の油が塗ってあります。


    漆桶諸元
    桶は一升入或は二升入にても檜の桶よし。 こくそをうるしのぬけざる様に、小麥の粉にても又はひきちやにても足つよく粘りたるを用ゆべし。 桶のふたには半紙をうす澁にて一ぺん染めて桶の廻りに一寸程出づる様に丸くしておほふなり。 おほふ時は水にて紙をしめし用ゆべし。 しからざれば、おどり上りて漆に思ひ合はず。

    160227_漆鉋(うるしガンナ)
    桶は1升または2升入りで檜の桶が適しています。 漆が抜けて(漏れて)しまわないように、こくそ(木屎・粉糞・刻苧)を塗ってあります。 こくそには、小麦の粉でもひきちゃ(不明)でも足が強く粘る物を使います。 桶の蓋には薄渋で一度染めた半紙を使い、桶の回りに1寸ほど出るように丸くして覆います。 覆う時には、紙を水で湿してから使います。 そうしないと、紙が踊ってしまい漆に馴染まないからです。


    四月の末つかた初がきをしてより木の精程づゝかき目をしげく木のもとより付くるなり。 初一方よりかきそめて後は六方よりかき目を付くるものなり。
    八九月迄の間に十遍も、上畠の性の強き所は十二遍もかくなり。 年によりては十月までかく事もあるべし。

    HV特集 命の一滴 −漆−
    4月の末頃に初掻きをしてからは、木の樹液の量程ずつ掻き目を狭めにして木の下の方から付けていきます。 最初は1方向ら掻き初めて、後からは6方向から掻き目をつけていきます。 8、9月迄の期間に10回ほど、上畑で性の強い木の場所であれば20回も掻きます。 年によっては10月まで掻くこともあります。


    残らずかき終りて、とめがきとて去年と今年との節の所に横に木の廻り半分もかんなを少し深くあて置くなり。 それより上の精ぬけ下らざるためなり。

    160227_漆鉋(うるしガンナ)
    残らず掻き取ったら、止め掻き(留め掻き)と言って、去年と今年との筋の箇所に、横に木の回り半周程も鉋(かんな)を少し深くあてておきます。 それより上の漆の精が下に抜けて行かないようにする為です。


    其後十月十一月の間に、かき留の節の下二寸ばかりかけて上をかり取りあつめ、 二尺廻り程にたばね、流水にても池水にても本を一尺許り水の中に有様に立て漬けをくなり。

    その後、10、11月の間には、掻き止めの筋の下2寸ほどをかけて、その上の刈り取り2尺まわり位に束ねます。 それを流水でも池でも根本側を1尺程水の中に浸るようにして立てて漬けて置きます。

    さて五七日して取上げ、二寸ばかりづゝ間を置き、菜刀のごとき物にて切廻し、 二三十本も切廻したる時、下にすけ木をおきて其上にならべ置けば、初めより漆少しづゝ出づるを、 へらのはゞ一寸ばかりあるをさきをうすく矢筈のごとくして、 是を持ちて木を一本づゝすぢかいに立てゝへらを廻せば、 さきに漆少しつくを桶の正中(まんなか)に縄を強く引張り、 へらのさきにつきたるうるしを桶の中に落し入るゝなり。

    これは5、6日で引上げて、2寸ほどずつの間隔で、菜庖丁のような刃物で切り回します。 2、30本も切り回したら、下にすけ木を置いてその上に並べておくと、切り回した最初の方から、少しずつ漆液が出てきます。 箆(へら)の幅1寸程のもので、先を薄く矢筈の様になっている道具があります。 これを持って、木を1本ずつ筋交いに立てて、箆を回します。 箆の刃先に漆液が少し付くので、桶の真ん中に縄を強く引っ張っておいて、 箆の先に付いた漆を桶の中に擦り入れるのです。

    『四木之類 漆(うるし) 第三 4節』(P.255〜256)
    漆(うるし)5、6節 へ
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【漆(うるし) 第三 10節】
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【漆(うるし) 第三 11節】
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【漆(うるし) 第三 5、6節】
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【漆(うるし) 第三 12節】
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【漆(うるし) 第三 7節】
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【漆(うるし) 第三 13節】
    四木之類 漆(うるし) 第三 13節

     日に当てる
     又内を朱ぬりにしたる物をあをのけて干すべし。 日に當りて乾くを好む物なり。

     内側を朱塗にした器も上を向けて干します。 漆塗は日光に当って乾くのが良いのです。

    『四木之類 漆(うるし) 第三 13節』(P.258)了
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【活着(かっちゃく)】
    さし木、つぎ木、移植などをした植物が、根づいて生長すること。

    【馴化(じゅんか)】
    その環境に慣れさせる。特に苗などを他地域から移動させたりした場合、

    【灌水(かんすい)】
    水をそそぐこと。

    本サイト掲載子は、こういう基本用語を知らなかったのですね。 根が活き付いて、とか、根が馴染んで、とか、水遣(や)りとか、苦労して書いています。 決して、掲載子が文章として極力専門用語を使わない方針で掲載している、とかそういったものではありません(笑)。 従って、現在までのところ、「農業全書」の現代語の書き直しでも、こういった単語では1例も書かれていませんでした。 お読みになられた方は、このあたりの単語使いによっても、自ずと掲載子の素人加減がお判りになられたと思います。こら!
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 1、2節】
    口にふくみ口中の生氣を借り
    150327_接木より
    たまたま見ていたテレビで、接木をしている場面が映ったのです。 すると、穂木(苗木)を舐めて台木に挿しました。その同じ方法が『農業全書』に書かれていたのです。 植物を育てるとは、いくら道具が発達しても変えられない方法があるのではないかと、いたく感心したのです。

    第1節

     木を接ぐ法様々あり。 先薹木を兼て子種にし置きたるがよし。 山野より俄にわり取りたるは、第一は細根多く付かずして、皮めもあらく生き付かぬる物なり。 假令つきても盛長をそく、後後年をへては子(み)うへのだい木に接ぎたるには劣れり。 山林より取りたりとも、根に疵なきを用ゆべし。 其ふとさ凡やりの柄ほどなるを中分とすべし。 梨、柿、桃、栗、梅、櫻の類は大(ふと)き木に中つぎにしたるもつく物なり。 柑橘の類は高くはつくべからず。 だい木の大小をよく見合せ、ふとき程高かるべし。 されど高くとも一尺ばかりには過ぐべからず。 又下(ひき)くとも四五寸に越ゆべからず。 下(ひき)きは活やすけれども、だい木の皮切口を包む事遅し。 小き木高ければ木の精上りかねて、穂に及ぶ生氣乏しきゆへ、枯るゝ事あり。 四五寸一尺の間を中分とすべし。
    (p.317)

    【接木之法(つぎきのはふ) 附糞を用ゆ 第十六 第2節】

     齒の細かなる能くきるゝ鋸にて引きり、切口を見ればまきめあり、その巻目の遠き方に穂を付くる物なれば、 其方を少し高く削り、接穂 の長さ三四寸、本の方を一寸餘、肉を三分一ほどかけてそぎ、返し刀少しして口にふくみ口中の生氣を借り、 扨だい木の穂を付くる所を穂のそぎたる分寸に合せ、 肉の内に少しかけて皮を切りひらき、 小刀のきりたる肌をむらなくして穂をさし入れ竹の皮か、おもとの葉、 古き油紙にても一重まき、其上をあら苧か、打わら、又は葛かづらの皮目にて、 手心しかと一寸四五分も巻きて、其上を又雨露もとをらず、 蟻も入らざる様に稠(きび)しく包み巻きて日おほひはおもとか、 竹の皮にて日かげの方よりは穂の先見ゆる様にあけて包み置き、 廻りを鶏犬もさはらぬ様に竹をさし圍ひ、わらかこもにて包み、 上を少し明けて雨露の氣少し通じ氣のこもらざる様にすべし。

     歯の細かい切れる鋸(のこぎり)で挽いて、切り口を見れば年輪(巻目:まきめ)があります。 その年輪の広い方に穂木を挿しますので、広い方を少し高く削ります。 穂木の長さは大体3、4寸。その根元(ねもと)側を1寸ほど、1/3ほど削いで、返し刀をして、口に含んで唾液(口中の生気)をつけます。 それから、台木の穂木を挿す部分を、穂木の尖り具合に合せて、台木の皮の内側に少し掛るように皮を剥いて、 小刀で削った跡を平らにして、穂木を挿し入れて、竹の皮おもとの葉や、古い油紙などで一重に巻きます。 その上から、あら苧か、打ち藁、または蔦の皮などで、しっかりと1寸4、5分ほども巻きます。 またその上から、雨露が入らないように、そして蟻も潜り込まないようにしっかりと巻きつけます。 そして、日覆いにはおもと竹の皮などで日影になる側から見て穂木の先が見えるくらいに空間を作って包みます。 その周りは、ニワトリや犬が近づかないように竹を挿して囲いを作って、(こも)などで包みます。 上の部分は少し開口部をつくり、雨露などが少しは掛るようにして、気がこもってしまわないようにします。……

    尤泥にてだい木の切口の下二寸程まで厚くぬり廻し、雀草をうへて、うるほひを引くべし。 其後旱つよくば水をわきより朝夕少しづゝそゝぎ、だい木の廻りをかはかすべからず。 だい木の皮の一方を切りはなさずして接ぎたるを袋接といふなり。 又皮を穂のそぎたる寸によく合せそぎはなして、 穂の皮目とだい木の皮の方と付き合ふ心得して少しかたよせて穂を付くる事よし。

    『接木之法(つぎきのはふ)』(p.317〜318)
    接木之法(つぎきのはふ)3節 へ


    150327_接木より
    この場面でも、確かに穂木を舐めてから挿しました。
    竹の皮おもとの葉油紙あら苧打ち藁蔦の皮などは使いませんでしたが、それらの代りに現代では養生テーブやビニール袋ですね。
    口で舐めるのがすべりをよくするだけだとしたら、現代では円滑材(ジェリーのような)とかがあると思いますが、 確かに口で舐めて挿しました。ということは、口に含んでから挿すという行為は、円滑機能以外のがあるのかもしれません。

    苧績み(原麻(げんま)から細い糸を作る作業)も、口に含む動作がありますね。 これは湿らせて繊維を解く作用があるかもしれませんが、口に含む。
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【常にあらざるは】
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 6節】
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 19節】

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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 3節】
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 9節】
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 12節】

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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 13節】

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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 7節】
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 8節】
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 4節】
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 14節】

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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 5節】
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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 15節】

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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 16節】

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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 17節】

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【接木之法(つぎきのはふ) 第十六 18節】

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【南蛮(なんばん)○○】
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【高麗(こうらい)○○】
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【小麥(こむぎ) 第四 2節】
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【小麥(こむぎ) 第四 1節】
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【小麥(こむぎ) 第四 3節】
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【小麥(こむぎ) 第四 4節】
    五穀之類 小麥(こむぎ) 第四 4節

     稲田に小麦は遠慮すべし
     又小麥跡は田瘠するものなり。 田に小麥を作る事は所によりて延慮すべし。 小麥のから田に入れば毒なるゆへなり。 かりかぶをも土ぎわよりつめて刈り、耙にてかく時、田にある麥かぶをかきさるべし。

     小麦跡の地はとても痩せます。 場所によっては、小麦は田んぼに作らない方が良いです。 小麦の殻が田に入ると毒になるからです。 もしも作ったばあいは、小麦の刈り株は土際ぎりぎりに詰めて刈ってしまい、マグワ(耙)で掻くときにも、田んぼにある麦株は掻き去ってしまうようにすることです。

    『五穀之類 小麥(こむぎ) 第四 4節』(P.105)了
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【種子(たね) 第二 3節】

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【種子(たね) 4節】
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【種子(たね) 5節】

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【種子(たね) 1節】

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【種子(たね)6節】

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【種子(たね) 第二 2節】

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【種子(たね)7節】

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【種子(たね)8節】

    農事総論 種子(たね) 第二 8節

     馬骨を煎じる
     又たねを蒔くべき前より馬骨をせんじ、其汁を以て浸し乾かしうゆれば、作り物虫氣もせず、 其外萬のくせ病を生ぜず、實り甚だよき物としるしをけり。
    或は溺(いばり)又は魚のあぶらなどにひたし灰をふりもみ合はせ蒔けば、 生長心よくみのりよき物なり

     (唐の農書には)種子を蒔く前に、馬の骨を煎じて、その汁に種子を一度浸してから乾かして植える方法があります。 これは、作物に虫気が付かなくなります。 その他に癖がついたり病気になり難くなり、実りもとてもよくなります、と書いてあります。
    または、種子を小便魚の脂などに浸して、灰を振って揉み合わせてから蒔くと、よく育ち実りも良くなります


    『農事総論 種子(たね) 第二 8節』(P.60)了
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【自序 2節/凡天下の事、】
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【自序 3節/我村里に住する事すでに四十年、】
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【藍(あい) 第四 7節】
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【藍(あい) 第四 2節】
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【藍(あい) 第四 3節】
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【藍(あい) 第四 4節】
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【藍(あい) 第四 5節】
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【藍(あい) 第四 6節】
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【藍(あい) 第四 8節】
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【竹(たけ) 第十三 1節〜3節】
    巻之九 諸木之類 竹(たけ) 第十三 1節

    150807_竹 農全
     竹に適した地
     竹をうゆる地は高くして平かなる所、山の麓、谷川近き所の黄白軟の地に宜しとて、 尤肥へて性よく沙がちなる和らかなる地、湿氣のもれやすきを好むと知るべし。

     竹を植える場所は岡のような場所、山麓、または谷川の近くの黄白の軟らかい土がよいといいます。 竹は肥地で性分が良くて砂がちの軟らかい地で、湿気が溜まらない場所がよいです。

     植える方法
    諸木之類 竹(たけ) 第十三 2節

     うゆる法、正二月一かぶに三本も五本も多く立ちたるを、 はちを廣く付けて廻りの根をよく切るゝ物にてさけくだけざる様に切廻し、 末をも枝をも少しづゝとめて屋敷内ならば東北の隅に地を廣くほり、 根先の方を西南の方にひかせ、直にうへて土をおほふ事五七寸、風に根のうごかぬ様に三方よりませをゆひをくべし。

     植える方法は、一月か二月に1株に3本から5本ほど幹の立っている竹を、鉢(はち)を広く付けて、根をよく切れる刃物で割けたり潰れたりしないように切り回します。 竹の先も枝も少しずつ残します。 庭(屋敷内)に植えるのであれば、東北の角地を広く掘って、根の先を西南方向に伸ばして、直(じか)に植えて、5〜7寸くらい土で覆います。 また風で動かないように、三方からませ(籬:まがき、ませ垣)を結って固定します。

     踏みつけないこと
    踐み付けかたむる事なかれ。 踐付くる事竹をうゆるに甚だいむ事なり。 尤も活付くまでは切々水をそゝぎ、其後牛馬糞、麥稲のぬかなどをいかほども多く入るべし。 竹は取分きあげ土の浮きたるにうへて盛長早き物なり。

    植えた場所の土は踏み付けたり固めてはいけません。 竹を植えて踏み付けととても痛んでしまいます。 また、活き付くまでは折々に水を注いで、その後で牛馬糞や麦稲の糠(ぬか)などを沢山入れます。 とりわけ竹は土が浮いている場所に植えると生長が早いのです。

     水肥に大注意
    諸木之類 竹(たけ) 第十三 3節

     又竹はうへてわきより棒にてつきたるはよし。 手風に觸れ又は手足を洗ひたる汁、女の面等洗ひたるあか汁をかくれば盛長せずして、却て痛み枯るゝ物なり。

     植えてから踏みつけなけば、脇から棒で突いて形(向き)を整えるのは構いません。 また、無暗に触らないこと(手風に触れさせない)です。 そして、手足を洗った水や、女性の顔などを洗った垢水(あか汁)を掛けると育ちが悪くなり、かえって痛んで枯れてしまいます。
    (風呂水などは絶対使うな、ということか)

    『巻之九 諸木之類 竹(たけ) 第十三 1節〜3節』(P.305〜306)
    竹(たけ)4節 へ
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【竹(たけ) 第十三 4節】
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【竹(たけ) 第十三 5節】
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【竹(たけ) 第十三 6節】
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【竹(たけ) 第十三 7節】 16/06/27追記
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【竹(たけ) 第十三 8節】
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【竹(たけ) 第十三 9節】
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【竹(たけ) 第十三 10節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 10節】

諸木之類 諸樹木栽法(うゆるはふ) 第十五 10節
−150701_根のやはらかなる木にて−
 【図の説明文】
 木を中にかゝげざれば、上なる木のおもみかゝりて根の下の方かならず此あたりより折るゝ物也。
又下より一段々々にて土をよく堅めざれば、上よりかくる土にをされて皆此大ねの付きぎはよりおるゝ也。 たとひ根のやはらかなる木にて折れざる事もありとても、 よこ根しん木の根と一つに付きあひて生きたるばかりにて木さかゆる事なし。

 図中に書かれている文章
 穴に入れた木をぶら下げながら処置をしないと、根の下の部分が木の重みで〔このあたり〕から折れてしまいます(○印部分)。
また、根の下の方から一段ずつ土を入れて固めないと、上から掛けた土で潰されて、〔このあたり〕の大根の付き際より折れてしまいます。 仮に「根が柔らかいので大丈夫」と思っても、横の根と芯根(主根)が絡み付いてしまうので木が育ちにくくなります。


『諸樹木栽法 第十五 10節』(P.313)
諸樹木栽法(うゆるはふ)11節 へ
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 9節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 14節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 3節〜6節】
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【水うへ】
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【根回(ねまわし)】

    −151120_根回し−

    根回】ねまわし:
    樹木などの移植に先立ち、ひろがった根を根元を中心に将来掘り上げるべき鉢または 植え込むべき植穴の径よりやや小さ目のところで切断して、細根の発生を促し移植を安全にする処置。
    (簡便辞書より)
    農業全書には『巻之九 諸木之類 諸樹木栽法(しょじゅもくうゆるはふ) 第十五』に移植のことが掻いてあります。
    栽法(うゆるはふ)1、2から参照のこと。

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【栽法(うゆるはふ) 第十五 15節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 7節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 16節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 17節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 8節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 18節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 11節】

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【栽法(うゆるはふ) 第十五 19節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 20節】
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【栽法(うゆるはふ) 第十五 21節】
    諸木之類 諸樹木栽法(うゆるはふ) 第十五 21節

     大切な大木は根回し三年
     大きなる木にて、活くべき事心もとなく大切に望み思ふ木ならば、次のとしの春、 木を掘り取るばかりにほり廻して、又前のごとく土を入れ、よく堅めをき、其秋九月の末又ほりまわし、 根をうごかして、もとのごとく土を埋み置きて、三年めの春、立春の後天氣よき日ほり移すべし。

     大きな木で、うまく活きるかどうか心配で、絶対大切にしたいと願う木の移し方です。 翌年の春に、一度木を掘り取ってしまうほどに周囲を掘りまわします。 そして本の様に土を入れて、よく固めておきます。 その年の秋9月の末に、もう一度掘り回します。 根を動かして、また元の様に土を埋め込んでおきます。 そして、3年目の春、立春の後の良い天気の日に、掘り取って、木を移し先に移動するのです。

    大きなる木は木ずゑより三方にほそ引を付け、しづかに伏せ、餘多材木を入れ、兩方よりになひ、 根を地につくべからず。 地につけばよこねいたむ物なり。

    大きな木は、枝の箇所から3方向に細引縄(ロープ)を付けて、静かに伏せます。 余多材木(神輿担ぎの台のような補助材?)を入れて、両側から担いで(にない、担う)、 根を地面に着けてはいけません。 地面に着くと、横根が傷むからです。

    車あらば車につみ、車なくばかつかうより人數多くよせ、かるく取りあつかひ、 少しも木のいたまぬ様にすべし。 はちをよく付け、根のいたまぬ術を盡せば、五人八人にて取りはこぶ程の木は、十に一つも失なし。 十五人廿人餘にてあつかふ木といへども、十に七八は必ず活くる物なり。

    車があれば車に乗せます。 車が無ければ、木の格好よりも人数を多く集めて、軽く持てるようにして扱い、木が少しも傷まないようにします。 根には鉢(はち)をよく付けて、根が傷まないような術(すべ)を尽せば、5人とか8人で持って運ぶ程の木は10本に1本の失敗もありません。 15人から20人あまりで持ち運ぶ木でも、10本のうち7、8本は絶対に活き付くものです。

    又庭木の名木梅櫻などを移すには、猶以て年をかさね、根をほり廻し、 たび/\あつかひて時分よくうゆべし。 其手立ねんごろに心を用ゆれば、かるゝ事なし。

    また、庭木の名木、梅や桜の木などを移すには、これ以上の年数を掛けて、根を掘りまわしては埋め戻すことを度々しておいて、予定の時節に移し植えます。 こうした手立てで、丁寧に心遣いを施せば、枯れることは無いのです。

    花樹菓木は惜まず枝をきるべし
    前に云ふごとく、花樹菓木はかならず惜まず枝をきるべし。 多く切るほど根の力つよくして、後の榮へうるはし。

    前にも書きましたが、花樹や果木は、必ず枝振りを惜しまずに(もったいないと思わないで)枝を切ることです。多く切るほど、根の力が強くなるのです。 後々の育ちがとてもよくなるのです。

    『諸木之類 諸樹木栽法(うゆるはふ) 第十五 21節』(P.316〜317)了
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【杏(あんず) 第三 1節】
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【杏(あんず) 第三 2節】
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【杏(あんず) 第三 3節】
    菓木之類 杏(あんず) 第三 3節

     杏仁(きょうにん)
     生なる杏を干しさらして菓子によし。 又杏仁(きやうにん)は藥に入れ、 粥にし又炒りてすりくだきあへ物のかうばしにしてよし

     生の杏の実を干して晒せば、お菓子にもなります。 また、杏仁(きょうにん、杏子の核子の胚)は、薬用としても使います。 粥にしたり、炒って摺り砕いて、和え物のこうばし(香り付け)にも良いです。

    杏の砂糖漬けと杏の焼酎
    (又よく熟したるを、 手ひきがんの熱湯に入れ、しばらく置きて取り出し、砂糖一斤に杏十四五廿ほどつけ、 十四五日過ぎて菓子に用ゆべし。 甚だ味よし。
    又上焼酒(しやうちう)一斗によく熟したる杏子百二十或は百ばかり入れ置き、五六十日過ぎて用ゆ。 其味ははなはだめづらし)。

    杏の砂糖漬け。 良く熟した杏を、薬缶の熱湯に入れてしばらく置いてから取り出します。 砂糖1斤に杏を14、5個から20個ほどの割合で砂糖漬けにします。 14、5日で出来上がり、茶うけになります。 とても美味です。
    杏の焼酎。 上品な焼酎1斗に、良く熟した杏を120個または百個ほど入れて、5、60日で出来上がり。 その味はとても珍しい味になります。


    『菓木之類 杏(あんず) 第三 3節』(P.266)了
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